東京新聞:豊洲市場 石原氏、08年に地下コンクリ箱案に言及「ずっと安く早い」:社会(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016091590070411.html
築地市場(東京都中央区)からの移転が延期された豊洲市場(江東区)の主要な建物下に盛り土がされていなかった問題で、石原慎太郎氏が都知事在任中の二〇〇八年、地下にコンクリートの箱を埋める案に言及していたことが分かった。長所として工費の安さや工期の短さを挙げていた。
(略)
石原氏は〇八年五月三十日の都知事の定例会見で、海洋工学の専門家がインターネットで「もっと違う発想でものを考えたらどうだ」と述べていると紹介。土を全部さらった後、地下にコンクリートの箱を埋め込み「その上に市場としてのインフラを支える」との工法があると「担当の局長に言った」と説明していた。
当時は、六百七十億円と見込まれた汚染対策費が一千億円を超えるとの見方も出ていた。石原氏は五月十六日の会見で「もっと費用のかからない、しかし効果の高い技術を模索したい」と説明。五月二十三日の会見では専門家会議の座長が「新しい方法論を試すにはリスクが高い」と述べたことについて、「その人の専門性というのはどんなものか分からない。いたずらに金かけることで済むものじゃない」と反論した。
これへのコメントを自宅前でやっているのを見たけど、「インターネットで海洋学者が言っている」「局長に言った」が「役人から聞いたことを伝えただけ」と、ディテールが違うどころか正反対になってるぞ(笑)。
当方のブクマ(前半)
これが例えば忘れたとか勘違いとかなら、蓮舫はんだって記憶違いとか思いこんだで済むじゃん(笑)
その後、市場長は「コンクリートの箱を『並べる』」「採用できません、そうかで終わった」と言ってて、地下室とはまたダイレクトにはつながらないっぽくもあるが…
それはともかく、もっと書きたかった本題に。
今回のは確かに、東京新聞の記者さんのスクープでもあるけれども、同時に、いまなお進行している「全文革命」の成果であるということです。
このブログをずっと読んでいる人の、ごく一部だけにはお馴染みの「全文革命」とは…
「全文革命」とは? …まとめ用抜粋【全文革命】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141225/p1
・どんな会見でも、以前(紙や電波の時代)は各社が、限られたスペースに会見要旨を切り取って、押し込む必要があった。どれぐらいのスペースをとるかも含めて。
・基本的に、記者会見でメディアからスルーされたものは、受け手は知るすべもなかった。
・だが、youtubeなど動画サイトの発達で、記者会見を動画として主催者が、または取材者がアップロードするようになってきた。また、ネットは基本的にスペースの問題を考慮しないで済むので、「全文掲載」もやろうと思えば紙や電波媒体より簡単にできる。その結果
・たとえばさまざまな記者会見において、従来のピックアップ型の報道に対して「全文を読んでみたけど、前後の流れを見ると、この記事とニュアンスが違う。恣意的だ!」「いや、全文を読んでみたけど、この報道は正確だよ」「この時の口調は、映像で見ると間違いなくあわてているよ」といった形で、全文と比較したり、その発言の表情やトーンまで合わせて論評、検証ができるようになった。
・また、発言を批判された側が「いや、全部を読んでくださいよ」と言ったり、「記者に答えたコメントの完全な発言はこういうものです。自分のサイトにアップしました」というようなことが可能になる。
また、聞き手の側も「鉄道ヲタとして言わせてもらうけど、この会見での寝台列車の説明は間違いだよ」「ん?この人が言ってる子供時代の思い出話は重要だぞ。俺、隣町出身なんだけど…」といったように、自分の興味やニッチな知識に合わせて、過去の新聞記事やニュースで、別に恣意的でなく通常の判断で取り上げないような枝葉末節に着目し、そういう「集合知」の指摘から、思わぬニュースが派生することもありえる。
(後略)
もしインターネットがなかったなら。
