『タケヲちゃん物怪録』は2012年に連載が始まり、単行本も既に5巻を数える作品
とよ田みのる待望の最新作は「妖怪屋敷」!タケヲちゃん物怪録 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
- 作者: とよ田みのる
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/05/11
- メディア: コミック
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「ラブロマ」「FLIP-FLAP」「友達100人できるかな」のとよ田みのるが紡ぐ待望の最新作は何と妖怪屋敷!!強い祟りのせいで世界一不運な女の子タケヲちゃんが高校生活を送る一人暮らしの部屋に選んだ「百鬼荘」は何と妖怪屋敷だった!だが、妖怪との出会いで、ひとりぼっちだったタケヲの人生に少しずつ変化が…!?とよ田みのるが紡ぐ新感覚妖怪譚、開幕!!!
「ラブロマ」「友達100人できるかな」の作者さんということで雰囲気の説明は不要な気もするが、特に今回は妖怪が集まる場所、ということで藤子不二雄的テイストも多く、リスペクトキャラなんかも出ていて以前から楽しく読んでいた。
ところで今回、この前発売されたばかりの同作品のエピソードに、大きな反響が寄せられているのであります。
【追記】その反響をtogetterにまとめした。
とよ田みのる「タケヲちゃん物怪録」第26話(「ゲッサン」2014年1月発売号)の感想〜雑誌カラーの「仕掛け」とは - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/616560
なぜ皆に紹介するかというと、やはり今の漫画というのは1話完結的な描き方はざっくり分けると基本的に小数派に属する。そして一話完結でも、この主人公はこういう特徴があり、その隣にいるこの人はこんな超能力が使えて・・・というようなことが分かっていないと話の意味が通じない、ということが多く「この回だけでも独立して読んでみて!」と言い切れるような回ってのはそうそうは無いんだよね。
もちろんこの「物怪録」も、主人公のタケヲさんが「不運を招く祟りにかかっている」とか、彼女が住んでいる妖怪アパートは、逆にそのタケヲさんを護るような立ち位置で・・・とか分かってたほうがスムーズに読める。
今回の連載はですね、妖怪がいっぱいでてきます。
でもあんまりどよーんとしてなくてワイワイとしています。
非常識なことを言ったら突っ込んでくれたり
驚かそうとしたのに逆に驚いちゃったり
哀しいことがあったらめそめそしたり
いいことがあったら大笑いするような
まるで僕たちみたいな普通の妖怪達です。
そんな普通の妖怪さん達の中に普通じゃない女の子がやってくる話です。
それでどんな化学反応が起きるのか……(略)
http://gekkansunday.net/top.html
だけれども、そういう事前設定理解なしの、独立した短編としてすばらしく読めるのだな。
「毘沙門神社」(伏線)に「季節はずれ」(伏線)の時季に花が咲く、名物の桜の木があった。
しかし、それを行っていたのは、むしろ毘沙門天に踏みつけられる側の「天邪鬼」。なんでも人の意思に逆らうこの子が、いたずら心で春ではなく、冬に咲かせたのがこの天邪鬼だったのだ。
だけど、その桜に小さいころからずっと励まされ、今度のお嫁入りにも、「かならずこの季節に咲く」と桜を待っている女性がいた。アマノジャクな天邪鬼のアイデンティティとしては、この場合どうすべきなのか?
だが、その決断は、天邪鬼の・・・いや妖怪という存在自体の根本的な意味を揺るがす、根本的な意味が隠されていたのだ。
自分はえんどコイチの「死神くん」、藤田和日郎の「うしおととら」でも、やはり独立性の高いエピソードである「サトリ」の話を思い出したりした。もっと遡れば、人魚姫やナイチンゲール(鳥)のように、超自然的な存在が人間を見守り、応援する無償の愛・・・という話にもつながるでしょう。
ただ、そこにさらに「妖怪が妖怪であるゆえんは人間への恨みがあり、それこそが存在意義である」という新しい物の見方・・・…藤子・F・不二雄氏の短編で「神様」や「地蔵」を扱った作品にも「人の信仰が神の力であり、信仰が失われると神は無力になる」という設定があったな。アウターゾーンのサンタクロースもそうだった。
とまあ、
なんだかんだで、いままで知らなかった人も、今回の「ゲッサン」タケヲちゃん物怪録をお読みになられてはいかがでしょうか。
いまゲッサンはアオイホノオ(島本和彦自伝から80年代の漫画シーンを描く漫画)、アサギロ(新撰組)、放課後さいころ倶楽部(日本唯一のボードゲーム漫画)、レ・ミゼラブルの漫画化、ルポ漫画・・・なんかがあって、結構コストパフォーマンスがよろしい。
ゲッサン
http://gekkansunday.net/top.html
タケヲちゃん物怪録は、1巻の一部が試し読みできる。