マンガ大賞2018が発表された。
http://www.mangataisho.com/
今回の受賞作は実は名前を聞いたことがないんだけれど、

- 作者: 板垣巴留
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2017/01/06
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やっぱりこういう賞を受賞するとなれば、俄然興味が湧いてくる。何か機会があったら読んでみようか…と普通に思います。
そういう点でやっぱり「賞」というものは、ある種の牽引力と言うか集客力があるのでしょう。
でさ、ちょっと連想がいったんだが、「漫画原作の実写化」という話を聞くと、結構な数のファンが、最初の段階では警戒するんじゃないでしょうか(笑) 。ではあるけれども、まあたくさん作られて母体が大きくなってるということもあるし、やはり探していけば原作に忠実に、雰囲気を壊すことなく優れたドラマとして昇華されている 漫画の実写化も実際に多いんではないですか。
そういう作品を顕彰し、それをもってまだ未見のファンに、「あの賞を受賞した実写化作品なら見てみようかな?」と思わせるほどの信頼性が高い、権威がある「漫画原作の実写作品の『賞』」をどこかで作らないかと、そう思ったのでありました。
まあそういう場合、勧進元がどこになるかはわからない。
映画会社なのか、放送局なのか、出版社なのか・・・・・・・・
こんなこと言ったって実際にはそんな賞が、リアルな現実の賞としてはできることはあるまい。
ただ……このブログでは何度も語ってきた話だが、そもそも「賞」というのはリアルも何も、一種のバーチャルであって、その賞に「権威」が生まれるかどうかは、勧進元の知名度や資金力、人脈…… などに由来する部分が確かにある一方で、そのような後ろ盾がなくてもその絶妙のチョイスや、受賞作品の説得力によって、ありえないような「権威」が自然発生的に生まれていく…というサクセスストーリーの可能性が常に開かれている。
本屋大賞やマンガ大賞はその典型とも言えるだろうし、常々言ってるように宝島社の「このマンガがすごい!」「このミステリーがすごい!」が大きな権威を持ったのも、やっぱり徒手空拳からの 天下取り物語だった。
そして「賞」というのはバーチャル性があるわけで、どこの弱小ネットメディアや零細まとめサイト、あるいは零細ブロガーであっても、「賞」のオリジナル性や、そのチョイスの絶妙さ、説得力によっては大きな注目を集めていく。
だからどんな零細なところでも、勝手に「賞」を作って、受賞させちゃっていいんですよ。
これは謎の社会学者パオロ・マッツァリーノ氏が言ってたんだけど「賞を作って授与すれば、なぜかその賞をもらった偉い人達に上から目線で接する位置に、授与する側が位置することができる」という謎の逆転機能はあるわけです、「賞」って。

- 作者: パオロ・マッツァリーノ
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/10/14
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なにを隠そうこの見えない道場本舗も毎年その年の「漫画10傑」を発表してるし、さらには心の中だけで通用する「内山安二賞」も一昨年から制定し、授与している(勝手に)
「知の巨人」内山安二氏賛歌。そして第1回「内山安二賞」受賞作が決定!(※俺の心の中で) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160706/p1
(受賞作)決してマネしないでください。(1) (モーニングコミックス)
- 作者: 蛇蔵
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/12/22
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「2017年マンガ10傑」を選定します。第2回「内山安二賞」なども併せて授与。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20171202/p1
(受賞作)
- 作者: 縞野やえ,MB
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/12/10
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そんな感じでじゃな、
今現在はデフォルトで「駄目に決まってるだろう…」という偏見の目で見られがちな「原作は漫画の、実写化作品」の中から傑作を掬い上げ、それに対して賞を与えるような試みをどこかの誰かでいいからやってくれないかな……と思っているわけです。
じゃあ何故、内山安二賞のように自分自身でやらないの?という疑問を持たれるかもしれませんが、それは自分がそういう実写作品をみる母数が、絶対的に少ないからですね。
今回この記事をかくに至った直接的な理由は、漫画原作だった「弟の夫」の BSドラマが非常に原作にも忠実な傑作だと思った(あ、本日25日夕方に最終回の再放送あり)からなんですが、それだと候補作1、受賞作1になってしまう(笑)。数年前に遡ると…「孤独のグルメ」「BARレモンハート」、あるいは一昨年のドラマ「重版出来!」ぐらいかなあ。という感じになってしまう。
実写ドラマ版『弟の夫』最終回を見逃した方は、今度の日曜日(3/25)の午後4:00〜の再放送をお忘れなく! ( ´ ▽ ` )ノ pic.twitter.com/zqliDbBTgP
— 田亀源五郎 (@tagagen) 2018年3月23日
漫画原作の実写なら、玉石、いや玉石石石石石……問わず、とりあえず沢山みて、その上で「これは傑作です(少なくとも地雷ではない)」と保証する賞を与えてくれる、そんなところがあればなあと思いました。
ちなみにこれを書いてるときに、具体的なイメージとしてちょっと念頭に置いたのはtwitterの cdb @C4Dbeginner 氏。
最近は映画の「ちはやふる」を熱心に押している。そんな感じで、優れた漫画の実写化作品に「賞」という形を与えていけばいいのでは?と考えたわけです。
https://twitter.com/C4Dbeginner
『ちはやふる-結び-』がすごいと思うのは、音響や脚本に大人の観客が見て「なんて考えに考え抜かれた技巧だ」って唸るような所が山盛りなのに、下は小中学生みたいな観客まで何も考えずに夢中で楽しんでるんですよね。実写邦画なのに、ジブリやディズニー的なあの技巧と普遍性の両立があるんですよ。
— cdb (@C4Dbeginner) 2018年3月20日
「ちはやふる 上の句」からそうなんだけど、そういう「革新的な上手さ」って見てもらわないと説明できないじゃないですか。宮崎駿アニメを見たことがない人に「カリオストロの城」の良さを説明しようとしても、「ルパンがお姫様を助ける?よくある話じゃん。何が違うの」と言われてしまう感じに近い。
— cdb (@C4Dbeginner) 2018年3月20日
ちはやふる結び、本当は山ほど書きたいことがあるのだが、大袈裟でなく100近くあるすごいポイントのすべてがネタバレなので1つたりとも書けない。そういうわけですので見に行って頂きたい。色々な方の感想見てもただごとでないのは伝わっているかと思いますが…
— cdb (@C4Dbeginner) 2018年3月20日
この方は文章を読む限り、原作はある程度知っていたものの上の句下の句を見ないでいきなり「結び」を見た方なのかなあ。でも「なんとなく敬遠→まさかの大当たり!」という気持ちがよく出ていると思う。
— cdb (@C4Dbeginner) 2018年3月23日
ありがとう実写版『ちはやふる』 https://t.co/uZv60Lk5mK @nenaiko_dareyaさんから