いまは読書週間中ということで
- 作者: 谷口忠大
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/04/19
- メディア: 新書
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おすすめの一冊を持ち合い、本の魅力を紹介しあう「ビブリオバトル」。ゲーム感覚を取り入れた、新しい"書評"のかたちが今注目を集めている。シンプルなルール、そして「人を通して本を知る。本を通して人を知る」ことができるのが魅力のビブリオバトルとは何なのか? 京都大学の研究室で生まれ、今や全国大会も催されることになったビブリオバトルの誕生秘話から遊び方まで、その全貌を描いた入門的一冊。書評は読むだけのものではなく、参加するもの。読書嫌いも本好きになること請け合いだ。情報が多いネット時代だからこその、新しい本との出会いを提案する。
をご紹介。
まず、特筆すべきことはこの本で、文春新書の歴史上初めて?ライトノベルが出されていること。何をまちがったか、ビブリオバトルを紹介するために著者はラノベに手を染めてしまいおった(笑)。
そのできばえは、というと、僕の唯一のラノベ作品
■「俺がビールを入れた罠を庭に仕掛けたら、なめくじが捕れ過ぎる」(画像あり)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120819/p5
と甲乙、あるいは丙丁つけがたい(笑)
でも「バクマン」「禅と脳」など実在の本を紹介する様を通じて、うまく「ビブリオバトル」とは何かをわからせている。まあ、俺のラノベだってなめくじの殺し方やはだしで踏んづけたときの感触などをわかりやすく解説している自信はあるが。俺のラノベはどうでもいい。
著者によるとビブリオバトルは、2007年に誕生したとのことで、まだそんな歴史しかないのに全国大会まで開かれている。
総合格闘技の苦境をみれば、まさに天下人、わが世の春かと思うのだが、創設者の野望は果てしない。
(要約)
ビブリオバトルは確かに3年前に比べれば広がった。しかしそれはある限られた範囲でのことにすぎない。僕はビブリオバトルを説明するときに、よく
「ライバルはフットサルやドッジボール」
という。ここには「そのくらい気楽な遊び」「ルールの中でプレーするスポーツ、ゲームの一種」そして、「それぐらい草の根まで普及させたい」という思いがある(211、212P)
というのだ。
ただ、逆にルールはきちんと守って、拘って欲しいのだという。
ビブリオバトル公式ルール (ビブリオバトル普及委員会)
1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる.
2. 順番に一人5分間で本を紹介する.
3. それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分行う.
4. 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする.
まったく単純で、簡単なものである。
一度、格闘技飲み会の余興として、有志によって格闘技・プロレス本に特化した形でこの「ビブリオバトル」をやってみたいと思うが、まだ実現してないな。いつかやれればね。
このルールを守っていないと、
ビブリオバトルとは呼べない、とのこと。
このビブリオバトルにはどんな効用があるか。
有隣堂サイトの紹介がまとまっているので、孫引きで紹介したい。
http://www.yurindo.co.jp/yurin/2801
ビブリオバトルの主な機能として挙げているのは、次の4つです。
1.参加者で本の内容を共有できる。(書籍情報共有機能)
2.スピーチの訓練になる。(スピーチ能力向上機能)
3.いい本が見つかる。(良書探索機能)
4.お互いの理解が深まる。(コミュニティ開発機能)まず、ビブリオバトルでみんなが本を持ち寄って紹介しあうので「書籍情報共有機能」があるというのはよいとして、次の「スピーチ能力向上機能」ですが、持ってきた本の魅力を即興の語りで目の前のみんなに伝えないといけないために、スピーチのよいトレーニングになります。ビブリオバトルが「知的書評合戦」という言葉をよく冠することもあり、人によっては難しく感じて敬遠される方もあるのですが、ビブリオバトルの実態はそんなに畏まったものではありません。発表者は持ってきた本を
「えーと、僕が紹介する本は『ハゲタカ』です。これはですねぇ、経済小説といえば、経済小説なんですけど、その、すごく面白いんですね。えっと、どう面白いかというと…」
という風に、シドロモドロながらに紹介する。そこから、聞く側も「フムフム」となんとか発表者の意図を汲み取ろうと聞き入る。本の魅力に関する誠実な告白タイムこそビブリオバトルらしさだと思います
「ビブリオバトル」というものがどんな意義や特徴があるか、というのは昨年書いているので、その再紹介で。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121020/p2
ウィキペディアでも端的にまとまっているね
ウィキペディアの「ビブリオバトル」
いや、面白いよ、この試み。
日本人はコミュニケーションべたとか積極性が無いとかシャイとか言われているが、「カラオケ」というフォーマットがあると、がぜん外国人も驚く(というか引く)ほどの積極性を発揮した、というのがある。俳句、短歌だって形式を制限し、区切るから間口は広がる。これはMMAか、ボクシングかというアレだ。違うか。
でもまあそういうことで「お勧め本をひとり5分の持ち時間で紹介する」というこの形式、ジャンルの限定によって、「大勢の前でスピーチする」ということをやりやすくする・・・それに、ステレオタイプ的にとらえるなら読書というのは黙読の一般化一向は基本的に孤独な作業で、・・・・ゆえに、得てして「読書好き」は「大勢の前で注目を浴びながら語る」ことが苦手だ、という面も、かならずしも根も葉もない話ではないだろう。
しかし、この「ビブリオバトル」は期せずして、この両極端に橋を架ける作業にもなっている。
まだ生まれてから歴史の浅い行事だが、どうぞ今後も大きく発展し、またたとえば小学校や中学校などにも広まってほしい。「読書感想文」もトータルで見るなら決して無駄な事業ではないとは思うが、たとえばそれとコラボするようなことがあってもいいかと思う。
「ビブリオバトル首都決戦2013」は11月24日開催!!何の本の紹介かは今後公表
http://shuto13.bibliobattle.jp/
ビブリオバトル首都決戦2013 開催概要
開催日 2013年11月24日(日曜日)
開催場所 ベルサール秋葉原 (千代田区外神田3-12-8 住友不動産秋葉原ビル)
主 催 東京都、東京都教育委員会、公益財団法人文字・活字文化推進機構
特別協力 ビブリオバトル普及委員会
協 力 紀伊國屋書店、読売新聞社 等
何の本の紹介がこの本戦で行われるか…は
http://shuto13.bibliobattle.jp/record2013/zone_book
首都決戦2013 地区決戦チャンプ本一覧
近日公開予定!
とのこと。