知事の会見動画やテキストを毎回、ずっと東京都自身がUPし、保存していなかったら…会見のひとことふたこと、記者会見の場に居合わせた数十人が「ん…?たしかXXXなこと、あのジジイは言ってなかったか?」と思い出し、資料を取り寄せて、見つけることができただろうか。
相当にがんばれば、ネット時代以前でもできたかもしれないが、可能性はずいぶん、というか極小にまで低くなっていたに違いない。
そして、存在することさえ報じられれば
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/ARC/20121031/KAIKEN/TEXT/2008/080530.htm
と、そのまま原文資料にアクセスし、検証することができるのであった。
(まあ、Jキャスでもリテラでもロケットニュースでも一般のまとめサイトやブロガーでもアクセスできた情報をピックアップできたからこそ、このスクープには価値がある、という逆の見方もできましょう)
これはやはり、大前提として、放言でも脱線でも言語明瞭意味不明でも、発言を「丸ごと」テキスト、映像として残していたからこそ、追及することができたのでありました。
すなわち【全文革命】の成果だと思うのであります。
これが武器か、自爆装置となるかは知事のいすに座ったものの器量次第だが…、どちらに転ぼうがそれはご器量の問題です、と粛々とUPし続けた東京都がエラい、ともいえる。
惜しむらくは、モバイル全盛時代、否定する石原に、この時の映像を直接見せる、発言テキストのプリントを読ませるべきでした。
あそこまで正反対に否定するとはさすがに思わないだろうから
これは後知恵だが、でも明日からでもおそくないじゃん。
石原氏も、あした以降も何回か外に出るだろうから、今度は映像再生可能な機材をもって、外出前の氏を捕まえ「石原さん、もういちど平成20年5月30日のご会見の映像を見て頂きたいですが…」とやる。
その映像を見て、またもとんちんかんな否定や弁明をする姿もよし、その映像を見ることを拒否する姿もよし、素直に「確かに言ってましたな」と認める姿もよし。
あした以降であったも、そんな「画」はあっていいんじゃない?
東京都は、過去の知事の会見データにもっと簡単にアクセスできるようにすべきだ。
「石原 会見」などでやるとヒットする、ヒットするけどね…
東京都の公式サイトから、正攻法で会見のデータをみようとすると、
「知事の部屋」に行く。
しかし、そこから公に行けるのは「現知事(小池百合子)」の会見記録だけだ。
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/index.html
そういう運営もわかる、わかるんだけど・・・・・・・・・・・
都政の「見える化」を打ち出している小池百合子知事だが、まず見える化の1丁目1番地は
「退任した知事も含め、データとして残っている過去の知事会見記録をすべて見られるアーカイブ、入り口を作ること」なんじゃないだろうか??
というか、検索すると当時の石原知事会見を見られるのだから、サーバーから削除したりはしてないわけだ。入口のリンクがないだけでな……
その入り口リンクを復活させればいい。手間賃を考えても一万円もかからない作業じゃなかろうか??
ということで、金曜日の明日は小池知事の定例会見…と思いきや、パラリンピック閉会式に行ってるんだっけ…
よし、争点というか提言です。
次回の知事会見で、
誰でもいいからこう質問してください。
今回の、豊洲の地下構造物の一件で、退任した知事の会見記録も「都政の見える化」に絶対必要なデータであることが証明された。現在、東京都のホームページは退任した知事の過去の会見記録はサーバーに残っているが、リンクが消されている状態だが、透明化、情報公開の一環として、過去の知事会見も見られるようにリンクを復活させ、アーカイブを作るべきではないか??
と。
この前、こう書いたら数日後に実現したからな(笑)。
都庁担当のメディアの中に「見えない道場本舗」の読者がいる可能性も0.01%ぐらい存在するから(笑)
枝野幸男に続いて小池百合子都知事にも「シン・ゴジラに協力した話」を誰か聞いといてくれ(定例会見のおまけで聞けばいい) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160830/p1