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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

朝日新聞の防衛費社説、全面反対でなく「ある程度の負担は避けられまい。ただ…」という言い方が衝撃だった

http://www.asahi.com/articles/DA3S12721114.html
(社説)防衛費 優遇はしわ寄せを生む
2016年12月24日05時00分

 来年度の国の当初予算案で、防衛費は前年度当初から1・4%増の5・1兆円になった。第2次安倍政権発足後の2013年度予算で増額に転じて以来、5年連続の増加である。
 中国の強引な海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル実験など東アジア情勢が不安定なだけに、ある程度の負担は避けられまい。ただ財政難のなかで、防衛費をことさら優先するような予算編成には疑問を禁じ得ない。

 …(略)1・6%増の社会保障費と、原発事故の賠償関連経費が加わって3・5%増となるエネルギー対策費を除けば、防衛費の伸びが最も大きい。5年続けて1%前後の増加を確保するのも、社会保障費以外には例がなく、優遇ぶりが際立つ。

 防衛費とは対照的に、教育・科学振興費は5・3兆円余と横ばいで、防衛費との差は2千億円余りに縮まる。
(略)


(略)…「後年度負担」という仕組みで、維持・修理費もかさむため、将来の予算を圧迫していく。大学などに研究費を支給する制度に110億円を計上したのも、学術と防衛の関係で問題をはらむ。

 財政の状況は厳しい。防衛費も聖域とせず、費用対効果を厳しく検証するべきだ。他の分野にしわ寄せするばかりでは、国民の理解は得られない。

いや、「反対!」でなく
「ある程度の負担は避けられまい。ただ…」
「聖域とせず、費用対効果を厳しく検証するべき」
という表現だったことに、大いに驚いたのであります。
どんな議論が、社説会議ではかわされたのでありましょうか。

 思い出すのは、朝日新聞主筆で、現在は若くして亡くなられた若宮啓文氏が論絶委員だったさいに…彼は竹島を韓国に譲る、とかの論で批判を浴びたけど、実は朝日新聞のシ社論を彼が大きく大きく転換し、特に軍事的な面での自衛隊の活動や法的な整備を大幅に認める、というふうな流れを作ったことだった。第二次安倍政権では「安倍批判は朝日の社是」という伝聞の証言をめぐって、安倍政権vs朝日新聞 の象徴的な存在になったが、実は安倍内閣との対立などというのは傍流のエピソードで、本人もおそらく一番重要だと考えているのは社説で「有事法制」や「PKOへの積極参加」を容認することに踏み切ったことのようなのであります。
このへんは著書「闘う社説」でも自分でかいてる。

闘う社説 朝日新聞論説委員室 2000日の記録

闘う社説 朝日新聞論説委員室 2000日の記録

 この朝日の歴史を変えたと言っていい巨大な方針転換は、は安倍批判などと違って、味方からも激しく激しく攻撃される……ときどきゴシップ誌などに載っていたのは、朝日内のもっと急進的な護憲派というか、朝日のなかでは守旧派ともいえる勢力が「S」氏を中心にして、これらの問題の路線闘争…というより権力闘争を若宮派に仕掛けていた、という話だった。
また、やっぱりというかなんというか、投書欄にも抗議が殺到したのだということです。
若宮氏は、そういう路線転換の象徴だったのだそうだ。

これは本来的には、もう保たなくなった要塞は放棄し、防衛線をひきなおすということで、やらないよりはやったほうがいいんじゃないか…と思うが、そこは長年の読者から怒られまくったという。

…そして偶然にも、この社説を書いた後、中国の空母が太平洋に進出するという衝撃的な事案が発生した。
この遼寧は、全長304メートル、吃水は 10 メートル、船幅: 38 メートルのなかなか堂々たる巨艦だということである。w田足はこういうのの種類や数字にまったく疎いが、兵器に関しては、ウィキペによると

730型CIWSを大型化した1130型CIWSを3基、HHQ-10(FL-3000N)艦対空ミサイル18連装発射機を2基搭載している。1130型CIWSは、11連装の30mmガトリング砲を有し、発射速度は約10,000発/分、有効射程は約2.5から3.5kmとされている
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BC%E5%AF%A7_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)

のだそうだ。
もともとはソビエト連邦で設計がなされた航空母艦「ヴァリャーグ」が、混乱で未完成だったものを入手して、それもカジノ場にする、とかといいつつ、艦体を入手して、トルコのダーダルネス海峡を本来は通過できないところを、をうまく交渉して通過した…、というからおどろきである。
こういう問題は視覚的なインパクトというのがあるからなあ。世論調査などでは、防衛費についてどういうふうな数字が出てくるだろうね。
朝日の「やむを得ない」社説は、こういう状況になることをいち早く入手していたのかもね?

だからこそ、この社説にいたった論説委員会議のドラマを知りたい
雑誌「ジャーナリズム」に掲載されるかな?