INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

あの時、木村政彦の前に立った作家・猪瀬直樹なら、都知事・猪瀬直樹の説明に納得したか?

タイトル通り。

まず、産経サイトの名物、会見全文テキスト(これも【全文革命】か)

会見全文起こし 【猪瀬直樹知事会見詳報】-MSN産経ニュース
(上)http://t.co/6g20YzZ4Mn
(中)http://t.co/HTQSA94vPW
(下)http://t.co/9zrTiwLeN1


昨日はいろんな新聞に目を通したが、めったに読まない日経新聞の1面コラム「春秋」が一番面白かった。同じテーマの読売「編集手帳」も、もらったお金が5000万円であることと、5000円札の「樋口一葉」がその日(11月23日)命日だったことをかけたり、新明解国語辞典の「貧乏性」の語釈から、こんな大金を借りて届出もせずに「貸し金庫に預けっぱなし」…な猪瀬直樹都知事はその反対の「金満症」ですか、とからかったりとさすがの仕上がりなのだが、横綱といえども15日の場所中はいくつか金星を献上する。今回は春秋の金星だった。
そのコラムとは。

春秋
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63030320T21C13A1MM8000/
 闇に埋もれた事実を暴くノンフィクション作家・猪瀬直樹がこの席にいたら、果たしてどんな質問をぶつけたのか。そんな想像をしつつ、きのうの猪瀬直樹東京都知事の記者会見を見ていた。知事選前に猪瀬さんに徳洲会側から5千万円わたっていたことの釈明である。

▼行きつ戻りつした説明はこうだ。選挙に出ることを決めた昨年11月、徳田虎雄氏に挨拶に行った。初対面である。しばらくすると徳田氏側から5千万円を貸そうという申し出があった。
(略)
▼初めて会って5千万円? などなど、筋の通らぬところはいくらもある・・・(略)投票日の1カ月ほど前の大金だ。よもや本人もこれで世が納得するとは思うまい。

▼猪瀬さんは駆け出しライターだった30代のころ、仲間と飲んでどんなに座が盛り上がっても午後10時には店を出て仕事場に戻った。自分と向き合うためだという……二人の猪瀬直樹が向き合って、知事は作家を丸めこむことができるのだろうか。

このコラムにそのまま乗っかって、格闘技ブログ風に言い換えただけなのが、このエントリーの題名である。
つい先月、増田俊也木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」をもとにした劇画「KIMURA」の0巻がリリースされた。

この取材で、猪瀬氏は木村政彦が、力道山八百長破りによって敗北を喫し、生き恥を晒したという屈辱を、「力道山を殺したのはわしだ。わしの呪いの力だ」と信じることで埋め合わせようとする、敗者の実に悲しく寂しい…ながらも、何かの凄みや感動もある逸話を、粘り強い対面取材への執念と、そのたった1回の機会を捉えた鋭い追及で発掘している。
ほかのところでこの話は読んだり聞いた記録はあまり見ないから、猪瀬氏がいなかったら地球上から消えた記録であろう。
もとは「欲望のメディア」用の取材で、木村の訃報を契機に書かれたのだから、3,4年は蓄積し、寝かせた材料である。1993年、UFCパンクラスの出現と同じ年・・・ちょうど20年前に、作家としての猪瀬直樹氏が書いた。
この、見開き2ページのコラムに若き増田俊也氏が衝撃のあまり「これでは木村先生がかわいそうだ!」と文春に抗議電話をかけ、それだけでは収まらず「真剣勝負なら木村政彦が勝ったはずだ!」という仮説から下の本が生まれた、という話は周知の通り。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

そして猪瀬氏が審査委員長の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した、という因縁話も有名だろう。
そんな一冊の本を出した、という話とは比較するべくもないが、当時の自分も「これはものすごく貴重な記録だ!」とコピーを残していた。1993年、まだインターネットに自分は触れていない。しかし、いまは猪瀬メルマガでも増田ブログでもこの一文が読める
http://www.inose.gr.jp/news/post505/
http://blog.livedoor.jp/masuda_toshinari/archives/51733208.html
ので言ってしまうが、ネットをはじめ、ホームページを作れるようになると、そこに文字を手打ちしてアップしたりしたものだ。

