【新連載】本日発売のアフタヌーン3月号より、原作 真刈信二/漫画 DOUBLE-S『イサック』新連載開始! 17世紀の中世ヨーロッパの戦場に現れた日本人イサックとは——!? http://afternoon.moae.jp/news/3460
17世紀、2つの勢力に別れ、後に30年戦争と呼ばれる激しい戦いの最中にあった神聖ローマ帝国。
そこに傭兵として現れたのは「イサック」と名乗る日本人の男!
彼の壮絶な戦いが始まる!
な、話が始まったわけです。
原作者は「勇午」のひと。

- 発売日: 2020/02/21
- メディア: Kindle版
最初の回は、壮烈なインパクトがあったというわけではない。この主人公が、
・当時としては有数の技術と性能のいい銃を持つ「狙撃兵」であったこと、
・・傭兵として生計を立てている(だが、どこかにがっちりと所属している訳ではない)こと
・ヨーロッパまで渡った理由は「復讐」のためであること
・そのヨーロッパは、欧州の歴史を変えた「三十年戦争」の真っ最中、であること
が紹介されるプロローグだ。
一話試し読みがあったらよかったのになー。(註:その後公開!http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170225/p2参照のこと)
僕が語りたいのは、この作品そのものというより、この設定…つまり、リアル戦国期のサムライが、海を渡って『欧州に行き』活躍するという話のリアリティ、類例、過去作品…などについてであります。
戦国期、サムライが傭兵(or 戦争奴隷)になって、海外で戦っても全然おかしくない!だがヨーロッパに、実例ある?無いよね?
戦国時代がロマンあふれる時代として愛されている背景のひとつが、大航海時代から大きく活動範囲を広げた南蛮=ヨーロッパとの交流が、彩を与えているのは間違いない。
そういう交流には、金、宗教、食、思想…などとならんで、「暴力(軍事)」があったのは間違いないですよね。
もう列挙する必要もないけど
・鉄砲伝来
・そこから日本で独自の大発展を遂げて、むしろ世界一になった銃の数
・それでも西洋や大陸になぜか一日の長があった「大砲」の技術
・西洋剣術vs日本剣術
・倭寇
・明末〜清初期の混乱
・相互の拉致や人身売買による、結果的な人的交流や拡大
・宣教師
・イギリス、スペイン、オランダ、ポルトガルの権力争い
・南方に次々出来た植民基地
・大友宗麟などのキリシタン大名
・シャムに実際に出て政界にも進出した傭兵・山田長政
・実際に亡命したキリシタン大名高山右近
・スペインに支倉常長を送り、同国と秘密同盟を組んで天下取りをしようとした(と妄想できる!)伊達政宗
・・・・・・・・・・などなどのパーツ、ピースを集めれば、かなりたやすく「戦国期のサムライニンジャは、同時代のヨーロッパにもわたって活躍していた!」みたいな作品は、十分に書き得た…と思うの…だけど…結果として「あまり無かった」んじゃないでしょうか?(保留)
西洋からやってきた、フェンシングや大砲を使いこなす海賊や無法者といった連中を「迎え撃つ」作品なら見たことがある。

- 作者:梶原 一騎、小島 剛夕
- メディア: 文庫
この作品は梶原一騎&小島剛夕「斬殺者」。将軍家指南の小野・柳生が西洋拳法の使い手(実は海賊)と御前試合をすることになり、柳生は言葉巧みに勝負を避けたが、小野は戦うことになり…という展開。その後この海賊は宮本武蔵と戦う。 pic.twitter.com/h29vFBq1Kt
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2013年9月16日
朝鮮、明、満州、シャムあたりまでなら、そこでの活躍や戦争を描いた作品は見たことがある。

- 作者:周作, 遠藤
- メディア: 文庫

- 作者:司馬 遼太郎
- 発売日: 1991/01/01
- メディア: 文庫

- 作者:司馬 遼太郎
- 発売日: 1991/01/01
- メディア: 文庫
あと、異世界に飛んで、その中立のリング?で西洋騎士と日の本サムライ(というか薩摩蛮族)が戦う作品はみたことある(笑)。

