人種差別への湧き上がる反発に伴って、アメリカのアニメ作品では、「非白人」のキャラクターの声を「白人」の俳優が担当するという状況を完全に変える。そんな動きが加速している。
Apple TV+の「セントラル・パーク」では、混合人種の役を演じていたクリステン・ベルが降板することをプロデューサーが発表し、「ファミリー・ガイ」の製作と声の出演を担当したマイク・ヘンリーや、あの「シンプソンズ」のプロデューサーたちも、今後は白人が演じている非白人キャラクターの声優(ボイスキャスト)をすべて入れ替えると声明を出した。
(略)
『天気の子』の英語版で夏美の声を担当し、「マッドメン」「GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」で知られるアリソン・ブリーが、先日、非白人の声を演じ続けたことでの後悔と謝罪をインスタグラムで表明したことは、この問題の深刻さを物語る。『天気の子』ではなく、Netflixの人気アニメシリーズ「ボージャック・ホースマン」に関して
あれ?
デジャヴ???
というのは……数号前のアフタヌーン、西本英雄「もう、しませんから。アフタヌーン激流編」で「波よ聞いてくれ」の主演声優…杉山里穂さんというかたのインタビュー漫画回があった。
その声優さんの話が軽妙なのか、西本先生の再構成がみごとなのか(この芸の巧みさは、本当にもっと称えられていいと思う)、かなり爆笑、感動のエピソードがつづくなか、締めくくりに登場したのがこれ。
熊の魂を送る踊りを踊れるのだそうだ。
これむしろ、諸星大二郎作品がアニメ化された時に使いなよ。あれは「鬼踊り」か。
まるで禍津神を異界に送り返す「鬼踊り」を踊っている様な物寂しさ…
— M.キューピー (@bruecke1710) 2019年8月15日
(´;ω;`)#諸星大二郎#妖怪ハンター#闇の客人 pic.twitter.com/rL0KfU4D5Q
飲み屋で寂しがりの面倒臭いおっさん相手をママから押し付けられたとき「河岸変えますか」などと言って連れ出す際のワタクシ(鬼踊りしてる爺さん)。
— yamasaci tohru やまちんぬ (@yamachin_nu) 2020年3月22日
諸星大二郎『妖怪ハンター/闇の客人』 pic.twitter.com/m3D4AEnS4N
ちなみにこちらが「あんとくさま」。
諸星大二郎ファンには「あんとく様・恐怖症」ってあるじゃん。
— ウヒョ助/塚脇永久 (@uhyoneko) October 27, 2018
わしも、海沿い歩き旅やっていてさ、関東の海沿いを全部歩いたけど。たまに鳥居が海に、ポツンをあるんだよ。最近だったら、福島の勿来の海にも、まさにの感じの鳥居があったけど。
もう、あんとく様を思い出して怖いもんね。 pic.twitter.com/v1AVGUAw7p
にしても、これが掲載された当時は、大笑いで作品を締める大オチだったのに(杉山氏も、それを狙って仕込んできたネタじゃないか?)それが、今の状況だと、やや笑いでは済まなくなってしまった面もあるような、ないような。マイノリティの文化だ、文化の盗用だ云々という話も持ってこようと思えば持ってこれますよ。杉山氏が、「熊の魂を送る踊り」を踊る資格があるか?という話を突き詰めると、またいろいろいろいろいろな話があってややこしいんだ!(「ルーツ」とか…「血」とかの話まで……)
そのへんはほっておいて、純粋にこの「こんなに北海道出身で熊の魂も送れるわたしが、なぜゴールデンカムイに出られないのか!!」という怒りの問いに話を戻すと、
西本先生は
「いやそれ他社さんの作品だし、こちらにいわれても」
という、これまた超正論でかえしている。
TVアニメ「ゴールデンカムイ」第二期OP さユり×MY FIRST STORY「レイメイ」
さらにこちらから突っ込むなら、じゃあ貴方が主演を務めた「波よ聞いてくれ」は、自分の属性と一致しているんですか?と「反転可能性」をテストしたくなるわけだが、杉山氏はそこには自信を持っているらしい。まあたしかに「北海道出身の女性」という属性、アイデンティティは一致しているわな……と思いきや。
「酔っぱらって大いにやらかす属性」が一致しているという自信があるらしい。
TVアニメ「波よ聞いてくれ」第1話無料配信中
tacica 『aranami』MUSIC VIDEO (先行配信中 TVアニメ『波よ聞いてくれ』OPテーマ)
あのですね、自分は最近の声優さんって本当に疎くて、なにひとつ知らないレベルなんですけど…
このかたは、相当に変わってい……いや、個性に富んだひとなのではないでしょうか?
もう、しませんから。~アフタヌーン激流編~ (アフタヌーンKC)
- 作者:西本 英雄
- 発売日: 2018/02/23
- メディア: コミック