「敵は憲法、ならば、わたくしも、お仲間で、あると。そういうふうに、思うわけであります」
「安倍さん、出てこないでください」
では本題へ。
「囚われの孔雀」が「頂の孔雀」になるとき
スー・チー氏「私が全て決定」 新大統領に「権限なし」 - 47NEWS(よんななニュース) http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015111101000777.html
そのブクマ
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.47news.jp/CN/201511/CN2015111101000777.html
それを受けたブログ記事
スー・チー氏の独裁宣言と見られる記事について
http://d.hatena.ne.jp/next49/20151111/p1
もうひとり、毎日新聞の春日孝之記者を紹介したい。数年前から、ミャンマーとその軍事政権、スーチー氏に対して注目の記事を連発していた人だ。
特に、連載企画「闇の正体」はものすごいノンフィクションだった。この記事のあと、ミャンマーの仏教徒とイスラム系少数派(ではなく不法移民だ、と仏教側はいう…)の軋轢はさらに拡大、世界が注目するものとなったのだから実に慧眼だ。
ミャンマーの宗教紛争をルポした「闇の正体」が本当に戦慄的…必読(毎日新聞) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131031/p4
(リンク先から記事に飛ぶURLは古いらしい。コメント欄より)id:ta-c-s 2015/11/13 14:01
毎日新聞サイトの現行URLが替わってました(2015年5月29日に再掲されたようです)のでいちおうご報告を。
「闇の正体:ミャンマー宗教暴動/1 発端はレイプ殺人(2013年10月26日掲載)」http://mainichi.jp/feature/news/20150529mog00m030001000c.html
呼称の正義学〜スーチーさんと「ビルマ/ミャンマー」(毎日新聞) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121126/p2
実のところ、春日氏は(スーチー連載をしていた毎日新聞なのに)スーチー氏の手腕や識見にはけっこう疑問符をつけているとおぼしい。
選挙直前の記事でも、少々それは見て取れた。
毎日新聞では、中国のスペシャリストであった故上村幸治氏のような面白さで、長い記事のほとんどが推奨に値する。
ミャンマー総選挙:「国を脅威から守る」 仏教保護機構代表・ティロカ僧長 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/shimen/news/20151025ddm007030050000c.html
ミャンマー総選挙:仏僧組織、反スーチー氏 「イスラム寄り」 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/shimen/news/20151025ddm007030049000c.html
ミャンマー総選挙:スーチー氏「変革」演説行脚 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/shimen/news/20151031ddm007030134000c.html
ミャンマー:スーチー氏…NLD政権なら大統領の上に立つ - 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/news/20151106k0000m030045000c.html
だが、特に読んでほしいのはこの記事。
「ん?スーチー氏をあんまり高く評価してないな」と思ったのはこの記事。
ミャンマー総選挙:スーチー氏「元首」宣言 権威主義のジレンマ アジア総局長兼ヤンゴン支局長・春日孝之 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/shimen/news/20151107ddm007030055000c.html
総選挙(8日投票)を前に、大統領への道を憲法上阻まれた彼女が、自ら率いる野党「国民民主連盟(NLD)」が勝って政権を握れば「大統領の上に立つ」と公言した。
憲法で「国家元首」と規定された大統領を超越し、重要政策は自分が決めるのだとも言った。そうしたポストが憲法で禁じられていないから問題はないという、舌を巻くレトリックだ。
与党「連邦団結発展党(USDP)」は6日、「どこにそんな国があるのだ」(テイウー副議長)と猛反発した。
(略)
「自分がトップで、自分が決める」という姿勢は、NLDの組織運営にも通じる。今回のNLD候補者選定で末端党員から上がったリストに対し、軍政期に民主化闘争を率いた学生指導者コーコージー氏など有力者を除外した。彼は党員ではないが、NLDの大統領候補とも目された。スーチー氏は「申請が多く、党員も多数除外した」と釈明したが、有能な人物を抱えれば自分の立場が危うくなる、そんな心底を勘ぐられても仕方がない。彼女は「個人企業の最高経営責任者(CEO)」にも例えられる。トップダウンで物事が決まるNLDの体質を、国家に持ち込もうというのだろうか。
スーチー氏が「民主主義」を口にする時、国民の「意思に従う」「意見に耳を傾ける」と繰り返すが、ある外交官はこう漏らす。「彼女に意見しようものなら大変。撃沈です」と。米紙ニューヨーク・タイムズはその権威主義的姿勢を「民主主義のパラドックス(逆説)」と表現……
されど。
自分の感想。
憲法自体の「スーチー阻止条項」も、彼女自身のトップとしての危うさも、NLDの足腰の弱さも、軍部の動向も全て考えた上で、たぶん今の同国は彼女に「賭け金全部」をぶっこんでの大博打をするしかないと思う。
ここでスーチー氏が、指導的立場になることを拒まれれば、さらに大きな混乱になると思うというのがそのひとつ。
だが、さらにされど。
まず、ロヒンギャ問題などは、ミャンマー国内の要望や世論と、国際世論の乖離がある。どっちの立場に立って、問題を解決するのか。どちらかを失望させずにはいられないだろう。
また、多くの「傀儡」がそうだったように、名目上の大統領や首相が、本当に名目のまま満足できるか、ということもある。
そして何より、現在の憲法を現在の憲法として従うのか、この憲法を「敵」として倒す方向に向かうのか。
だから、このtogetterまとめと、スーチーさんはオーバーラップする。
その時、ド・ゴールは憲法を跳び越えた〜「国民の声」で憲法に対峙したフランスの例(井上武史氏の論考を中心に) - Togetterまとめ http://togetter.com/li/898818
このむとこのまざるとに関わらず、「ナポレオン」の役目をスーチー氏は担うかもしれない。しかし、歴史はナポレオンの数倍の「ナポレオンになりそこねた人たち」が死屍累々と・・・・・・
あらためてみると、李登輝氏などは本当に幸運であったし、有能であった。
カタルーニャ、民意は独立派多数でも「憲法によると独立できません」…あれえ?じゃあどーする?
BARA @BARANEKO 2015-11-10 01:28:21
スペインからの分離・独立派が過半数を占める同国北東部カタルーニャ州の州議会が9日、「独立手続き開始」をうたう決議案を可決した。中央政府のラホイ首相は強く反対し、憲法裁判所に訴える意向を表明した。決議案は、憲法裁などの決定には従わず、独自の憲法制定に向けて法令を整え始めるとしている
はる @harunosippo 2015-11-10 01:30:09
カタルーニャ州議会、独立に向けた決議案可決
「独立が簡単に進む可能性は乏しいが、中央政府と州との対立が激化しそうだ。AFP通信などによると、決議案は、憲法裁などの決定には従わず、独自の憲法制定に向けて法令を整え始めるとしている」
gryphonjapan @gryphonjapan 2015-11-13 10:22:45
立憲主義にたつなら
『スペイン憲法は「独立できない」と書いてます。
だからカタルーニャは独立できません。
以上、おしまい』
これで充分。
しかし、「【われら人民の意志】は、憲法を跳び越える」ならば…
ということで、togetter.com/li/898818につながる。
この話は、既に書いた記事の紹介で。
スペイン・カタルーニャ州選挙で独立派勝利。だが憲法は「スペインは不可分」。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121127/p2
国や一地域が独立する際の「法的な制度」は、どこまで整備されていることが必要なのか - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141021/p2
これもどう解決するのか。
また、これも過去記事で書いているけど、憲法上の手続きが曖昧だという点に関しては、沖縄がもし… その沖縄から、奄美大島がもし……。