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簡雍(かんよう、? - 219年?)は、『三国志』に登場する蜀漢(蜀)の部将…劉備からの信頼は絶大だった。また、大の酒好き…大らかな性格で…物事に無頓着で、礼儀を軽んじていた。
親戚の劉備の前でも遠慮なく足を投げ出して、浮浪者のようにだらしがない格好で対応していた。これを見た諸葛亮は、いくら簡雍が劉備の親戚でも、服装をきちっとして礼儀正しく対応するべきだと苦言を漏らした。
簡雍は、口うるさい諸葛亮に対して、長椅子を独占して枕を乗せて横になって寝転んで、決して自分の意思を曲げようとはしなかった。
当時、雨が少なく水が不足していたので、諸葛亮と李厳(李平)らは水分確保のために禁酒令を上奏して、劉備がそれを採用したので、民間で勝手に造酒するものが、過酷な厳罰を処されることになった。あるとき、諸葛亮配下の監察官がある民間の造酒用の道具が保管されていたのを見て、これを没収して所有者を逮捕して、裁判に架けられることになった。
これを聞いた簡雍はある日に劉備と城外で散策した。一組の男女と擦れ違ったときに簡雍は「あの男女は後で淫らな行為をしますぞ。どうして逮捕なさらないんですか?」と劉備に訊いた。驚いた劉備は「君にはそれがわかるのか?!」と言った。「かれらは(股間に)その“道具”を持っております。つまり、造酒用の道具の所有者と同じことですぞ」と簡雍は答えた。これを聞いた劉備は「そうか、領民は飲酒できないことに不満を持っているのだな?君はそれを言いたいのだろう」と吹き出して大笑いした。これに対して簡雍は「御意…」と述べたのみだった。かくして、裁判を架けられた造酒の所有者を無罪にして、禁酒を解いたという。簡雍の絶妙な機智とはその特徴を持っていた。ただし、これを聞いた諸葛亮は不快感を露わにしたという。
面白い話だが、あまり大っぴらに物語化しにくいな、オチ部分が…これ(笑)
このひと、
「蒼天航路」にも出ているらしいんだが、読んでいる筈なのに、まったく記憶にない。
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ただ、「劉備の理解者」であるよりも、今この人物を知った自分は、孔明と「対を為す」かのような物語上の位置付けに、無限に興味をそそられる。
これは司馬遼太郎が三国志を論じた「街道をゆく 蜀の道」だったと思うのだが、過剰なほどの伝説講談に彩られた孔明の、史実上の位置付けはなんだろうと司馬が思索した結果、最後に残るのは「清廉、公正、真面目」といった特色だろう……みたいなことを書いていた記憶がある。
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まあ、戦場に出て百戦百勝、あるいは戦わずして勝つようなチート軍師、というのよりは、そういう部分のほうが、実像には確かに近そうだ。
ただ、そういう内政部分でも、チート政治家として描かれるよりは、こういう形で、その謹厳さ…当然裏目に出れば、冷徹ということになる…を、軽やかに相対化する、飄飄としたトリックスターがいれば、むしろ物語は膨らむのではないか。
それこそ横山三国志とかでは孤高のチートだった孔明と、対等なケンカ友達な…「ブロマンス」(って、使い方でいいんだよね?)が描けるかもしれない。
ただまあ、すでに三国志マニアは溢れるほど存在し、いま簡雍を知りましたよ、みたいなにわかの出る幕が無いほど、その界隈では簡雍像も掘り下げられているのかもしれない。
だから、頭を下げてそういう皆様が掘り下げた『簡雍』というキャラクター像を、これから勉強させていただきます。
いかん、最後は「とはいえ、まだイケメンには描かれていないはずだ。チャンスですよ!」と言おうとしたら、既にイケメン化も一応はされていた(笑)
ただ、メインストリームではないか。
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