【記録する者たち】
話題のツイート
映画の保存とその後の上映に関しては、フィルム作品よりもここ10年ほどのデジタル作品の行く末の方が恐ろしい。「HDDが壊れ、作品の完成版がなくなってしまった。そちらに上映素材は残ってないだろうか?」と問い合わせが受賞監督からあったのは4、5年前のこと。2006年のドキュメンタリー。
— るり (@ru_rik) 2015, 12月 30
おそろしい話である。少なくとも公開ぐらいされたドキュメンタリーは、少なくとも国会図書館的なところにデータが蓄積されているものかと…、いや、そのはずじゃなかったか?これはイレギュラーなものであることを祈りたい。
東京国立近代美術館フィルムセンター F&Q
http://www.momat.go.jp/fc/aboutnfc/filmbunka/
映画が誕生して110年以上が経った現在、その基盤であるフィルム文化にかつてない大きな変容が訪れています。デジタル技術が、映画の製作から上映までの全領域にわたって、急速かつ広範に浸透しつつあります。一方、それに反比例するかのように、フィルムは撮影や編集の現場から、そして映画館のスクリーンから姿を消しはじめています。
(略)
Q&A形式で、映画保存の現状と当センターの映画フィルムに関するアーカイブ活動の概要をまとめました。ご一読いただければ幸いです。
Q: デジタル保存のリスクとは何ですか。
A: デジタル・データ自体は原理的 には劣化しないのですが、それを保存する媒体やファイル形式、読みとるためのアプリケーション・ソフト等が長く保持されません。したがって、5年や10年といった短期間で、複合的な原因によるデータ破壊や消滅が起こるリスクが生じます。
たとえば、デジタル・データを物理的に保存するハードディスクや光ディスク、フラッシュメモリ、データテープといった記録メディアすなわち情報のキャリアは、何年の耐久性をもつかきわめて不確定です。また、市場における商用デジタル技術のはげしい競争が次々と新たな規格を生み出しているように、現在多くのユーザーによって使用されている映像記録ファイル形式も、短年で陳腐化する(新しい技術の前に時代遅れのものとなり、市場において事実上流通しなくなってしまう)可能性が高いのです。
そのため、短期間で媒体の変換やファイル形式、アプリケーション・ソフト等の更新をしなくてはなりませんが、デジタル・データはその過程において、一瞬で消えてしまったり、読みとることができないというリスクが増大してしまうのです。Q: デジタル保存のコストはフィルムより大きいのですか。
A: 前項で述べたように、デジタル保存は長期安定性にリスクをかかえているため、一度保存環境を構築してもフィルムのようにそのまま保管しつづけることができません。積極的な保存、つまり定期的にバックアップを取ったり、データ移行(マイグレーション)をしたりする必要があります。ファイル形式が変わるたびに、また記録メディア(情報のキャリア)が代わるたびにこれらの作業をしなくてはならず、現状では、総合的なコストはフィルム保存よりはるかに大きくなると考えられています。
たとえば、米国の映画芸術科学アカデミーでは、4Kのデジタル・マスターを1年間保存するコスト(12,514ドル)は、フィルムのマスター素材を1年間保存する場合(1,059ドル)の約11倍になると計算しています※。このため、米国の映画会社では、デジタル撮影された映画をフィルムで保存することも行われています。Q: フィルムセンターは、デジタル技術に否定的な立場を取っているのですか。
A: そうではありません。ただ、デジタル化を推進することと引きかえにフィルムを廃棄してしまうことは、長期保存の観点からきわめて問題が大きいと考えています。これは、現在の世界の映画保存専門家たちの…
そしてここ重要
Q: 国会図書館に出版図書が納本されているような形の法定納本制度は、映画フィルムにはないのですか。
A: 現在、日本において映画フィルム納入の義務を実質的に機能させている法令はありません。国立国会図書館法第24条では、同館へ納入する義務のある出版物として「映画フィルム」が記されていますが、同時に附則により「当分の間、館長の定めるところにより、同条[引用者註:第二十四条]から第二十五条までの規定にかかわらず、その納入を免ずることができる」とされ、結果として同館では、映画フィルムを収集していません。
「監督が持っていた映像データが壊れたので、ドキュメンタリー映画一本が丸々無くなる危機に陥った」、という話は、少なくとも制度的にはイレギュラーじゃなかった…
なぜ、どういう経緯なのかさっぱりわからんが(笑)、カレー沢薫が東京都写真美術館のPR漫画を描いている「ニャイズ」で、世界の写真・映像保存施設の状況を紹介している。
テレビ録画も含めた「映像図書館」の政策は進んでいるだろうか?
「放送番組再検証法」or「映像図書館」を。 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050116/p3
「ニュース映像の図書館作れ」毎日新聞記者が提言 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050929/p2
「TV番組のアーカイブ図書館を作る動きがあるが、放送界が抵抗して進まない」(閑居twitter) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150602/p4
「放送映像アーカイブ法」、法案化進んでいた。実現を強く支持する【記録する者たち】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150706/p5
公の話だけじゃない!「一家の記録すべてをデジカメで撮って保存してたので、パソコンが壊れて全部パーになりました」も普通にある!!
そこのあなた。あなた個人です。
どう、過去の家族写真や動画の「バックアップ」を取っていますか??
将来、娘の結婚式で「彼女の子供時代の画像は、PCトラブルの関係で残っていませんが…」とかウケるぞ、おい?