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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

国や一地域が独立する際の「法的な制度」は、どこまで整備されていることが必要なのか

この前、英国女王は辺境スコットランドに起きた叛乱をなんとかかんとか鎮圧したが、今度はスペイン王に対して、逆臣の火の手があがった。

カタルーニャ独立問う住民投票、11月実施断念か
2014/10/14 10:10
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDQ7KF6TTDS501.html

 【パリ=共同】フランス公共ラジオは13日、スペイン北東部カタルーニャ自治州政府がスペインからの分離・独立を問うために11月9日に実施する構えを見せていた住民投票の断念を決めたと伝えた。住民投票賛成派の政党幹部の話としている。

 同幹部によると、自治州政府は14日にも「代替案」を提示する。投票期日を遅らせて実施するか、住民投票の代わりに2年後に予定されている自治州議会選を前倒しする案などが示されるとみられる。

 住民投票に対しては、マドリード中央政府が一貫して強硬に反対。先月29日には「住民投票違憲」として憲法裁判所に提訴。憲法裁は即日、差し止め命令を出し、自治州政府もいったんは従う姿勢をみせていた。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41897
カタルーニャ自治州政府のアルトゥール・マス首相は、11月9日に独立の是非を問う住民投票を行う計画を推し進めた。これに対し、スペインのマリアノ・ラホイ首相は憲法裁判所に提訴し、同裁判所は投票の差し止めを命じた。

 憲法は、スペイン国家の「永続的な統一」を明記しており、大半の学者は、計画されている住民投票は――法的拘束力を持たないものの――スペインの基本法の下では違法だとの見方で一致している。

 カタルーニャの問題は急速に、まもなく誰も勝者がいなくなる有害なアイデンティティー紛争と化しつつある。マドリード中央政府の強硬姿勢とバルセロナの冒険主義は、いわば列車衝突事故をもたらすだろう。

なるほど、英国はご存知の通り、明文の憲法というものはないはずなので、現在の首相、内閣が「スコットランドは独立の是非を問う住民投票していいよー。大英帝国はその結果を尊重するよー」となったら、それはOKなのだろう。



で、スペインは「永続的な統一」と書いてあるのか。
憲法に書かれているんなら、じゃあしょうがない…のかな?


そこが今回キモというか腑に落ちないところで。独立なんてフツー、中央政府が猛反対している中で、独立したいって地域がムリとムチャと伊達と酔狂を重ねてどーんと強行し、

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120804/p6
戦火激しく 砲音(つつおと)やまず
されど わが旗 なお そこに在り
 
ああ 星条旗 いずこに たなびくや
  
自由の大地 勇者の故郷

と、こんなふうな闘争を経て成立するもんなんじゃないのか?
つまり簡単にいえば、独立って「実力でやったもん勝ち」以外の何者でもないのではないか、と。

憲法で「独立できないねん」「永遠に統一されてます」と書いとけば「じゃあしょうがないね、独立できないね」となるんだとしたら、イギリスは憲法にそれを書いておかないのはやはり痛恨でありました。


まあ、ただ「ソ連憲法は、各共和国に独立をする権利があるとうたっている。今はただのタテマエに見えるが、これが致命傷になるだろう」と、ゴルバチョフ登場の前後に、あの奇人学者・小室直樹は指摘し、結果的には当たっていたともいえるな。



さて、沖縄である。
11月に知事選が行われるが、ここの最大の争点が「沖縄独立、是か非か」である(そうか?)

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141001/dms1410010700008-n1.htm
日本でも沖縄県知事選(11月16日投開票)に絡み、2人の立候補予定者が「琉球独立論」を取り上げている。それぞれ主張は違うが、違和感を持つ県民も多いようだ。沖縄出身のジャーナリスト、兼次映利加(かねし・えりか)氏が考察した。

 独立論を取り上げているのは、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏と、経営コンサルタント会社代表、大城浩氏だ。

下地氏は8月26日、石垣市での講演で、普天間問題について県民投票で決着させる考えを説明し、県民投票の結果を踏まえた日本政府との交渉が決裂した場合には「琉球独立を問う住民投票をやる」と表明した。

 大城氏は4月末に立候補表明した際、「平和と繁栄のため、沖縄は琉球として日本から独立するべきだ」と訴えた。

ここで完全決着。
この両者の人となりなぞ全然しらんけれども、この二候補者の得票の総和が、他の候補者の合計得票を上回れば「沖縄の民意は独立にあり」である。そうでなければ、「沖縄県民は日本国に帰属することを望んだ」となるのである(そうか?)。
そのゆくえやいかに、と世界は固唾を呑んでみまもっている。



ただ。
日本国憲法体制下において、どのようにして沖縄県は日本から独立するのか?
このへんの手続きが、分かるようでいてなかなか分からない。大英帝国のように「独立について明文の記載や記述がない以上は、合意があればいい」ということになるんだろうか?
その場合は、安倍晋三首相閣下が沖縄の県知事…となるのかな?県知事というのも日本国体制の中のひとだし、あちらのほうでガンジー的に信望を集めている在野の独立運動指導者になるのだろうか。だれだそいつ。たとえばバッテン荒川か。
あれは九州のひとか。