- 作者:平野 耕太
- 発売日: 2013/03/18
- メディア: コミック
「におうぞ 漂流者どものにおいだ」
— Moyashism/もやさん (@Moya_Hel) 2016年11月18日
「おかしか芸を使うのう 妖の術か何かかのう」
冒頭からエルフさん真っ二つにされてましたね...
#drifters #ドリフターズ pic.twitter.com/iwBi9FdZG7
このまえ、とみ新蔵先生も、なんかそれに影響されたのか、時空を超えて日本の剣術家と世界中の剣士が戦う作品描いてたなぁ。
- 作者:とみ 新蔵
- 発売日: 2014/09/26
- メディア: コミック
「剣術抄」第1巻 大ベテランの集大成!時代すら乗り越え繰り広げられる夢の対決!
- 作者:とみ 新蔵
- 発売日: 2014/10/27
- メディア: コミック
http://3f.ldblog.jp/archives/41068703.html
吾作の剣術修行と、名声狙いの武芸ものとの戦いが本作のメイン……ではなかったりします。
なんとこのあと、月探と吾作は……タイムスリップ!!
様々な時代、様々な土地の様々な猛者と戦っていくことになるのです!!
(略)
古代ローマ闘士と日本剣術が戦ったらどうなるのか?
西洋のフェンシング+銃と戦ったら?
そんなドリームマッチがガンガン繰り広げられてしまうのですからもうたまらないわけですよ!!
しかも登場する人物の中には、捜索・実在問わず有名な人物も登場!!
ダルタニアン、座頭市、そして本格登場は次巻に持ち越されるもの、あの呂布までも……!!
とみ新蔵「剣術抄」めちゃくちゃおもしろい!
— おおかみ書房/なめくじ長屋奇考録 (@gekigavvolf) 2014年10月9日
真剣での立ち合いの「術理」を描いた巨匠渾身の新作、と思わせといて第3話で唐突にタイムマシンが登場してSF開始! 最高の異種武術対決エンターテイメント! pic.twitter.com/yZF0GfeJlB
とみ新蔵「剣術抄」の魅力② 古代ローマの剣闘士との時空を超えた夢の対決 pic.twitter.com/rKxhsXJjRE
— まこ (@mako_0722) 2014年9月30日
しかし、戦国期と同時代のヨーロッパに、「こっちから」出向いていく作品………
それをあまり知らない。
非常に不思議なのは、
同じように「設定的には、いろいろ工夫すればありそうなんだけど、調べてみると残念、そんな記録は見つからないんだけどね。でも実現したらロマンあるねー」という点ではまったく同じの「幕末剣士(の生き残り)が、西部劇の世界で大暴れ!!」な作品は、私が知ってる限り、片手では足りないほどあるんだよ!!

- 作者:川崎 のぼる
- 発売日: 2013/09/26
- メディア: コミック
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- 作者:村枝 賢一
- メディア: コミック

- 作者:川原 正敏
- 発売日: 1992/12/11
- メディア: コミック

西洋vs東洋 資料追加
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2017年2月6日
そういえば「おもしろそうだ!」と思ったものの、結局連載を追わなかったこの作品、どうなったんだろう…。
White Tiger~白虎隊西部開拓譚~ 1 (ヤングジャンプコミックス) 夏目 義徳 https://t.co/kubTP8L9D4 pic.twitter.com/MTrH203VYg
東洋vs西洋もの 資料追加
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2017年2月6日
これには触れてあげないのがやさしさ?という感じでみな触れない、和月伸宏氏のジャンプ二作目。
この西部劇作品にも、会津人登場。
打ち切りさんいらっしゃい! 【ガン・ブレイズ・ウエスト】 https://t.co/v8ZAyLxZ2z
谷口ジローもかいてた。このほかに短編「ロングナイフ」というのもあり。
この件についてはみなもと太郎が「自分も調べてみたけど、西部劇の世界に接することができた日本人はジョン万次郎だけですな」と

