「組織的犯罪処罰法改正案」について、togetterのコメント欄に寄せたコメントをメモ的に書いておこう。
「テロ等準備罪」を未だに「共謀罪」と言い「共謀罪反対」と主張する人達 - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1120260
この表題的に、政府は「組織的犯罪処罰法改正案」を通常呼ぶ呼称を「テロ等準備罪」としたが、「共謀罪」と呼ぶメディアなどもある、という話について。
とりあえずいわゆる共謀罪を定めるのが組織犯罪処罰法(改正)6条の2であるところその表題は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」であり条文中にも「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と明記されていることくらいは理解しておこうね。
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) 2017年6月16日
などと名称はややこしいのだが、
それはともかく
そのまとめのコメント欄で、こう書いた。
gryphon(まとめ用RT多) @gryphonjapan 2日前
これは自称と他称の問題で「最終的に呼ぶ側が呼称を決める権利がある」が(正式な外交文書等でない限り)原則だから、共謀罪と呼ぼうとなんと呼ぼうと最終的には自由なのよ。英国でもサッチャー時代、野党側はサッチャーの提案した新税を「人頭税」と呼んで攻撃できた。/「合州国」「ISIS」「日王」「中華民国」「台湾国民」「南朝鮮」「ビルマ」「支那」「京城」「旧約聖書」「再洗礼派」等々も、自称や公称とは違うが、似た面がある。
http://amiyazaki.net/DEMOCRACY/New_Labour_Party/poll_tax.html
…大問題に発展したのが、コミュニティ・チャージ税だ。
これは住んでる家族の頭数分だけ税金を課すというもので、
「人頭税(poll tax)」と呼ばれる逆進性が異常に高い税制だった。
(略)
現実問題として税負担能力がない人間にも負担を求めることになり、
大規模な不払い運動や暴動まで発生した。
人頭税によってサッチャー人気は急激に衰退し…(後略)
そう、「自称と他称」の問題はずっとこのブログでは追ってきた。
今回、「提出者は『テロ等準備罪』という呼称を決めたが、我々は独自の価値判断に従い『共謀罪』と呼ぶことを選択する」という動きがあったことは、この自称と他称に関する問題の原則に光が当たる、という点では良かったと思う。もちろん、そう呼びたいと思ったものが、最終的にはその呼称を使用すればいいのである。言われる側の自称は、重要な判断材料の一つだし、結果的にそれと同じになることも多いだろうが、最終判断する権利は、呼ぶ側。
それで、いいのでありましょう。
そして、ここにもつながる。
提案2つ〜/「金王朝」という言葉を積極的に使おう/国会非難決議の対象に、「支持団体」も加えよう - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160108/p2
(略)…自分は出来る限り意識して「金王朝」という言葉を使っている。
それは、国土や民族全体との区別をすることが重要だと考えているからだ。
金王朝が核実験や各種の人権問題を引き起こし、またそんな支配体制を支持団体(朝鮮総連など)が熱烈に賛美賛同することで批判を浴びるのは当然だが、たとえばその民族全体、国民全体が悪いとか、たとえば「低能民族」があるなんてことはあり得ない。
その区分を、ニュアンス的にも表現するためです。「北朝鮮体制」とか「朝鮮労働党体制」と言う言葉も意識して使っているが…「金王朝」という言葉のほうが座りはいい
たとえば、現状の組織体制や活動への価値判断に基づいて「朝鮮学校(という組織)を『金王朝学校』と呼ぼう」といった提案も、「共謀罪」とまったく同様にあり得るかもしれない。
もちろん、呼びたくない人はそう呼ぶ必要はない。
それぞれの価値判断ということだ。(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141018/p1を参照)
そしてまた、公的や呼びかけや外交文書その他、彼らの自称や国際名称その他、別の価値基準に基づいた呼称を使うべき場所もあるだろう。
それはそれで、自らの価値判断に基づいた通称としての自称・他称と並列しつつ存在するものだ。
今回「我々は敢えて『共謀罪』と呼ぶ」というメディアや論者を見た時、私は上の過去記事を思い出し、「ふむふむ、われら論旨は同じですなあ」とうなずいたものだった。今回も、この「共謀罪」呼称をきっかけに、こういう価値判断や好みに基づいた自称・他称の権利というものを考えてもらえれば幸いだ。
・・・・・・と言ってるそばから、あたらしい「他称」案を発見した。
都民ファーストの事を反対派が「トイチ」と呼び捨ててるの草生える
— トイレスタンプ香りジェル (@Conscript1942) 2017年6月17日