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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「民共合作」はあるか?…あればどうなるかは、菅原琢の「世論の曲解」などを読むべし

「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現をよびかけます http://www.jcp.or.jp/web_policy/2015/09/20150919-yobikake.html #日本共産党


用語として、是が非でも「民共合作」をつかっていただきたいっ。それはロマンの問題だっ。

それはそれとして、やるべきかやらないべきかといえば、もろもろの問題はあるが、やるべし、でしょう。
というのは、小選挙区制の必然的な流れであるから。そうしないと、基本、自民+公明(創価学会)にかなわないのだよ、構造的に。


政治学の理論というのはほとんど仮説や言ったもん勝ちだが、唯一証明されているといっていい政治学の法則は『小選挙区制は必然的に2つの勢力に収斂される』である」
というのをどこかで聞きました。
くわしいのは分からんが、すまん。

※  ↑この部分に関してご教示をいただいたのだが、膨大になるので、記事の一番最後に移動します。


話を戻して。
…で、菅原琢「世論の曲解」によると…と続けたいのだが、また例によって本棚から見つからない!!おとといどこかで見たのだが!!
しかたないので、作者のtwitterから探すと

https://twitter.com/sugawarataku/status/627116035506700288


SUGAWARA, Taku
@sugawarataku
たしか拙著『世論の曲解』 http://amzn.to/1KFi2OK に載せたと思うのですが、09年衆院選民主党候補は、03年に比べ、共産党候補が撤退した小選挙区では13.0pt、撤退しなかった選挙区では8.6pt得票率を伸ばしました。(続く)
 
SUGAWARA, Taku @sugawarataku 7月31日
一方、自民候補は-7.4pt、-5.4pt。共産党候補の有無で民主党候補は差し引き6.4pt、自民党候補との得票率差を詰める(差を広げる)ことになります。この計算は、選挙区の特徴(選挙構図、都市度など)を無視した単純計算ですが、野党側に大きな影響があることは間違いないでしょう

うん、この本ってちょっとネタバレに近いけど、要は「選挙のときに、共産党が候補を出すか出さないかがいかに情勢を左右するか」というのを分析した本なんだ。
だからこの状況に興味あるひとは必読、だろう。

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)


ぶっちゃけ本音では、共産党も候補を立てまくるのは苦しい。バーターをしたがるんだろう…でも見返りは?

テキトーまどめ

・選挙区に候補者が出ると、そこでPRになって、比例の票も増える。県議選や市議選などにもつながる

・だけど供託金など、お金がかかる。人手もかかって、組織が疲弊する。

・だから共産党公明党みたいになって、全国にあって足腰が比較的強いのを利用し、提携政党(民主や維新)を下支えする。
その半面で、ここぞという大物議員の選挙区はバーターで出馬し、民主などの支持をあおぐ。精鋭の小選挙区+比例で政党として存続する。

・ただし、共産党は固い組織票を持つ一方で、「共産党は絶対にいやだ」という層を多数もつ「拒否政党」でもある。
 
・歴史的経緯のある新左翼系や社会党系、あるいは反創価でゆるやかに反自民をしている宗教系などが気になる。



・・・・・・・・まあ、もっともっと詳しい、マニア的な「選挙通」なら、個別の選挙区などを織り込んでもっと深い分析ができるでしょう。
これは初級編というか、大前提みたいなものの放言。一応の輪郭はつかめる、ということで。


追記 共産党の現場から、反発が出るかもしれないという。/togetterにした

togetterにしました。


共産党ウォッチャー」が読む、国民連合政府呼びかけ 〜ナナシ=ロボ氏のツイートを中心に - Togetterまとめ http://togetter.com/li/876095
 
共産趣味者」が読む、国民連合政府構想〜ガイ・フォークス氏のツイートを中心に - Togetterまとめ http://togetter.com/li/876448

【追記】小選挙区における政党の収斂理論に関して、補足まとめ

id:Mukke
ちげーよ。正確には「ある選挙区における主要候補が定数+1に収斂する」だよ。二大政党制はその収斂が全国規模で起こった場合に過ぎず,理論的には多党制もあり得る。

(※これはつまり東日本では自民vs民主、西日本では自民vs維新とかで結果的に3党鼎立になる、といった感じの可能性ですね。)


この言葉で探すと

wikipedia:デュヴェルジェの法則
…発表当初は、全国単位で政党数が次第にM+1に収束する法則と考えられたが、Steven R. Reedが日本の中選挙区制などを調査した結果、前述のように理解されつつある。
 
