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『NOVA10』
(略)
大森望氏編集の書き下ろし日本SFコレクション『NOVA10』(河出文庫)に新作が載りました。
僕の「大正航時機綺譚(たいしょうたいむましんきだん)」は、大正時代を舞台に、タイムマシン詐欺を企む親子を描くSF落語。
このネタは10年以上前に思いついたものの、どう書いたら面白くなるか分からず、ずっと温めていました。ある時、「落語にすりゃいいんじゃね?」と思いつき、こういう形になりました。ちゃんと落語として演じられるようになってるので、できればどなたか関西弁の喋れる落語家の方に演じていただきたいです。
まずはですね、SF作家の短編を集めたアンソロジー・・・というと筒井康隆が編者になった『XX年日本SFベスト集成』を思い出しちゃうでしょ、そりゃあ(一部の年代です)
自分のSF観って、あそこで培われて、あそこで止まったんじゃないかな(それじゃ駄目だろ笑)。諸星大二郎のデビュー作を掲載する慧眼だったなあ。かんべむさしの「サイコロ特攻隊」「決戦・日本シリーズ」、小松左京「ヴォミーサ」「夜が明けたら」、楽屋落ち的なSFエッセイ・・・漫画も載せてたの画期的だったよね。
その話をしてもしょーがないのだが、しかしこの「NOVA」は、2009年に第1巻が出て、・・・つまり半年に1冊ごとのペースでたのかな。すごいなあ。頑張ってるなあ。
さて、山本氏の作品は「タイムマシン詐欺」ものとな。
このパターンは「タイムマシンと言っておきながら本当は詐欺(トリック)でした」でも「詐欺(トリック)だと思いきや、本当はタイムマシン・・・というか何かの超自然的なものが絡む」でも、どっちでも面白い。
広瀬正の遺作短編集「タイムマシンの作り方」冒頭に出てくる、大学の講義調でタイムマシンの基礎知識を教える「ザ・タイムマシン」がすっごく面白かったが、そこにはあるタイムトラベルの「実験」をしたあと、「あれはトリックだったんじゃないですか?あなたがたはなぜ信じたのですか?」と教授が逆に尋ねる場面があったなあ。
広瀬正小説全集、完結タイムマシンのつくり方 広瀬正・小説全集・6 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)
- 作者: 広瀬正
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/12/16
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「タイムマシン」ものを中心に、「時間」に魅せられた作家・広瀬正の様々な手法ときらめく才能が詰まった珠玉のショートショート24篇と付録を収録。(解説/筒井康隆)
内容(「BOOK」データベースより)
二つの隆起と三つの穴を持つ奇妙な出土物をめぐって議論を戦わせる学者たち。タイムマシンで連れてこられた古代人の意外な答えは…。著者のSF処女作であり、星新一に激賞された傑作「もの」をはじめ、「時間」を自由自在に操るタイムマシンの魅力にとりつかれた人々の悲喜劇を多彩な切り口で描いた短編とショートショート24編および付録を収め、シリーズ最終巻を飾る贅沢な作品集。
2008年に再版されたとは・・・。その書籍の生命力に感嘆。
あと、タイムマシン詐欺とはまったく違うベクトルだけど、ふと思い出した。
本物のタイムマシンを手に入れたセールスマンが、なぜかそれを「売れない商品をセールスする」ことだけに使う藤子・F・不二雄「オヤジ・ロック」も忘れがたい。
ぼくは「異色短編集」で持ってるけど、版はたくさんあるよ。
▼第1話/オヤジ・ロック▼第2話/じじぬき▼第3話/自分会議▼第4話/間引き▼第5話/3万3千平米▼第6話/劇画・オバQ▼第7話/ドジ田ドジ郎の幸運▼第8話/T・Mは絶対に▼第9話/ミノタウロスの皿▼第10話/一千年後の再会▼第11話/ヒョンヒョロ▼第12話/わが子・スーパーマン▼第13話/コロリころげた木の根っ子▼エッセイ・北村想ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07/15
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