水道橋博士のメルマ旬報、ひとつ前の配信分(vol.077-後篇 2016年1月10日発行)からなのだが…
まず書き手の紹介から
【著者プロフィール/荒井カオル】
1977年生まれ。男性。出版社勤務を経て、2005年にフリーライターとして独立。
(略)
Twitterのアカウントは @araikaoru
https://twitter.com/araikaoru
メールアドレスは sanofile110@gmail.com
猪瀬直樹氏(前・東京都知事)の指摘をきっかけに、ノンフィクション作家・
佐野眞一氏の盗用・剽窃問題を調査開始。
2012年10月から12月にかけ、ネットメディア「ガジェット通信」に
短期集中連載「佐野眞一氏の『パクリ疑惑』に迫る」を寄稿。
http://bit.ly/Ty0TNG
2013年4月22日、ノンフィクション作家・溝口敦氏との編著
『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム
大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃(ひょうせつ)問題の真相』(宝島社)が発売。
http://amzn.to/15rHSUp
ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム 大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃問題の真相 (宝島NonfictionBooks)
- 作者: 溝口敦,荒井香織
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2013/04/22
- メディア: 単行本
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「医者を見たら死神と思え」…というか近藤誠氏も主張は、ある種のがんに関しては、検診の発見率や手術とのデメリットの勘案などいくつかの指摘自体には理があることを認める人もいるが、全体というか「がんもどき」理論などには批判も多い、というか非常に危険だと批判されていることは周知の事実なのだが、今回は内容そのものではない。
- 作者: よこみぞ邦彦,はしもとみつお,近藤誠
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/04/30
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- 作者: はしもとみつお,よこみぞ邦彦,近藤誠
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- 作者: はしもとみつお,よこみぞ邦彦,近藤誠
- 出版社/メーカー: 小学館
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- メディア: コミック
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1.「ビッグコミック」(2015年10月25日号、11月10日号)掲載の「医者を見たら死神と思え」に、「週刊新潮」(2015年7月9日号)に載った大場大医師の論考と酷似する記述が多数見受けられます(別紙に対照表を添付しました)。本件について、担当編集者の國友慶様ならびに編集部は御存知でしたか。
2.「医者を見たら死神と思え」は近藤誠医師の監修のもと描かれているものの、ストーリー内の医師…登場する雑誌…(略)固有名詞は架空のものです。
(略)読者は実在する「週刊新潮」(7月9日号)からの引用だとは認識しません。マンガ内には出典を明示するカギカッコもなければ、引用元文献を示すクレジットも明記されていません……こうした文献の引用の仕方は著作権侵害に当たると認識されますか。著作権侵害には当たらないという御認識の場合、その根拠も併せてお示しくださると幸甚です。
(※3、4は省略)
5.貴誌連載の「そばもん」では、福島の放射能問題を描くときにも、チキンラーメンの安藤百福氏を描くときにも、文献の出典や引用は丁寧に明示していたと記憶します。その点「医者を見たら死神と思え」は「そばもん」とは対照的です。「ビッグコミック」編集部として「文献の引用」についてどのような原則を堅持されているのか(略)
このへんで、逆に知りたいのは…以前なんどか書いたことがあるが、とある格闘家、武道家にインタビューするでしょ。田中太郎左衛門、とでもしておくか。
この田中師匠の修行中の逸話が面白かったと。例えば「山篭りしていたが、下山できないように片方の眉毛を剃った」とかとか。
また、例えば「勝ちたいという思いも、勝負には邪魔になるのだ。そのとき最高の技を出す。勝利はその結果として天から与えられるのだ」みたいなしびれる名言を語るとするでしょ。
それを作家や漫画家が「かっけー!」と思って、小説や漫画で、格闘の天才少年「キバ」とか、流浪の格闘家「丹波文八」とかに、そのエピソードに酷似した行動をさせたり、名言を語らせる…ってのは自由にやっていいんかいね?
また、何度も各種メディアで報じられた周知の事実だった場合と、ノンフィクション作家が粘り強く取材して、ついに資料を発掘したりインタビューに成功して見つけた「秘話」だった場合とで違うのだろうか。
ただ、時事に密着したフィクション漫画でも同じような問題が出てくる、とはこの文章を読むまで気づかなかった。
仇役でも味方でも、彼らが持論を述べようというとき、どこまでモデルの発言に沿った台詞を掲載できるのでしょうかね?
ちなみに荒井氏の質問状でちょっと気になったのは、「そばもん」は漫画としてはかなり例外的にうんちく、知識部分の出典を述べているけど、100%そうだったかというと、違うんじゃないかな? 引用した出典を緻密に紹介する場所もあるけど、かなり大胆にカットして結論・知識だけ述べているところもあるような…そういう部分はさっき言った「各種資料で報じられた周知の事実」部分なのかもしれないけどね。