しかしだなあ、どうもやっぱり、ここで沖縄独立とかになったら憲法的におかしい気がするねん。
だからさ、いっそのこと、憲法を改正して、各地方の独立手続きを明記すればいいんじゃないかと思うのですけどね。
沖縄だけというわけじゃない、イタリアの北部同盟のように、「金持ちの地域が、貧しい地方のぶんまでの税負担をいやがって金持ち地方だけで独立しようとする」という運動だってあるから、東京独立だってありえるだろう。
大阪だって案外「プリンセストヨトミ」は荒唐無稽な話というわけでもないだろう。
東北だって奥州探題、いや藤原家の黄金と、義経の武力があれば…


そして、仮に沖縄が独立するとしたら、歴史的に反沖縄本島意識が強く、弾圧と差別を受け続けてきた多くの離島でさらに独立(あるいは日本在留)を決定するかもしれない。その時の手続きももちろんきちんと定めておかねば。


逆に日本憲法に、スペインにならって日本国の「永続的統一」をうたう項目を追加してもいいかもしれない。下地幹郎氏と、大城浩氏はその憲法下では反逆者となるのか。いや言論だけなら認めるのか。そのへんはわからんちんです。


なんでも、憲法に「不可分」と書くことによって各地方の独立を認めないという強権的発想は、かの自由の国フランスもやっているんだそうだ。
「一にして不可分の共和国」とかいう、どっかの錬金術師みたいな符丁でかいてあるらしいね。
コルシカ島とか、沖縄にまさるとも劣らないほど独立する歴史的経緯や大義名分もあるような気がするんだが。

http://billancourt.blog50.fc2.com/?m&no=57
フランス憲法の第1条は、共和国の基本理念を次のように規定しています

「フランスは、不可分の、非宗教的、民主的かつ社会的な共和国である。フランスは、出自、人種、あるいは宗教の区別なく、すべての市民の法の前の平等を保障する。フランスは、あらゆる信条を尊重する。フランスは、地方分権的に組織される」

http://www.circam.jp/columns/detail/id=2906
フランス共和国憲法の第1条には、こう書かれています。「フランスは、不可分で、ライックな、民主的そして社会的な共和国である」。「ライック」というのが、ちょっとわかりにくいかもしれません。ロワイヤル仏和中辞典で引いてみましょう。形容詞として、「聖職者でない、一般信徒の、(教育などが)宗教から独立した、非宗教的な、世俗の」といった訳語が並んでいます。
 「ライシテ」は、「ライック」の名詞形です。同じ辞典には、「非宗教性、世俗性、政教分離(思想)、(教育などの)宗教からの独立、宗教的中立性」とあります


しかしそういう話を考えると、さらにこの箴言が重みを増すのでありまう

http://togetter.com/li/497014
Takehiro OHYA @takehiroohya 2013-05-03 16:22:53
(略)……日本国憲法への改正は明治憲法の規定を逸脱していたし、アメリカ連邦憲法は連合規約の改正手続を無視したし、フランス第5共和政憲法は第4共和政憲法の改正規定によらずして導入されてしまった。だがいずれも、物理的には可能だったとしか言いようがない。
 
そもそも民主政である以上、「我ら人民」が出てきて「これぞ人民の意志」と宣告されれば、統治者はそれを唯々諾々と受け入れるしかない。そう認められる条件をめぐって言い争ってもいいが、国民大多数が新体制に文句も言わず服従しているという圧倒的な現実を突き付けられれば、どこかで黙るしかない。
 
そのあとで憲法学者にできるのは、「あのとき革命が起きた」と振り返って呼ぶことだけ。よなはさんはこの関係を正しく認識していたが、八月革命説自体が改正限界論自体の限界を物語っているというわけだ。

 
そう、だから沖縄も今回の知事選において独立派が勝利し、その後琉球共和国の成立なり、琉球王国の復興なりしたら、それを「沖縄11月革命」なり、ことしは甲午の年だから「琉球甲午革命」とでも呼べばいいんだろう。うん、万事解決だ。
なにしろ主権を持った住民、国民の投票は、皇帝すら生むこともできるのだ。




このへんの議論をふと思い出したのは、沖縄知事選もそうだけど、twitter南北戦争に関する記述を見た、ということもある。南北戦争では御馴染み、OGAWA Kandai氏だ。

https://twitter.com/grossherzigkeit
 
OGAWA Kandai @grossherzigkeit · 10月18日
 当方は最近、「イデオロギー対決としての南北戦争」を、リンカーンとアレク・スティーブンスの思想対立に仮託し、「民主共和主義の北部」と「自由民主主義の南部」の喧嘩ととらえようとしてるが、リンカーンは恐らく、自由主義より共和主義に重きをおいてた人である。
 アメリカはイギリスの圧制に反抗し、『共同体の運命は、その共同体の住民が自由に決める』という思想の下につくられた。だから州を圧迫する連邦政府は第2のイギリスである。中央政府の言う『統一』と帝国主義の距離は極めて近い」というのがアレクの主張で、極めて筋は通ってる
 
