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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

フランス「国民戦線」現党首マリー・ルペンは「父親が極右の親玉だ」と学校で被いじめ経験あり。その時、教師は…/そして政界入り時、党内部から…

http://www.france10.tv/international/2679/

極右政党『仏国民戦線』のマリーヌ=ルペン党首が8歳だった1976年11月1-2日の夜、ルペン邸宅がテロリストによって爆破された。ルペン暗殺を狙った爆弾テロ事件であり、自宅は木っ端みじんに大破したのだった。5人が負傷したのだが、その中にはマリーヌ=ルペンも含む3人の子どもがいた。マリーヌは辛うじて九死に一生を得たが、溺愛していた犬が無残にも殺され、悲嘆に暮れたという。

マリーヌは公立学校ではいじめられ子だった。フランスにおいてジャンマリー=ルペン「国民戦線」名誉党首は「ヒットラーの再来」「悪魔」「キワモノ」と目され、侮蔑・憎悪の対象でしかなかったがために、マリーヌは学校では「悪魔の娘」とはやし立てられ、いじめられた。教員は左派が多いために、彼女を守る者はいなかった。

さもあろう。そういう例を、日本でも知っている。
たとえば「危機管理」で有名な佐々淳行氏が安保闘争極左取締りに当たっていた当時のことを…憤慨を込めて、息子が左派支持の教師につるし上げられた日々のことを回想している。

…ある日次男の敏行が区立の中丸小学校から泣きべそをかきながら帰ってきた。
 きけば担任のSという女教師に授業中に「このクラスの子でお父さんが警察官と自衛官の子供は立ちなさい」と言われ、次男がほかの警察官や自衛官の子供たちと顔を見合せながら立つと、S教師は「この子たちのお父さんは悪い人たちです。あんたたちは立っていなさい」といわれゆえなく立たされたという…

連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫)

連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫)

追記:コメント欄より
id:tennteke 2014/06/26 13:57
佐々氏のエピソードは、時系列が合わなくて疑問視する人がいます。
次男さんが教師に虐められたのは
「私が第二次反安保闘争警備の責任者だった昭和43年(1968年)の後半世田谷区立・中丸小学校…」
とあり、
その次男さん敏行さんは1965年11月21日生、と著書「香港領事 佐々淳行」P80に載っていますので、三歳で小学生ってのは、無理があります。
と以前文藝春秋にメールを出しましたら、
・次男さんが虐められていたことは本当
・年代は勘違いかもしれない
・次の版から訂正します
と返事が来ましたが、直っているかどうかは確認できていません。

しかし、8歳で爆弾テロ事件に巻き込まれ、自身も軽傷を負って愛犬が死んだというのは実にハードな経験だな。韓国の朴槿恵大統領も肉親や本人がテロにあったけど。

ちなみに、よく言われる「お前は戦場体験があるのか?身内に軍人や戦死者がいるのか?まず自分が行ってみろ」という、いわゆる”ジェシカ・百田論法”を信奉する人は、以後、実際に自分がテロで負傷した経験がある人以外、対テロ問題についてマリー・ルペン党首の主張に反論しないように。(※もちろん「ジェシカ・百田論法」自体の正当性を問うべし、という皮肉です)

ま、それはそれとして、もっと重要な部分がある。

パパ・ルペンが移民や政敵に向ける憎悪的・排外的な表現の強さを知っている。しかし、彼女は爆弾テロの被害者であり、いじめられっ子だったがために、「憎悪」の恐ろしさを身にしみて感じているのだ。

そういえば安倍晋三首相も、高校生のころの先生が左派で、反安保論を教壇から一方的に言われて反論した…みたいな話を、「美しい国へ」で書いてたっけ。

美しい国へ (文春新書)

美しい国へ (文春新書)

雰囲気的に「そういう教師はいただろう」と予想できる経験は、数十年後に小学生を体験した当方にも経験がいろいろあるが、この安倍氏の教師とのやりとりも実態などはよくわからん。自分は押し付けはしてないと…たしかこの教師のほうもご存命で、何かのメディアに出てきて語ってたっけ。
毎日新聞だった。
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/161.html

ただまあ、左派的教師がその色に教室を染めようと、知識の差(子どもとじゃあって当然なのだが)だけでなくその権限、権力を振り回す、ということはたしかに日本でもあり、フランスでもあったらしいし、子どもが保守政治家の関係者であったとき「自分は少数者であり、巨大な権力と戦っている側だ」とその子どもが思うというパターンもままあるのでありましょう。

そしてさらに重要なのは、とくにいま重要なのはここ。

…マリーヌを取材していて一番印象的だったのは国民戦線の舞踏会での振る舞いだ。ディナータイムが終わると、同党幹部を含む参加者が踊りに興じた。マリーヌは若い男性と一緒に軽快にまくるくるくるくる踊る。見事な踊りっぷりに、隣にいた党幹部に「ずいぶん遊び人なのですねー」というニュアンスのことを呟いたら、幹部は苦笑した。党内保守からは「夜の女」と侮蔑されていたことをあとで知る

いまの日本の都議会の話題と連想して考えると、
実にどうも、きわめてタイムリーなのである。

国民戦線は価値観において、カソリックと親和性の高い政党ではあるが、ルペン父も離婚経験者、マリー党首自身も2回離婚した三児の母だとか。

マリーヌは離婚を2回している3児の母だ。法学部で学び、弁護士の道を進んだ。
伝統的家族像から離れた世俗的なすがたが受けるのか、パパ・ルペンが名誉党首になり、マリーヌ=ルペンが2011年に党首に就くや、女性の支持者が増えていった

マリー・ルペンが離婚経験者であり「保守的な伝統的家族」に収まらないことは、実はこんな効果を生んでいるようだ…国民戦線が最近主張の根幹にすえているのは「移民系のイスラム社会批判」、それもイスラムシャリーア的な伝統的規範とライシテを根幹にすえた近代フランス社会の軋轢部分…。
つまり、何度か紹介した

■『寛容は「普遍」を経て不寛容となる』〜欧州の反イスラム運動を解説した大必読論文(吉田徹)http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120427/p2
  
■欧州の反イスラム(右翼)運動に地殻変動・・・「僕らは寛容だ、だから非寛容のイスラムは敵だ」(再掲載)http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110921/p6

これに、女性党首で離婚経験者、というマリー・ルペンはアイコンに成りえる…ということらしい。


オランダ「自由党」の党首は無神論者であると公言しており、同性愛結婚の受付を宗教的信念から拒否する公務員を「許されない」と批判していることも想起されたい。

イスラム批判で知られるオランダの政党指導者、訪米し影響力拡大へ - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120130/p3
 
オランダで「私の信仰上、同性婚の届出は受けられない」と公務員が拒否する例続出→”極右”が「拒否は許されない」と主張 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120903/p3


まあ、そんなわけで、このマリー・ルペン氏の紹介記事は非常に面白かった。
そして、8歳でテロ事件に巻き込まれ、負傷した経験を知ったのである。テロ事件の被害をもって、その被害者の主張が正しいと印象付けようとするのは佐高信氏流の愚かな論法であるとから採用しない…というか反証にする(佐高氏、以前のような論法をマリー党首の主張に適用するのだろうか?)が、彼女は何を爆発の中で経験したのだろうか。