このへんのことは過去にも書いている

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか」を生んだ、猪瀬直樹の2ページのコラム。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110930/p3
 
大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した夜、増田俊也はこう語った(動画)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120603/p1

たしかに猪瀬直樹は、それほど貴重な記録を、真実を、闇の中から発掘したジャーナリストであった。

そして表題に戻る。
20年前の彼があの記者会見にいたとき、そこから20年後の都知事の金銭問題の説明に納得したか?老人の、わずかなプライドのよりどころをも、「信じられない」「そんなことは不可能だ」と食い下がった男がだ。


………
「あいつは卑怯な男ですよ」
 と木村は僕にいった。
「だから、殺したんだ」
 しかし、彼はあなたに殺されたのではなくヤクザに刺されて死んだんですよ。
「いや。殺した」
 どうやって?
「ここですよ」
 と木村は額を指さした。僕は意味がわからなかった。
「ここに〝殺〟と書いたんです」
 書く? ああ、イメージで前頭葉のあたりに字を描いたわけですね。
「そうだ」
 そんなことをしたって人は死にません。
「いや、死ぬんだ」
 念力ですか。納得できませんね。
「あんたについても〝殺〟を描こうか」
 しばらく気まずい沈黙がつづいた。(後略)

20年を経て、
攻守は逆転する。
そしてこの5000万円は、猪瀬都知事にとっての「力道山戦敗北」となるかもしれない…

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131123/lcl13112312010001-n3.htm
−−5千万円の受け渡しについて知っているのは、知事と亡くなった奥様だけ。
 「そうです」
 −−貸し借りに他の人は介在していない。
 「うちの鈴木(重雄)秘書は、選挙期間中はまったく知りませんでした。事務所の会計責任者も全く知りませんでした。
 −−知事サイドは知事と奥様だけしか知らなかった
 「ですから妻の貸金庫に保管しました。考えてみたら必要なかったなと。よく選挙が分からないときに、そういうものを借りるという意味がどういうことかよく分からずに、個人の借入金としてお借りして、お借りする意味もあまりないなとすぐに気づきましたので、1月にすぐに返済をお伝えしたわけですね」
 −−具体的に徳洲会のだれからとはいえないということだが、公職選挙法違反の疑いで徳洲会の捜査が進む中でそれについて言えないというのは有権者の理解は得られるのか
 「徳洲会側に対して質問してくださればいいと思います」
 −−選挙資金が足りなくなったら使っていた
 「『たられば』だな」


今回、知事会見に臨んだ取材者も、同じ様な疲労感に襲われただろうか。


重病を得て、なおも何かと戦うトラオ(徳田虎雄)の執念が、この情報が漏れる一端になったのか。

産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131123/crm13112308540004-n1.htm
関係者によると、虎雄氏の携帯電話に毅議員から電話があったのは、知事選直前の昨年11月19日午後1時過ぎ。虎雄氏はこのとき、湘南鎌倉総合病院15階にある執務室で来客らと面会中だったが、文字盤を目で追いながら秘書を通じて毅議員と会話する内容は、スピーカーを通して来客らにも聞こえる状態で続けられたという。

