http://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html
差別,いじめ,嫌がらせ等人権に関する問題でお困りの場合は,法務局の人権相談をご利用ください。
○電話:みんなの人権110番(0570-003-110),女性の人権ホットライン(0570-070-810)
子どもの人権110番(0120-007-110・フリーダイヤル)
というのがあります。
以前から議論になっていた話題で民進党「ネクスト法務大臣」に就任した有田芳生議員が、こういう記事を最近書きました。
「ヤンキーゴーホーム」はヘイトではない! 高江で見た基地問題の本質 (有田芳生) - オピニオンサイトiRONNA http://ironna.jp/article/4068 #iRONNA
これに対しては「モトケン」さんが批判の感想を述べている。
ものすごく恣意的な論理だと思う。この人が「ヘイト」についてこういう理解を示すことはとても残念。自分たちの政治目的の論理を最優先する人。こういう論理を使えば、差別する側の論理をいくらでも正当化できる。政治目的と差別助長・誘発はいくらでも両立するし、政治が差別を利用することもできる。 https://t.co/KmqNk9xVBs
— モトケン (@motoken_tw) 2016年10月2日
政治的目的があれば差別的意識を助長・誘発する目的がなくなる、というものではないと思うけどな。政治的目的のために差別的意識を助長・誘発して利用した例なんていくらでもあるんじゃない。 https://t.co/TxkzFKEW0o
— モトケン (@motoken_tw) 2016年10月2日
過去にもこう書いていたっけ
「ヤンキー、ゴーホーム」などの発言は政治的言動であり、ヘイトスピーチではありません。審議されている与党案の定義でもそう解釈されます。そもそも原理的にいえばヘイトスピーチはマジョリティによるマイノリティへの差別と煽動ですから、概念に対する無知と無理解は政治的思惑に起因します。
— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2016年4月26日
当方もへえと、少々おどろいた。
というのは、この議論のとき、ここまでストレートにはあまり語らず「”米軍”出ていけはヘイトスピーチではない」とぼかして、ピントをずらして語る人が多いのですよね。
米軍への抗議活動はヘイトデモにはあたらないと自民党西田議員らも言ってます…参議院法務委員会議事録や対策法成立記者会見でご確認……って284回くらい言った気がするけど気のせい? https://t.co/9CJR1q57cY
— 香山リカ (@rkayama) 2016年8月23日
おさらい
— 有田和生 (@ka1206) 2016年5月24日
ネトウヨは地球から出て行け!
ヘイトスピーチではない
アメリカ(軍)は日本から出て行け
ヘイトスピーチではない
アメリカ人は日本から出て行け
ヘイトスピーチ
ネトウヨは息をするな!
ヘイトスピーチではない https://t.co/lzleTQ8Rbv
典型をここに求めることができよう。安田浩一氏の文章だ。
沖縄ヘイトを考える(下) 偏見生むデマ次々と | タイムス×クロス コラム | 沖縄タイムス+プラス
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/55592
同法が国会で審議されているときから、ネットを中心に奇妙な言説が目立つようになった。「米軍出ていけ」はヘイトスピーチ−。
実際、ヘイトスピーチ問題を取材している私のもとへもどう喝めいた“問い合わせ”が相次いだ。「沖縄の米軍差別をどう考えるのか」「辺野古の基地反対運動もヘイト認定でいいんだな?」。
(略)もそもヘイトスピーチとは、乱暴な言葉、不快な言葉を意味するものではない。人種、民族、国籍、性などのマイノリティーに対して向けられる差別的言動、それを用いた扇動や攻撃を指すものだ。ヘイトスピーチを構成するうえで重要なファクトは言葉遣いではなく、抗弁不可能な属性、そして不均衡・不平等な社会的力関係である。
これに関しては、同法の国会審議において、幾度も確認されたことだった。法案の発議者である参院法務委員会委員の西田昌司議員(自民党)は私の取材に対し、「米軍基地への抗議は憲法で認められた政治的言論の一つ。同法の対象であるわけがない」と明確に答えた
この記事については、書き手の安田浩一氏がtwitterをしているので、リプライを送って感想を述べたことがある。
@yasudakoichi @theokinawatimes
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2016年8月5日
「米軍出ていけ」でなく「『ヤンキー』ゴーホーム」の場合はどう認定するのか、正直ここを知りたかったです。
そこで、全然ちがってくるからねえ。
ちなみに
「同法の国会審議」というのは平成28年05月12日の参院法務委員会だろう。http://kokkai.ndl.go.jp/
