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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「いだてん」は資料をこう調べて作ったーー必読の取材担当者インタビュー【記録する者たち】

【記録する者たち】
前人未到大河ドラマ『いだてん』はいかにして作られたのか 取材担当者が明かす、完成までの過程
realsound.jp

https://realsound.jp/movie/2019/11/post-450174.html

…渡辺:「落語とオリンピック」で何かできないかというのが発端でした。ただ、絶対にオリンピックをやるとは決まっていませんでした。あとは大河ドラマで近現代を描きたいということ。「古今亭志ん生ビートたけし森山未來)、近現代、スポーツ」という三題噺のようなもの…

明治天皇崩御される数日前にストックホルム五輪が開催された。調べてみると、金栗四三三島弥彦生田斗真)の2名が参加している。箱根駅伝の最優秀選手に「金栗四三杯」が贈呈されるので、金栗さんという人が箱根駅伝の創設者だということは知っていました。でも、その金栗さんが日本人最初のオリンピック出場選手だということは、この時初めて知りました。そこでこの2人をきっかけに何か作れるのではないかというイメージが…

その時代にこういうことがあったという事実関係や歴史的な出来事を改めて整理してもらいます。これは時代考証の先生がその場にいたらできるかと言ったら、そういうことでもないんです。直樹さんは映像での長いキャリアがあるので、ドラマ化するに当たって面白いかどうか、実現可能かどうかを判断することや、ストーリーとして掘っていく必要があるかという判断ができる。そういった目線がない人にはできなかった仕事

…劇中でも金栗さんが日記を書いていましたが、あれも実物があります。熊本の古文書研究会の方にお願いして読んでもらい、ほぼ全部書き起こしました。20年分ぐらいの膨大な日記でしたけど。

――エピソードで言うとどの辺りですか。

渡辺:金栗さんが東京高師(東京高等師範学校)に入学するところからです。美川秀信勝地涼)さんと上京したというのは事実で、それも日記に書かれていたことです。他にも「美川が家にあがりこんできた」とか「美川が毎晩うるさい」といったことも日記に書かれていたことで。だから、勝地さんが演じてくれた愉快な美川くんも、あながちフィクションではない…

日記のほかに参考になったのが「文集」と「論文」です。スポーツ関係者は亡くなった時や、学校をやめるタイミングで教え子たちが記念文集を作ることが多いんです。金栗さんをはじめ、劇中の人物には教師も多いので、論文も多く遺されていました。いずれにせよどれも大河ドラマの資料としてはとても特殊な気がします。

――本当に断片的な情報を集めていったんですね。

渡辺:誰も知らない、誰も読んでないものの中から掘り起こしていく作業ですね。日本女子体育大学の創設者である二階堂トクヨ(寺島しのぶ)さんのキャラクター像も…

田畑政治古今亭志ん生も、当然関り合いはないと思っていたんです。ところが、浜松のローカルのタウン誌をさらっていたら、40年ほど前に載っていた志ん生のインタビューがあり、そこに「浜松では造り酒屋の田畑さんの家にお世話になった」という文章を発見してしまった。

 年代から考えても、確実にその時に田畑政治は家にいただろうし、2人は実際に知り合いだったんだ…、という驚愕の事実

…天狗倶楽部については、むしろ劇中ではちょっと抑えたぐらいで。彼らの逸話はもっと使えると思ってかなり調べたのですが、ドラマ化できないものばかり…

…でも、ようやく遺族の方々にたどり着いても、ご記憶が定かでないということなども多々ありまして……。「実はこの本に書かれていたのですが、こういうことをされたことがありまして」と、こちらから説明させていただくこともあり…

…選手団の皆さんが書いていた日記がいくつも見つかったんです。何時に起きて、何を食べて、また何時に移動をして……という大会期間中の行動が事細かに分かってしまった。担当した橋本ディレクターが必死でその情報をまとめて、膨大なデイリーシートを全日程1日ごとに作ってくれて、ようやく行動を可視化することができました。、手間をかけた分、選手がお互いのことをどう思ってたと…

ロサンゼルスオリンピック日本泳法を披露したシーンがありますが、あの話は誰も知らなくて、日本水泳連盟の方にも「あんなフィクションやっていいの?」とも言われました。でも、日本水連が出していた雑誌「月刊 水泳」の古い号に、1ページだけ日本泳法の模範演技をしたという記述があったんです…


膨大な引用ですまぬ。
その上で、ちょっと感想をいうけど、わたしは不遜ながら、自分がこういうテーマでノンフィクション、あるいは史実に創作を絡ませたフィクションを、もし作ろうとしたら…というふうに引き付けて考えたのでした。


このブログの過去記事で、なにせ実際にそんなものができるわけはないから「○○みたいなのが読みたいねえ、見たいねえ」みたいなことはよく言ってますが、
たとえば
・「総合格闘技が生まれて、日本では一時的な隆盛を極めて、それが低迷するまで」
・日本柔術講道館と、あるいは六大学などの非講道館柔道の勢力争いと実際の試合での興亡、海外への武者修行・他流試合者の雄飛
UWFの誕生と分裂をめぐる真相
アントニオ猪木のリアル一代記
パトレイバー創作秘話
・テレビゲーム創世期
・ルパンが第二次世界大戦時に活躍していたら


・・・・・・・・・みたいなのを、仮に本当に作ろうとするじゃん。上に書いてある「いだてん」取材話は、かなり重なると思うよ

・近代史なので、それなりに一次資料は残ってる。逆に多すぎて大変
・ひとつの事件で、複数の資料が残っている。それを突き合わせて、『デイリーシート』を作って情報を可視化しないといけない
・ようやく家族、遺族を見つけても、遺族の方がかえって功績をしらない。取材者側から聞いて「へー、そんなことが」となる
・そうやってしらべてくと、複数の当事者の間に意外な交流のあとが見つかる
・それを構成するときに、さて、誰を主人公にしてだれの視点で描くか?となる。


実際、あと30年後に「いだてん」のノリで「らいじん〜総合格闘技噺」(仮題)作ろうとするじゃない。だれを主人公にするんだ。前田日明か、石井和義か、榊原伸行か、はたまた谷川貞治・・・・・・・・・


こういうのはノンフィクションをやってる人にとっては「いつもの話」でありましょうが、それがまさに「可視化」されて面白い記事でした。
つまり、ノンフィクション作家、記者、ルポライターらの「調べるまでの過程、苦労話」が面白いということなんだけど、それはいくつか本になっています。(作中でそのまま取材の苦労を書くスタイルもある)
特にお薦めは

史実を歩く (文春文庫)

史実を歩く (文春文庫)

これもまあおもしろかった



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