……本法則は経験則として確立されたが、社会選択理論に携わる人々はゲーム理論からの演繹を試み、成功している。代表的な研究者としてウィリアム・ライカーやゲイリー・コックスが挙げられる。詳細は数理政治学:Duverger's Law。

であると判明。


そういえば、id:kyo_ju 氏の仰る、小選挙区制の母国であるイギリスでもスコットランド独立党が…あ、それって、この前の、この話だ!!(まとめたの俺ヤンけ)

滞英中の大屋雄裕教授、イギリス総選挙を語る。「多党化というより、分権で地方ごとの『大政党』が生まれる」 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/819190

Takehiro OHYA @takehiroohya 2015-05-08 15:28:45
③つまりLDPの全国的な大敗+スコットランド国民党の急成長(=同地域での労働党大敗)。イングランドではほぼ完全な二大政党、スコットランドは単一政党になっている点に注意。つまり大政党のサイズが縮んだように見えるが、それは地域ごとに「大政党」の中身が違うせいで、中小の増大ではない。
 
④それを象徴するのがUKIPで、イングランドで15%、全国で12%程度の得票を得ているが獲得議席は現時点で1。逆に地域政党民主統一党、シン・フェイン(ともに北アイルランド)、ブライド・カムリ(ウェールズ)は全国得票率1%未満ながら順に8・4・3議席獲得。
  
⑤「薄く広い支持」では勝てない、選挙区ごとの有力政党数が長期的には2に収束するという小選挙区制の特徴は損なわれていないと見るべきではないか。むしろ大きな影響を与えたのは地方分権による有力地方政党の成長、ということだろう。(終)

 
(コメント欄より)

id:kyo_ju 2015/09/21 20:53
デュベルジェの法則の正確な内容はMukkeさんの指摘どおりですが、イギリスの例について一言。
地域政党が進出して保守党、労働党に割って入っているだけでなく、労働党が伸びる前までは二大政党の一角を占めていた自由党の流れをくむ自由民主党が、全国的な第三党としてしぶとく生き残っています。今年の総選挙では負けましたが、その前は保守党と連立政権を組んでいたし、得票率も全国で20%以上だったりしました。
そんなわけで、小選挙区制で二大政党に収斂していかないケースは、何も地域政党に限られるわけではありません。
・もう一つ。「ある選挙区における主要候補が定数+1に収斂する」というと、少なくとも二人(二政党)の間の争いにはなるように思えますが、実際には各党の支持層が強い地域があるので、多くの選挙区は選挙をやる前から結果が見えている無風区になります。イギリスの場合、6割ぐらいにあたる約400の選挙区が無風区だと言われています。
以上のように、小選挙区制が二大政党制を導くというのは理論上も実際にもかなり怪しくて、多党化することもあるし、逆に一党優位制になることもあると思われます。

以上、せっかくトラバで呼ばれたので補足説明してみました。
ちなみに本題の共産党の連合政権論については、彼らの綱領と情勢分析からこのタイミングで出てくるのは必然だったろうと思います。実現性や評価は別問題です。

gryphon 2015/09/22 06:09
イギリス自民党はこの前の大敗ばかりが大きく報じられますが「まだ生き残っている」という視点で見ることも出来るんですね。独立党も「小選挙区の壁でまだ出てこないが、全国規模の支持を持つ団体として生まれている」とも見るむべきか。
コメントを掲載させて頂きました。


kyo_jukyo_ju 2015/09/22 09:28
独立党がデュベルジェの法則による淘汰過程を超えて全国的な第三党(ないし第四党)として生き残るかどうかは未知数ですが、自由民主党は、自由党以来の長い歴史を考えると、淘汰過程を超えて生き残ってきたケースと言っていいのでは。今後も淘汰されないかどうかはこれまた未知数ではありますが。

id:Mukke 2015/09/29 00:25
id:kyo_juさんが書かれていることで十分に過ぎますが,一応中・東欧の例も挙げておきます。

断片化するリトアニア政党システム
定量的特徴と小選挙区比例代表並立制の影響―
中井 遼1)

1) 早稲田大学政治経済学術院
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jarees/2009/38/2009_38_89/_article/-char/ja/

こちらの論文の97-98頁で過去の選挙研究の蓄積が概説され,デュヴェルジェの法則が成り立つ場合や小選挙区制がもたらす多党制について説明されています。