○西田昌司君 先ほどもお答えしましたけれども、そもそもヘイトスピーチを抑制するこの法案、我々の法案の中に、米軍の問題というのが立法事実として初めから含まれておりません。そして、なおかつ、この文章を読んでいただいても分かりますけれども、そもそも適法に居住する方々を排除するという目的でやっているわけでありまして、米軍というアメリカの軍隊、そういう機関、そういうことは元々この中には入っておりません。
さらに、具体的なその中身を見ないと分かりませんけれども、いわゆる沖縄の基地などの前でされている活動というのは、これは政治的なそれぞれの活動であると、政治的な政策であったり、その政策に対する批判であったりだと思います。当然、そういうことは憲法上許される表現の自由の一番大事なところでありますから、我々自身がこの法案を作るときに一番気を付けたのは、まさにそうした様々な自由、表現の自由、それから思想、信条の自由、そうしたものが制約を受けない、その受けない中でどうやって実際に行われているヘイト事例を排除していくかということに腐心をしたわけでございます。
したがいまして、仁比議員が御質問されましたそういういわゆる米軍に対する排撃というのは元々入っておりませんし、政治的なそういう活動に対してこの法律が使われることもあり得ないという認識であります。
○西田昌司君 我々は、今申しましたように、政治的な表現活動について制限を加えるつもりは全くございません。
しかし、もう片っ方で、例えば米軍の話今出ましたけれども、アメリカ人出ていけとかいろんな発言もあろうかと思うんですよね。そのときにアメリカ人が、例えば今の仁比委員の発言ですと、マイノリティーじゃなくて強いから言ってもいいんだということにもならないと思うんですね。そうじゃなくて、マイノリティーであるかどうかというのは別で、要するに不当な差別的言動とは何かといえば、いわれないということなんですよ。本人がその責に負わない、全くいわれないことで差別的言動で侮蔑を受けたり、それから地域社会から排除を受けたりする、そういうことを我々は不当な差別的言動として、国民としてやめようじゃないかと、そういう差別的なことは恥ずべきことだという、そういう思いでこの理念法を作っているわけであります。
ですから、当然、米軍基地の話はそれとは全く違う話でありますから対象になりませんが、アメリカ人に対して何を言ってもいいのだということを我々は言っているつもりもまたないということは確認させていただきたいと思います。
さて、この国会での発言で「ヤンキーゴーホーム」に問題がないかどうかわかるだろうか。
わからないよねえ。
ということで、冒頭につながるわけですけど…
上のような形で
法務省の法務局では、「人権相談」を行っている。
ここに電話して聞いてみりゃいいじゃん!と思いついたので、そうしてみたのであったよ。
日時は2016年10月3日の9時53分。
なかなかむつかしい問題だったと見えて、あちらは正確を期すためか、「折り返してこちらの側から電話したい」とおっしゃるので了承した。ダイヤルは有料の、お高いナビダイヤルだから正直助かった(笑)
そして、同ダイヤルからの返信を、午前10時14分にいただいた。
きちんと見解をまとめたうえでのご返事であったであろう、その返答は
・「ヘイトスピーチの概念はかならずしも確立されたものではない」
との前提をおいたうえで
「ヤンキーゴーホームという言葉は、不適切な表現である」
との公式見解をいただきました。
ただ
「それが人権侵害に当たるか、法務省で対応すべきものかは、その現場を見ての個別具体的な対応になる。」
とのこと。
なるほど。ただ、そこから関連して1、2点、追加で確認しました。
Q:「個別具体的な対応になるのはそうだろうと思うが、そもそもそれは『ヤンキーゴーホーム』だけではなく、すべての表現がそうなのではないか?個別具体的な対応にはならない表現というのは、もともとないのではないか?」
A:然り。
Q:『例えば』、という例示をさせて頂きます。たとえば北朝鮮が核実験をして、その核実験への抗議だということで朝鮮総連会館前に行き「朝鮮人帰れ!」と叫ぶ連中がいるとします。この場合、いや俺たちはあの非道な核実験について抗議したんだ、といっても、その対象を民族、国でひとまとめにして「朝鮮人」とくくるのが問題だと思うのですが、米軍や基地への反対、抗議だということで『ヤンキーゴーホーム』と言うのもそういう点では同じ構造なのでは?
A:然り。
ありがとうございますとお礼をいい、電話での会話は終わりました。
これが2016年10月3日、法務省が運営する「みんなの人権110番」からの公式見解です。
だれでも電話できるのだから「本当にこう言ったのか?」とか「大いに異議がある」と感じるかたは、ご自身で確認すればいい。
「バズフィード」でも「リテラ」でも「ハフィントンポスト」でも「ロケットニュース」でも、どこでも電話一本で取材して記事をつくることが可能ですから、おすすめ。
まあ、官僚組織はこんな面倒な議論には関わりたくないのが本音だろうねえ。
でも、お忙しい中ありがとうございました。