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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「刺青(タトゥー)による銭湯・プール拒否は差別か」論、ひそかに過去記事を再紹介させていただきたく。

うーん、今はてブ内で探したら、残っているのはこれだったよ。

痛いニュース(ノ∀`):【画像】 脳科学者・茂木健一郎 「貼り紙つくった。全国の温泉、公衆浴場関係の方、ご活用ください!」 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1800204.html

もちっといいのないかな…。
J-CASTの記事となっていた。

「タトゥー、刺青は入浴お断り」は差別なのか 茂木健一郎氏のツイートが論議呼ぶ:J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2014/06/18208021.html @jcast_newsさんから

茂木さんは……ツイッター上で2014年6月17日、サッカーW杯を見ているとタトゥーの選手は普通にいるとして、こうつぶやいたのだ。
「タトゥー、刺青は入浴お断り、という不当な差別をしている限り、日本の温泉の世界遺産登録は無理だね」
つぶやきは800以上もリツイートされ、反論も次々に上がった。これに茂木さんも受けて立ち、「暴力団関係の刺青とタトゥーとの線引きが難しいので受け手側の都合上全部NGとなってるのだと思います」との指摘には……


これが話題になったときのぼくの心境。

■疑問「刺青を理由にプールやサウナ入店を禁じるのは差別か?」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080207#p4
■「タトゥーがあると差別、就職の制約がある」と日刊ゲンダイ
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081015/p8
須磨海水浴場、今年から神戸市条例で「入墨露出禁止」。法的、思想的にはOKなの?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110709/p4
橋下徹大阪市長、刺青で市職員調査。プール・サウナ業界に影響及ぼすか?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120517/p2
■「刺青のリスク」記事・・・再び悩む、これらは「差別」か?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130419/p2
■刺青禁止がルールの銭湯に、刺青が伝統のマオリ族きたる、のまき。当ブログは準備してお待ちしておりました。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130913/p2

なぜ、おれが書いたときは炎上しねえっ…無名だからだ(完)。


いやまあ、それ一択ではあるんだが、実はこれだけ書いてて、自分は結論が出ないのよ(笑)。烈海王とはちがって「通過してなかった」わ。
 
茂木氏のように「差別だ」と一刀両断で断言もできないし、それを嘲笑批判するほどの断言もできない。非常に法哲学的に微妙な問題だと思うのだが。そういう点では、双方の攻撃的言辞を置いてもらって、このしなびた場所で語ってもらうほうがええんじゃないかいな、ともね。


ただ。
もともと、自分のこの議論の根本は、さらに抽象的に表現すると
「『かざす、見せる』を裁けるか」と話は広がるのである。

憲法には「表現の自由」がありまっしょ。

そしてそれよりさらに「他者危害の原則」がある。国家や法が、人の行動を制限するとき、それは基本的に「その行動が他者の権利を侵害するから」という、この原理で説明がつく…というか、それで説明がつくもの以外は制限できない。

ものを盗むのを法が制限するのは、他者の財産権を侵害するから。
自動車が時速250キロで公道を走れないのは、他者の安全を侵害するから。
人を殴れないのは…以下同じ。


ただ…これも以前からずっと書いているけど、監視カメラや顔認証が問題なのは、「撮る」という行為はいかに他者が迷惑に感じていたり、それが実際に(悪)影響を持つとしても、物理的に殴ったり盗んだりするのとはちがって、だれの権利も(一応は)物理的に侵害していないから、それを制限するロジックがむずかしいからだ。もちろん、いろんな議論を展開して制限もそれなりにあるのだけど、ちょっと「建て増し」した感はあるでしょ。(もともと「撮影」というものが19世紀に生まれた新しい概念だものね)


「かざす」とか「見せる」というのも…これは撮影とはちがって古い概念だけれども、「かざしたり見せたりするだけでは、誰も物理的に侵害していない。なぜその行動を制限することが出来るのか?」という問いをばーんとぶつけると、やはり難しい話になるはずですよ。

ここではおなじみですが(数日前にやったばかりだ)、プリンセス・プリンセス「DIAMOND」より。


好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ

これは、この前は「まちなかでのび太君のコスプレをした人が職務質問」記事で引用した(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140617/p4
結局、このかたも無罪放免。ただ「見せる」だけというのは、コスプレも看板もヘアースタイルも含めて、許容されるのが原則なのだ。


しかし、例外は…
まず「露出」だな(笑)。あと、ヌードポスターを職場に貼るとかは、民事でも環境型セクハラだろうし、ものによってはわいせつ物陳列?になるのかな。
これは例外扱いとしてくれ(笑)