 電話のやり取りは次のような内容だったと関係者は証言する。

 毅氏「都知事選の応援について、猪瀬氏は1億5千万円と言っていましたが、結局、1億円を先に欲しい、残ったら返すということです」

 虎雄氏「とりあえず5千万円。先方に取りに来させろ」

 毅氏「議員会館でやりましょうか」

 虎雄氏「足がつかないようにしろ」

えっ、もう文庫になったの?ああ、今回の選挙違反事件が後押しになったっぽいな

徳田虎雄氏の「正体」に迫る決定版評伝

日本一の病院帝国を築いた徳洲会創設者・徳田虎雄氏がいま、己の「生」と向き合っている。ALSとは身体を動かす神経系が壊れ、全身の筋肉が縮んでいく難病だ。02年春に同病を患った徳田氏は、もはや全身の自由が利かない。
それでも眼球の動きで文字盤を追いながら、こう語るのだ。「これからがじんせいのしょうぶ」。
だがそんな徳田氏にも「運命の時」が近づいている。13年に徳洲会グループは、次男・毅氏の衆院選を巡る公選法違反容疑事件で東京地検特捜部の強制捜査を受ける。さらに徳田氏自身の病も進行し、眼の動きすらままならなくなる「完全なる閉じ込め状態」も、近く訪れるかもしれない。
窮地の徳田氏の「心奥」と徳洲会騒動の「核心」を気鋭のジャーナリスト・青木理氏が描く。

この連載が週刊ポストで載ったときは、「ノンフィクションに発表の場所が無い」「どこかにつくろう」と盛り上がったころで、その関係でいろんな雑誌に本格ノンフィクションが始まってた気がする。
それはともかく、読んだときにやはり根本として「こんな難病で、死にも着実に迫っているとき、それが理想だろうと事業欲だろうと政治権力欲だろうと・・・もうどうでも良くなるんじゃないか?」と、凡人の疑問があった。
しかし、やはり凡人の想像を超えていて…理想か欲望かは分からないが、ともかくも怪物トラオは、文字盤やハンズフリー電話で、戦い続けていた。


そして、
だから、その病室にいる人は、会話の内容もトラオの指示も筒抜けになる…そんな皮肉な、話なのか。
ただし、猪瀬氏はこの1億円要求を否定している。同席した平成のフィクサー一水会木村三浩氏も認めていない。

「反権力」「YP(ヤルタポツダム)体制打倒」の”新右翼”指導者、「仲介者」になる。

この「団体代表」が一水会木村三浩氏であることは、最初のニュースで流れ、後に匿名。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131122-OYT1T01500.htm
5000万円の「借入金」を巡り猪瀬知事と徳洲会側の仲介役を務めた団体代表が22日、読売新聞の取材に応じ、一連の経緯を語った。
 
 団体代表は、猪瀬知事と徳洲会創業者の徳田虎雄・元衆院議員(75)の双方と面識があり、都知事選告示前の昨年11月6日、知事とともに神奈川県鎌倉市内の病院に虎雄容疑者を訪ねた。

 この際、猪瀬知事は虎雄容疑者に「救命救急などに関して副知事在任中に取り組んできたことを一生懸命話していた」という。資金提供が決まった理由については「知事はお金の話は言っていない。その辺は全部あうんの呼吸」とする一方、「(虎雄容疑者に)あいさつに行くということは、何らかの応援を期待するということだ」とも話した。

たしかに、顔が広く、双方に面識があるんだろうけど、それでもなんでここに氏がいるのかよくわからん。一応まだ一水会は「新右翼」団体ではあるのだろうが、最高顧問の鈴木邦男氏も木村三浩氏も一般メディアにしばしば登場するし、交友自体は問題が無い、となるのだろうか。

「定例会見」(情報公開)があるからこそ、彼はここまで追い詰められた

前任者もときどき苦しんだが(笑)、ここが東京都知事のつらいところで毎週一回、いやでもおうでも定例会見にはでなきゃいけない。
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/kako24.htm
そして、全文革命によって、すべての詳細な部分が、とりあえず情報、資料として提示される。また「しどろもどろ」か「冷静沈着」かはメディアがどう評価するとしても、動画によって実際の状況を確認できる。

もしこういう仕組みが無かったら、彼は100%、こういう質疑の場を設けなかっただろう。
情報を公開させる場、権力者に質問できる・・・「仕組み」がいかに重要か。そこで問える力や材料があるかどうかはまた別の問題となるが。
本日のビブリオバトルの宣伝もしなきゃいけないし(笑)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131123/lcl13112307000000-n4.htm
24日日曜日の方の、大学生の方のビブリオバトル首都決戦2013は、これも全国の予選を勝ち抜いた30名の大学生が、決勝戦に参加します。当日は作家・思想家の東浩紀さんや、ビブリオバトル発案者の立命館大学助教授の谷口忠大さんなどを招き、一緒にトークセッションをやります。