- 作者:みなもと太郎
- 発売日: 2014/06/14
- メディア: コミック
いま展開中の「西洋vs東洋ものを考える」資料
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2017年2月6日
戦後のマンガ史にも超くわしいみなもと太郎先生が
「幕末サムライvsカウボーイを描く”フィクション”は沢山ある(僕も描いた)」
「けどまァ、史実としてはいないね」(左側にちょっと記述見えるでしょ)
と「挑戦者たち」で述べています。 pic.twitter.com/8JZUqb2AS6
だからこそフィクションでみな考えるのだろう。
逆にあれだ、西部劇時代(南北戦争時代)を経験した青い目の軍人が明治初期の日本に来る「ラストサムライ」はその裏返しね。
だけど、なぜか戦国期のヨーロッパでのサムライニンジャの活躍はねー…あまり無いような…
実は一作だけ、教えてもらったことがありますねん。
同時代架空・実在人物の対決・共演に関する妄想話 - Togetterまとめ https://togetter.com/li/544720
これは自分の妄想だが、幕末のサムライが渡米すれば西部劇にぎりぎり間に合うけど、同様に、鎖国直前直後に海外に出た侍はぎりぎりで「三銃士」の世界に間に合うんじゃないかな?ルイ十三世の治世はえーと・・・。在位1610年 - 1643年か。 @fullkichi @jingu77
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2013年8月5日
@gryphonjapan @jingu77 それ荒山徹という作家がもう書いてます(笑)。ダルタニャンが極東の国からきたリビングウィロウという隻眼の剣士と出会うという。リビングウィロウ、訳すと「柳・生」……(^_^;)。
— ふるきち (@fullkichi) 2013年8月5日
@gryphonjapan @jingu77 失礼「ウィロウリヴィング」でした(ますますそのまんま「柳・生」w)。で、ダルタニャンとその柳〇十〇衛が共闘するわけですが、敵が繰り出してくるのが何と「ネス湖の怪物」であるという(爆笑)。http://t.co/0TyRwxgtuk
— ふるきち (@fullkichi) 2013年8月5日
江戸(エド)から来た無敵の剣の遣い手――隻眼の東洋人ウィロウリヴィングは、いったい何者なのか?
突然現れた無敵の剣士と無二の親友になったダルタニャン。パリ、ブルターニュ、ブリテン島――2人の奇想天外な冒険は続く。
講談社創業100周年記念出版三銃士との思い出を懐しむばかりのダルタニャンに、トレヴィル殿から呼び出しがあった。盗賊スカーレット・ルピナス団を追え、と。こうして始まったダルタニャンの冒険は、フランスからイングランド、スコットランドに及び、この間、江戸から来た無敵の剣士という無二の親友を得て、無事終わりを告げた。が、2人がパリに戻ったとき、男は、さらなる驚天動地の行動に出た。彼は、天海僧正によって仕組まれた、とある使命を帯びていたのだった。
内容(「BOOK」データベースより)
三銃士との思い出を懐しむばかりのダルタニャンに、トレヴィル殿から呼び出しがあった。盗賊スカーレット・ルピナス団を追え、と。こうして始まったダルタニャンの冒険は、フランスからイングランド、スコットランドに及び、この間、江戸から来た無敵の剣士という無二の親友を得て、無事終わりを告げた。が、二人がパリに戻ったとき、男は、さらなる驚天動地の行動に出た。彼は、天海僧正によって仕組まれた、とある使命を帯びていたのだった。
そう、自分もこれを考えたのは「三銃士」を読んで、日本のサムライとチャンバラしたらどっちがつえーかな?と思ったからでした。