 しかしリンカーンは、彼は自分の思想をまるで書き残さなかった人だが、「アメリカをアメリカたらしめているのは、万人は平等であり、そのために王権を否定して共和制を取るという姿勢だ。アメリカに、共和制を否定する自由はない」と言いたかったんではないかと思うんだなあ。
 アメリ南部連合は確実に「住民主権・自治の尊重」ということを旗印にしてたが、その「住民」は白人に限り、その理念のためには「自由に」帝国主義者とも手を組むんだという姿勢で4年の短い歴史を突っ走った存在だった。これはかなり当時の共和党とは相容れなかった。
 
 南部連合が想定してた自国の勝利条件の1つは、疑いもなく欧州列強からの独立承認を取り付けることで、その第一の対象はイギリスだったが、これは現実的には成功する見込みが低く、実際に現実的目標として交渉してたのはナポレオン3世統治下のフランスだった。 
 ナポレオン3世南部連合の独立承認に乗り気だった。しかし彼はボランティアではない。その条件はメキシコに出兵しこれを制圧、手駒の“皇帝”マクシミリアンに親仏傀儡帝国をつくらせ中南米を確保、余勢を駆って北米西海岸にまで勢力を伸ばすことだった。CSA承認はそのバーター。
 南部連合のジュダー・ベンジャミン国務長官は、かなりの所までナポレオン3世のこの構想にいい顔をしていて、つまり彼らの得たい「自由」とは帝国主義国家の野心とバーターで考えられていたもので、また南部連合にはそう選択する「自由」があるんだと言わんばかりだった。
 リンカーンは「自由」より「共和」を信奉していた人だから、こうした南部連合の外交姿勢にはかなり憂慮を募らせていて、その姿勢をくんだシーワード国務長官は、やや暴走気味に対英宣戦布告などをする寸前だった。
 とにかく南部連合の外交構想の重要なカギは、1861年末から始まったフランスのメキシコ出兵が成功するか否かだった。この時期のメキシコは政変続きで国力は疲弊しており、フランスの前に一蹴されるとの観測が大方だった。しかし結果的には、何とかメキシコは勝つことができたのだ。
フランスのメキシコ出兵失敗は、当時の国際社会においてはかなりの「想定外」な事態で、しかもその流れでナポレオン3世の手駒ながら名門ハプスブルク家出身のマクシミリアンがメキシコで落命するにおよび、ナポレオン3世の権威は失墜。南北戦争への介入どころではなくなってしまう。
アメリ南部連合国は確かに「自由を渇望した自由民主主義国家」だったが、その自由を得るために、ここまで露骨な侵略主義・帝国主義と同調しようとしてたことを忘れちゃいかん。そしてリンカーンは「共和主義者」として、南部のこうした「自由なる行動」を許さなかったのである

ああ、最近コピペを終えてから「この分量ならtogetterにすればよかったな」と思うことが多いな。

ま、こんなことをきっかけにして…すでにここで紹介したように、今度の日曜日にこういう催しがあるのだが

浅羽通明定期講演会、次回は26日/過去の講演UP(ドラえもんタイムパラドックス) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141017/p1

そこの「事前質問募集」に
こういう質問をしたのでした。

【質問】「独立」や「国体の変更」の法的正統性をめぐって
すでに質問がなされていますが、大きな話題となったスコットランド独立に続き、
スペインではカタルーニャ独立の気運が出ましたが、最新情報では「憲法上問題がある」とこちらは投票を認めないとのこと。
そして11月に沖縄は知事選ですが、
そもそも独立を問う投票というのは、「憲法で禁止すればできなくなる」ものなのか?
強行したら無効なのか?沖縄独立の住民投票日本国憲法下で可能なのか?
合法的に独立を成し遂げるならどうすればいいか。


また逆方向の話ですが、イスラム国を取材したジャーナリストが「日本もイスラム国になってもらう」と言われたそうです。
銃と戦車で征服されるならまた別ですが、仮に日本の選挙で
イスラム国への統合を掲げる勢力が絶対多数を占め・・・といった前提で、法律上可能なのか?
日本国憲法前文ではあまりに非民主的な理念は 「排除する」とうたっているが、それに基づいて拒否できるか?

SF的な思考実験ですが、現行法や自然法の思想などを絡めた法律的な考察が可能なら

<参考>
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140915
『彼らの目的は、イスラム法とカリフの指導のもとにイスラムの神聖国家をつくること。
今の国境は、中東を英・仏・露で勢力圏を決めたサイクス・ピコ協定とそれ以降に決められた不自然な直線になっているが、これを認めない。シリア、イラクの国境線に関係なくイスラム国だとする。最終的には単一の世界国家を目指しているのだ。
常岡さんは現地で「すまないけど、日本もイスラム国になってもらうよ」と言われたという。』