ヌーディスト歓喜! ドイツで「公共の場での全裸」を合法化 - クランクイン! http://www.crank-in.net/kininaru/news/30576

もともと、性の問題というのは自由主義や民主主義の番外地、であるという面も大きい(これも何度も書いているが、近親婚を禁止するのも、性の問題が自由主義的ロジックだけでは説明できないことの現われではないか、と思っている)。

性の問題をおくと、あとは著作権ね。コスプレのび太君もやばいのか(笑)。それは「かざすのは自由、見せるだけなら自由」には当てはまらない・・・。


どれも制限は、変化球にすぎるっちゃすぎる。
刺青拒否問題は「見せる・掲げる」ということは裁けるのか?という大きな問題とかかわる。

で、これは以前の記事を再掲載する。『「見せる、掲げる」だけならそれは違法視できないのではないか』という話なら、アテツケや誘導ではなく、どう考えても自然にこの大きな問題と連動するとしか思えない。
あと「どこかの文化ではアウトローや悪の象徴かもしれないけど、別の文化では神聖な、善なる象徴なんだよ。こっちのほうが伝統あるし」という部分では、まさに瓜二つだ。
 

【再掲載】(刺青問題は)「卍&裏卍(仏教)とハーケンクロイツナチス)」の関係になぞらえられるんとちゃう?


 
虚構新聞的シミュレーション】
 
日本(orチベット)の仏教・拳法指導者で、ドイツ(orイスラエル)で6日まで開かれたナントカの講習会の講師を務めた女性が、民間の施設で裏卍の紋章を理由に入館を断られていたことが11日、分かった。関係者は「裏卍は仏教および拳法の尊厳の象徴であり、大変残念」…(略)支配人は「卍にもいろいろな背景があることは理解するが、一般客はなかなか分からない。例外を認めると、これまでの信頼を裏切ることになる」と説明している。
 
 


もうひとつ、「実際に見てみれば、刺青している人に反社会的組織の関係者が多いというのは、統計的、実際的に事実でしょ?」「いや、それが全部とは限らないし。その属性で区切るのはおかしいし」という議論があるけど、それは過去記事に。これも難しいはなしだし、「ビッグデータ」の分析で、「根拠はわからないがとにかく相関がある」というものがぼろぼろ発見できるこんな時代では、いろんなところに波及していく。


【追記】憲法学者の奥平康弘・木村草太が対談集の中でこの問題を語っている由。

この記事を書いたあとのtwitterでのやりとり。ずうずうしく尋ねた、話を振ったもん勝ちだ。

gryphonjapan ‏@gryphonjapan 15時間
『「タトゥー、刺青は入浴お断り」は差別なのか 茂木健一郎氏のツイートが論議呼ぶ:J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2014/06/18208021.html … 』←突き詰めていえば憲法問題であり、例えば木村草太氏@SotaKimura なら明確な議論ができるのではないか、と勝手に思っている。


木村草太 ‏@SotaKimura 3時間
@gryphonjapan ご期待に沿いたいところですが、残念ながら、歴史的経緯、文化的文脈など、かなり入り組んでいて、まだ明確な筋がないんです。この点については、『未完の憲法』で奥平先生と議論しているので、ご興味があるなら該当箇所を見てみてください。

ふーむ、そもそも今後のということで話を振ったのに、「既に議論している本が出ている」とかえってくるとは正直思わなんだよ(笑)
どれどれ、書名で検索すると…ことし4月に出たばかりの本。

未完の憲法

未完の憲法

近視眼的な改憲議論を超えて――

憲法学の大家と若き俊英が“想像力"で
示す未来への針路!

佐藤優氏絶賛! !
「この本を読まずして、憲法について語るな! 」
内容(「BOOK」データベースより)
憲法は常に未完の体系である」―憲法を正視した二人の共通のコンセプト。近視眼的な改憲論議を超えて―憲法学の大家と若き俊英が「想像力」で示す未来への針路。

原文が分ったので追加。奥平康弘語る。

…熱海の温泉宿などでは、昔から「刺青の方、入浴ご遠慮ください」なんて表示がしてあって、そのことが特段問題にはならなかったわけです。民事訴訟の問題にすらならなかった。しかし、少数民族のケースが出てきたことによって、これまでは問題にすらならなかった「刺青おことわり」という表示についても、改めて考えるきっかけになったわけです。自分の体に刺青をすることは自由なのか? その刺青を不特定多数の人々の前にさらすことは自由なのか? 逆に、刺青の人を入場禁止にすることは「表現の自由」の侵害に当たるのか? (同書102頁)


http://arecolle.hatenablog.com/entry/2015/02/01/141839 から孫引きで引用いたしました。