- 作者:アレクサンドル・デュマ
- 発売日: 2009/10/23
- メディア: 文庫
ここに「三銃士」年表という労作あり。
http://www.cac-net.ne.jp/~louis/darstory/character/darhistory.htm
1605?
ダルタニャン誕生
1625〜26
3月末〜4月始/ガスコーニュからパリへ向けて出発
ふふふ、ぶっちゃけて予想しちゃうけど、1620年というイサックの設定は…話が進むにつれて、どこかで「ダルタニアンと愉快な三銃士」の連中と会いまみえることを想定してるんちゃう?
・・・・・・・というのは、まるで薬物を使って、妄想しているように思われるだろうか。いやいやそんなことはありません。というか急にクスリの話が出てきたな。
なんでだろう…
あ、そういえば、アニメ三銃士の中に出てきた、お馴染みの「こどもが共感できるように設定された、ただのうざいオリキャラ」に見えた「はだしのジャン」って、その名で民衆反乱を起こした人物が実際にいたんだそうな。そんな細かい設定が…三銃士の近くにいて、ブルボン王朝の腐敗と堕落を目の当たりにし、心に革命の炎を燃やしたのでしょうか。
まあ、そんな感じで、自分にとっては数十年間温めてきた、戦国期〜江戸初期のサムライが「三銃士」の世界に赴いて、その西洋フェンシングvs日本剣術! マスケットvs種子島!!な対決を見せてほしい、というアイデア(?)が実現する(かもしれない)のが今回の「イサック」です。
はてな人力検索で、先行作品を調べてみるかな…?聞いてみた。
戦国期〜江戸初期周辺を舞台にした「西洋vs東洋(日本)もの」を教えてください。- 人力検索はてな http://q.hatena.ne.jp/1486355156
月刊アフタヌーンで今年、原作 真刈信二/漫画 DOUBLE-Sの『イサック』という作品が始まりました。「30年戦争と呼ばれる激しい戦いの最中にあった神聖ローマ帝国。そこに傭兵として現れたのは「イサック」と名乗る日本人の男!…」
といったあらすじですが、この時代は鎖国直前、南蛮(欧州)と日本の交流が実に活発で、「日本侍が傭兵として欧州に渡った」という設定も、あまり無理はない気がします。だが、私の知る限り類例はあまりありません。そこで
1:日本人が欧州に渡った…を含め、この時代(戦国〜江戸期)の西洋と東洋がチャンチャンバラバラやドンパチを繰り広げるような、フィクションでも史実を基にしたものでもいいので、そういう作品を教えてください。思想的な対決や政治・経済的な対決でも結構です2:もし自由に発想するなら、どんな設定を考えますか?「ニンジャvs騎士」「秀吉がシャム侵攻」など、色々考えてください。
この質問はブログ記事
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170206/p2
と連動しています。(既に知っている先行作品もそちらで紹介しています)
そしてお馴染み、同様のテーマでツイートを集めてのtogetterも作りました。
物語の「西洋vs東洋もの」について考える - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1078599
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トム鈴木 2017/02/06 15:39
映画『レッド・サン』はいかがでしょうか。
以下のブログに詳しく考察されています。
http://baphoo.hatenablog.com/entry/2015/02/16/『レッド・サン』
gryphon 2017/02/06 16:06
ありがとうございます。みなもと太郎氏が「70年代の大作」として挙げていますね。
https://twitter.com/gryphonjapan/status/828473359121854464
やはり舞台は中世ヨーロッパより西部劇のほうが、セットなどもそのまま使えて、映画としては撮りやすかったのかも?
トム鈴木 2017/02/06 22:37
あー、見落としてました。失礼しました。
gryphon 2017/02/06 22:39
いやいや、大変にありがたい話です。そのリンク先も新情報で、非常に詳しいですし。
つきかげ 2017/02/06 23:03
考えようによっては、「境界線上のホライゾン」は、そのような話であるとも思えます。
gryphon 2017/02/07 02:58
へー、その作品の題名はきいたことがあるけど、内容はそういえば未見。
菜々氏 2017/02/10 18:01
週刊少年ジャンプの10週打ち切りマンガですが、
山田和重氏の『グラン・バガン』が、日本のサムライがシェイクスピアとともに
イギリスに渡って活躍するマンガになるはずでした。
リアルな時代劇というよりも「るろうに剣心」の二匹目のドジョウを狙ったような
ファンタジー時代劇ではありましたが。
gryphongryphon 2017/02/11 05:08
自分もジャンプは読んでいるはずだが、記憶にないんだよなあ
maturi 2017/02/16 22:08
・時代伝奇専門の人 http://denki.txt-nifty.com/ にコンタクトをとるといいのではないかと
・作家でありそうなのは(あるとは言っていない)
山田風太郎 山田正紀 菊池秀行 荒山徹(既出) 東郷隆 清水義範 朝松健 宇月原晴明(『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』、『聚楽 太閤の錬金窟』) あたりでしょうか
・カムイの剣!・・・は幕末か
・天地紙筒之説!・・・は遣唐使時代だったというのは前振でそのものずばりがありました
・黄金の国から来た男―球形のフィグリド (ソノラマ文庫) – 1988/1 鳥海 永行
エドワード黒太子時代
(amazonあらすじより)”波涛渦巻く真冬の北海を渡り、フランス国王の意を受けて老騎士ギベールがノルウェーにやって来た。時はまさに百年戦争の前夜、イギリスとの戦いを控え、当地の王フリチオフにフランスと同盟を結ばせるのが目的である。だが、フリチオフ家の5人兄弟のうち長男エーリク、三男アトレ、五男ラグナルの三兄弟は老いた父王を軽んじ、すでにイギリスの王太子・黒太子と盟約を結んでいた。フランスとの同盟を迫るギベールは始末するしかない。エーリクがギベールを襲撃したとき、ギベールの奴隷のひとりが立ちふさがった。隻眼を黄金造りの眼帯で覆い、枇杷の長棒を手にした東洋人奴隷・勇魚。この若者こそ、はるか遠い黄金の国・ジパングから来た戦闘奴隷だったのだ。激動のヨーロッパを舞台に、勇魚の活躍を描く大河冒険ロマン