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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「中学生と戦争死体写真」の話、「銀の匙」の屠畜授業を真似すれば(とりあえず)いいんじゃね?

戦争伝える中学生朗読劇、町が中止 写真「衝撃大きい」:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASHD352KSHD3TIPE01S.html

福岡県那珂川町の人権啓発イベントで町立中学校が上演予定だった朗読劇が、町の判断で中止になった。戦時中の写真をスクリーンに映し、歌などを交えて戦争の悲惨さを伝える劇だった。写真の中に原爆で亡くなった子どもの遺体などが含まれていたことから、町は「幼い子どもらも参加するイベントで衝撃が大きい」と中止を決め、準備を進めてきた学校側も受け入れた。

(略)

 映し出す写真には、長崎原爆資料館長崎市)が「黒焦げとなった少年」「背中一面に熱傷を受けた少年」と題して展示している写真も含まれていた。これらについて、町は「衝撃が大きい」「ショックを与える」などと判断。武末茂喜町長が1日、最終的に劇の中止を決めた。

 イベントを担当する町人権政策課は「劇を見る人への十分な説明や事前の学習がないまま、(写真が)突然出たらショックを受ける人がいるかもしれない」「イベントが迫り、修正する時間はなかった。劇の内容はすごく良いので、別の機会に発表してほしい」と

はてなブックマークもすごい勢い。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/articles/ASHD352KSHD3TIPE01S.html


あのねえ、「実質的な同性婚の認証を、国でなく自治体が行う(べきだ)」という予言に続いて、我ながらこのブログでの予想が当たりすぎるわ。

「残酷な写真・画像は子供の心の傷」が確定なら、従来の平和教育・食育も再検証されるだろう- http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150211/p2 

その前段階

政治的に正しいグロテスク」と、その教え方に関する考察 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130824/p2

この予知力、こんなことじゃなく、年末の有馬記念とかに生かせないかね。
あと、再戦は曙が勝ちますよ。


…そんな予想はともかく。
自分は過去記事から、特にどー付け加えるもんでもないわ。ただ、一般論としてブログにリンク貼っても、そのリンクから飛ぶ読者はごく一部。
だからダイジェストで抜粋します。

「戦争の悲惨さを知るために敢えて残酷シーンも見るべきだ」
と同様に、或いはそれ以上に
「生命の尊さを訴えるために敢えて出産の光景を見るべきだ」
というのは、社会的正当性をもった実践であり、主張であると思われる。

だが(略)
「どんなに立派な大義名分があっても、実際にみたらグロい。気持ち悪いもんは 気持ち悪いんだ!!」
  
これに、どう対峙すべきか。

少し話を整理する。
・「はだしのゲン」の中にある、性暴力などを含む残酷描写
・牛などの出産(人も含むか?)
・牛、鳥、豚の屠畜、解体、食肉化
 
などについて、いまとくに「こどもの教育」という面では、「非常に重要なことである」「社会的に価値が高い」「だから子供にも、包み隠さず見せようじゃないか」という議論がある
しかし、これに関しては、「でも実際に(出産や殺人シーンは)気持ち悪いもんは気持ち悪いんだ!自分の子供には見せたくないんだ!」「(屠畜や漁で命を失う)その対象…魚や獣たちをかわいそうと思う心(さらに一部発展して、そこの行為への罪の意識)は自然と出てきちゃうよ」という人も出てくる。
あ、さらに言うと、この種の映像や体験には、医学的な?意味かどうかは知らないけど、本当に生理的反応としての忌避をする人もいるようだ。

「医学は正義(或いは民主主義)の上に立つ」
(略)
「子供たちに考えてもらうため、戦争やテロの悲惨さを訴えるため(あるいは逆に「自衛力の大切さを訴えるため」でもいい)、敢えてその悲惨な画像を、その光景を見てもらう、聞いてもらう」
これは”正義(民主主義)”の言葉として、そんなに突飛ではない。ひとつの論だと思う。

だが
「でも残酷、悲惨な映像を見た子がPSTDになる危険性あるで」
という”医学(科学)”の言葉がカウンターで出てきたら、こっちのほうが強い……と思う次第だがや。

・「残酷、ショッキングな映像を子供に見せると、PTSDの危険がある」というのは、いちおう政治的なイデオロギーとは関係のない、”科学・医学”の議論、視点である。
  
・これが事実なら「残酷な場面だが、戦争の悲惨さ(あるいは勇敢なわが軍、残酷無道な敵軍)を知るために…」とか「命をいただく以上、その肉がどう生まれるべきかは見ておくべきだ」という”正義”の議論より強い。
 
・これは最近の知見なども含めた「新しい概念」(の部分もある)。だから、「かつてはOK、セーフ、むしろ推奨」だったアレコレが、この『子供がPTSDになる危険』という視点によってアウトになることが出てくるだろう。


町長やら人権課の「本心」がどうかは知らない。ただ、死体や火傷の写真は「ショックかもしれない」という大義名分、そうそう簡単に突破できるもんでもないんとちゃう?



だから、「銀の匙」での、と畜場の映像を授業で見せるメソッドをそっくり応用したら?

一応解説をつけると、「銀の匙」は農業高校の青春を描く荒川弘の傑作漫画。上のほうでも、牛の出産に際して「グロい」とか「生理的に耐えられん!」とかいうコマを紹介してますが、それもこの作品、度を失っているのが主人公です。


さて、ここで、以下のようなやり取りがあります。


ここの先生の台詞を「きょうの出し物では、戦争によって亡くなったり火傷をした人の写真を(も)見ます」「戦争の写真の映像です」と置き換えれば、そのまんま。これを劇の前に言う。

ほかの方法もあるのかもしれないが、
とくに自分は思いつかないし、
考えるのも面倒…というか眠い(笑)


だもんだから、そーゆーふーにしたら?ということで、以上です。
コミックスは3巻です。

銀の匙 Silver Spoon 3 (少年サンデーコミックス)

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