山本弘氏が3連続の、面白いブログ記事を書いている。
クリプトムネジアの恐怖・1 http://hirorin.otaden.jp/e414841.html
クリプトムネジアの恐怖・2 http://hirorin.otaden.jp/e414848.html
クリプトムネジアの恐怖・3 http://hirorin.otaden.jp/e414850.html
メインのテーマは、「いかに”斬新なアイデア”を思いついても、先行作があったら?」「以前読んだ作品を、内容は忘れた…つもりでも無意識に記憶に残り、自分のアイデアのような気がして思い出したら?」「先行作があったと気付いたら、自分のアイデアは捨てるべきなのか?」といった重要な話で、いちいち頷ける話、たぶんこれを基本ラインに考えるべき話なのだが、逆にもっともすぎて付け加える感想とかあんまり無い(笑)
ふたつ、俺的に重要な情報を抜き出しておく。
筒井康隆の「SF教室」が昨年復刊!!(「48億の妄想」と合本)
自分は実は山本ブログを「3」から読みはじめてしまったので「筒井康隆のSF教室を読んだほうがいい」と書いてあったのみて「あれ?今読もうと思って読めるの???」と自分で検索を始めた。
そして、オリジナルの本が25000エンという高値をつけていて(笑)、
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1971
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 筒井康隆,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 出版芸術社
- 発売日: 2014/11/30
- メディア: 単行本
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ただ、この復刊情報は山本氏、(1)にて紹介してたのです(笑)
とにかくねえ・・・この「SF教室」は、日本SF界の一等星として輝き続けるあの筒井康隆が、子供向けに分かりやすく、啓蒙的なガイドブックを書こうとしたという奇蹟の一冊だ。ネズミ一匹を駆除するためにちきゅうはかいばくだん、みたいなレベルの話(笑)
ほんとうにものすごくすごい。
まだ未読の人、特に中学生や小学生高学年をSFに誘導したい人にはほとんどハーメルンの笛のような効能をもたらすだろう。
ただ3000円か・・・いや、普通なら買いの値段だが、なんか自分は完全に血肉化してるという自信があるので(笑)、いま再会しなくてもいいような気もするんだよね(笑)。いや、でもすごい本だ。
ちなみに、日本SF御三家、星新一、小松左京、筒井康隆・・・では、自選をふくめてこの三作品を紹介している。
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/04/03
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 32回
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- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2000/01
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
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- 作者: 筒井康隆,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 出版芸術社
- 発売日: 2015/02/18
- メディア: 単行本
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「タイムマシン」の創作者が判明!!H・G・ウエルズではなかった?
【創作系譜論】
http://hirorin.otaden.jp/e414850.html
ウェルズの『タイムマシン』を思い出してみればいい。現代のSF作家の中にも、作中にタイムマシンを登場させる人は大勢いる。でも、それはウェルズの盗作じゃない。ストーリーが違っていれば別の作品だ。
さらにタイムマシン自体も、ウェルズが世界で最初に思いついたのではない。1887年に、スペインの作家エンリケ・ガスパール・イ・リンバウが書いた『時間遡行者』という小説が最初だと言われている(ウェルズの『タイムマシン』は1895年の作)。
実はウェルズはタイムマシンというアイデアを何度も書き直している。1888年、アマチュア時代に書かれた初期作品「時の探検家たち」は、田舎の村に引っ越してきた変人科学者がひそかに作っていたのが、実はタイムマシンだった……という話。タイムマシンというアイデアを提示しただけで終わってしまい、なんともつまらない。
「これではいかん。やはりタイムマシンというものを出すなら、遠い未来、それこそ地球の終わりまで行くような壮大な話にしなくてはいけない」
おそらくウェルズはそう反省したのだろう。こうして書き上がったのが、僕らの知る『タイムマシン』だ。
「タイムマシン」はゾンビと並んで、一人の「アイデア」が「ジャンル」になっていく過程を観察しやすいから、自分もこの「創作系譜論」と銘打ってるブログ記事の中では重視している。キリンの首とかガラパゴス諸島みたいなもんかな(笑)。
にしても、ウエルズ以前にいたのだね。
ウエルズに今「タイムマシンの父」たる名誉が贈られているのは、山本氏の言うとおりなるべくしてなったのだろうけど、やはりリンバウ氏にも、相応の名誉というか、せめてちょっと一礼するぐらいはしておきたい、と思いました。
しかしまあ、顕彰のためにウィキペディアの「タイムマシン」に追加しようと思ったら、すでに記述されていてワラタ。じゃあ、ウェルズのアマチュア時代の作品を追加しておこうかね。
この「ウエルズ前のタイムマシン」に関してtogetterができてました。
世界最初のタイムマシン小説『アナクロノペテー』 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/794748
カスガ @kasuga391 2015-03-13 19:01:33
クリプトムネジアの恐怖・3 hirorin.otaden.jp/e414850.html
ブログの論旨とは関係ないんだけど、上で山本弘氏が紹介しているエンリケ・ガスパール・イ・リンバウの『時間遡航者』ってのは、多分私がWikipediaで加筆したやつだな(自慢)。
http://hirorin.otaden.jp/e414850.html
さらにタイムマシン自体も、ウェルズが世界で最初に思いついたのではない。1887年に、スペインの作家エンリケ・ガスパール・イ・リンバウが書いた『時間遡行者』という小説が最初だと言われている(ウェルズの『タイムマシン』は1895年の作)。
カスガ @kasuga391 2015-03-13 19:02:25
El Anacronópeteの『時間遡航者』って訳題も私が付けたんだけど、実はこれ、あんまりいい訳題じゃなかったと後悔し…(後略)