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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

不良少年、シェイクスピアに出会う―名作「大阪ハムレット」(森山裕美)第1話が完全無料で読めます

この前作ったまとめ https://togetter.com/li/1165374 には収録したけど、再度紹介したい。何しろタダで読めるのだから(笑)

ツイートと画像も再掲載して…

#読書に関する漫画名シーン

森下裕美大阪ハムレット」1巻

少年アシベ』『ここだけのふたり』でおなじみの森下裕美の新境地! 大阪の下町を舞台に繰り広げられる哀歓あふれる短編が、やさしくそしてほんの少し辛味が入って編まれている人生劇場第1弾!


様々な人間模様を描くオムニバス漫画。
第一話では絵に描いたようなヤンキー(※漫画なので絵に描いてますけど)が主人公。

実の父親がなくなり、母親は今、新しい恋人(正式な夫、主人公にとっては正式な義父ではまだ無いようだ)がいるという、複雑な家庭環境を持つ不良少年を、ある教師が「ハムレットだね」と評したことを小耳にはさみ、そこで彼は柄になく(笑)その本を手に取る。その理解の仕方がちょっとアレだが…

それでも彼は彼なりに、この偉大な英国文学の古典に挑み、
「ハッキリものいわんかい」
「あかんな、お母ちゃんにも悪態ついて」
「なんで生きるか死ぬか問題っていうとんの?」
とストレートに感想を述べ、疑問をぶつける。言葉の正しい意味での「反知性主義」って、おそらくこういうものじゃないかい。

そして最後に、家族にはもうひとつ、大きな出来事があり、主人公はある決心をする。
それは、彼が「ハムレット」を読んでさまざまな思いを抱いたことが、関係しているのだろうか。
古い文学が、後世の人間の指針?になり、泣いたり笑ったりを、こういう少年にも(笑)促せたとしたら、それは偉大ではないか。


・・・・・てな一篇が、そのまま電子書籍の立ち読みコーナーに載っているのですよ!
本来、こういうのは続きを読みたいと思わせるために途中で切るものだけど、この作品は最初に書いたようにオムニバス短編集……なので、偶然か意図的なものか、この一篇は立ち読み部分だけで、独立した短編を読ませてくれることになる。これ重要。だから紹介した。


ここな
http://sokuyomi.jp/product/oosakahamu_001/CO/1/

ソク読みでは途中までになる短編

余談だが、この話の次の回は「女の子になりたい」と学校で公言した少年の物語でこれも傑作。

興味深いのは、もちろん悪意にも好奇やからかいの目にもさらされるけど、
逆に、きわめて自然かつ寛容、本人の意思を尊重する振る舞いが自然に描かれているところもあるのだ。

「女の子の服装、劇なら着てもいいんちゃう?お姫様役やったら?」
「主役やないか!」
「おばさんの服着たれ」・・・・・・・と。
多くの登場人物は人格円満でも聖人君子でもないが、それでも何かの物差しが己の中にあり、一見いちばんそういうコをいじめそうなガキ大将が「こいつかっこええやん」と認めたりするのだ。
そんな、人間模様。

5巻では「識字」のことが描かれる

手塚治虫文化賞短編賞+文化庁メディア芸術祭優秀賞ダブル受賞の本作、待望の第5巻!かつて本作は松坂慶子主演で映画化、大好評を博しました。この第5巻も相変わらず喜怒哀楽てんこ盛りです。愛らしい4コマ漫画キャラ、アザラシのゴマちゃんで有名な『少年アシベ』を描き一世を風靡した著者がストーリー作品に挑み、人生の哀歓を深く描き切り、読む者を感動させた新境地です。手塚治虫文化賞文化庁メディア芸術祭優秀賞ダブル受賞をしてからも更にその内容を充実させています。約7年ぶりの刊行となる第5巻は、WEBコミックアクションで配信された2シリーズ、計6作品をまとめたもの。

この作品、数年のブランクを経て最近5巻が出たのだけど、この巻の最初の話がストレートに「識字、読書、教育」を描くもの!
今の日本ではやはり特殊な状況を想定しないと描きにくい話だけど、もちろん特殊な事情がいろいろあり、まだ戦前の人たちがご存命の今はあり得る話でもある。


「字が読み書きできるのは素晴らしいんだ」という話は疑義のないテーマとして、感動を高らかにうたえることもあり、一昔前はよく描かれたストーリーでもある。そこをリバイバルした物語、と見ることもできましょう。
これも、半分ほど試読可能。
http://sokuyomi.jp/product/oosakahamu_001/CO/5/