ええと、1週前か2週前か、とにかく最近の週刊文春、連載対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」。ゲストが古川良太、「相棒」などを書いてる脚本家。
その中の、こういうくだり。
阿川 一時期、日本を席巻した韓流ドラマはいかがですか?
古川 韓流もいろいろあるんですけど、音楽のKポップと同じで、国内市場が小さいから、初めから世界に売ることを目指して作っている。日本みたいに国内の視聴率を取り合う閉鎖された環境で作ってるのとは志が違う面はあります。
最近中国がドラマつくりに力を入れ始めてるんですが、国内で作る能力がまだ低いから、日本や韓国からドラマを買ってくれる。そのときの値段が、日韓で百倍違うと言われました。
阿川 韓流ドラマは日本のドラマの百倍の値段がつくんですか?
古沢 もちろん、韓流ドラマは大長編が多いので一作の長さが違うんですけど。そういう現実を僕らは直視したほうがいいんじゃないかと思います。
過去記事紹介
7年ほど前か、あるいはさらに前か、テヘランにて「ヘイ、チュモン!」という声が響いた。
無駄に長くやってるブログだから、その時の記事を保存してる(笑)
韓流ドラマ「朱蒙」がイランで超大人気。日本人にも「ヘイ、チュモン!」…電化製品も躍進。食の認証も… http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101014/p3
◇「朱蒙」効果、イラン市場は躍進
「路上で何度も『チュモンによろしく』と話しかけられて……」。在イラン韓国大使館の男性職員が苦笑した。「チュモン」は韓国MBC放送の人気テレビドラマ「朱蒙(チュモン)」の主人公の名前だ。08〜09年にイラン国営放送で放映され、平均視聴率は驚異の60%以上を誇った。テヘランの車の大渋滞はつとに知られるが、「番組が始まると、途端に渋滞が解消した」との“伝説”が残る。
衛星放送を通じたペルシャ語吹き替えの韓流ドラマも大人気だ。(略)「ドラマで韓国を身近に感じ、日本と同様いい印象を持つようになった」とほほ笑んだ。
近年、サムスンやLGなど韓国企業のイラン進出が目覚ましい。日本企業の電化製品、自動車のシェアを軒並み逆転し…(後略)
◇おしん人気、今は昔に…
イランでは約20年前、NHKドラマ「おしん」が爆発的な人気を呼び、日本企業への好感度アップにつながったが、今は昔の話だ。「ヘイ、チュモン!」。街で韓国人に間違えられる日本人も少なくない。
MBCによると「朱蒙」は世界20カ国で放映。日本でも人気を博した「大長今(テチャングム)(宮廷女官チャングムの誓い)」はイランを含め60カ国に及ぶ。閔完植(ミンワンシク)海外事業部長は「番組の輸出は局独自の事業だが、これが韓国や韓国製品のイメージ向上につながっている。日本の番組輸出は、価格や複雑な著作権問題が絡んで苦戦していると聞いている」と話す。
韓国が映像輸出に力を入れたのは、金大中政権の時だったか金泳三政権の時だったか…
いろいろ、強さの指摘はあった。
「国が率先して売り込みにかかっている」
「国がバックアップし、補助金のような形で、実質買い手側からは「ただ同然」になるようなお得価格になっている」
「著作権や肖像権などは一括処理され、いちいち作り手や出演者の許可は不要。配分も少ない」
また、今回古川氏が語っているように
「作るときに、そもそも内容を『海外に売れるように』というのを盛り込んでいる」というのもあるだろう。
で、自分はこう書いたわけです
「韓流が裏技・表技どっちにしろ輸出に成功してるなら、怒る前に真似したい」http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110804/p5
麻生太郎が漫画・アニメ好きだという話題から一時こういうものの輸出・海外新興に政府が絡むことが検討され、例の「国立漫画喫茶」という批判や「もともとお上が関わったら、お役所仕事と天下りで成功するわけがない」という根源的な批判もあり、麻生政権の不人気もあってうやむやになった感がある。
だが「韓流」への批判、それに対して「韓流、いいじゃないか」という反批判があるなら、それをスライドさせて「今の日本のコンテンツ輸出支援体制は結局どこをどう強化すべきなのか?」をもう一度論じるべきやないかと思うなりよ。そこをメーンにした議論になったほうがいいと思うよ。
そしてさっきの
「コンテンツ輸出+各国の放送枠確保−政府の補助金=日本のイメージが残る」
という方程式の(さらなる大規模な)採用も、あり得るわけで。
麻生太郎政権から数えると、間もなく10年となろうかというわけで、この期間に「中国が買い付けるドラマの価格に、日韓で100倍の差がついた」なら、それは何が理由か、は分析に値する。
たとえば純粋に、ドラマの質や俳優の魅力などに帰するかもしれない。
ただ、たとえば
「文化の輸出や輸入は民間の自由な活動に任せておくべきだ。お上が介入すると逆効果」
とか
「海外を意識したドラマ作りや描写の自粛は百害あって一利なし。外国の目を気にせずに作ったローカルなものが、実は一番グローバルな競争力があるんだ」
なんて、当時言われた話も、理想や「べき論」とは別に、それはファクトであったのか、これも検証されるべきだ。
ところで、この「中国で日韓のドラマは百倍の価格差」という話を論じた今回のブログ記事、中韓関係のニュースまとめる、まとめサイト諸氏は今回、自由に転載していいぞ(笑)
いや、既に知ってるかもしれんが。
もうひとつ。中国は早晩、自前で面白いドラマを作り、輸出も行うだろう。…それはいつか?ジャンルは何か?
そもそも古沢良太氏の
「最近中国がドラマつくりに力を入れ始めてるんですが、国内で作る能力がまだ低いから、日本や韓国からドラマを買ってくれる」
ってのは、どれぐらい正しいんですかね。
しかし、こういうのは早晩、実力をつけてくるんじゃないだろうか。
それとも規制がやはり足枷なのかなあ
中国サブカル、その青春期〜いま、中国のサブカル(SF、ミステリー、漫画、ゲーム、ラノベ…)はどうなってるのか、手探りで見る - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170623/p1
中国サブカルは日本を超える…と思ったら今も規制多数「名探偵は警察を侮辱」「タイムトラベルは現状への不満だ」 - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1128675
この二編が光と影、の象徴なのだけど、スマホが中国国産が徐々に韓国スマホの場を荒らすように(日本は最初から負けてる)、ドラマも侵食していくのかね。
すでに歴史大河ドラマは、中国には題材もたくさんあるから(笑)面白いらしいですよ?
清朝のチート皇帝・康熙帝や雍正帝を描く中国の大河ドラマ - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1106299
追記 そういえば「Jリーグ海外で放送」は結構、成功しているとも聞くが…
2012年、そんなことやって何になるんだ?と思った一人ですが、・・・・・・・・ブンデスリーガを日本のファンが視聴して楽しむように、Jリーグを海外のチャンネルで視聴して楽しんだり日本チームの誰かのファンになる人もそれなりにいるようですね。
Jリーグを海外で無料放送し、ファンを増やす? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121231/p4