協同通信のやつかな、本日の地方紙から写すか
手塚治虫「アドルフに告ぐ」にも抗議 「発達期のこどもに不適切」性表現や女性描写/教委「一時閉架後、扱い正式に議論」
(2013,08,22)
…手塚治虫が第二次世界大戦期の時代を舞台に描いた代表作の一つ「アドルフに告ぐ」について「内容は、こどもが読むには問題が多く、図書館の児童向けコーナーや各小中学校の図書室に置かれているのは不適切」との抗議を市民団体が…(一部略)……市教委に行い、同教委が、各校に全面開架の扱いを一時的に取りやめるよう指示していたことが分かった。…(略)… 同教委は「あくまで、正式な取り扱いを決めるまでの一時的な暫定措置。今後の方針は月末、教育委員の会合の際に議論してもらうつもり」としているが、識者からは「戦争や差別の問題を描いた作品。少しの問題があっても、こどもたちの理解力を信じるべきだ」との批判も出ている。
同教委と関係者によると、抗議を行ったのは「遊ゆうチャイルドこみゅにてぃ/人権と伝統の女性教育ネットワーク」。6年前に小中学校に通う同市を含む2市4町の保護者で発足し、現在会員は160人だという。抗議は7月末に、市教委に約1000人の署名を添えた文書を持参して行った。
文書によると同団体は作品に関し、処刑や拷問、性的暴行などの描写が過激な点を問題視。中でも、前半で性的な暴行が「裏切った女性への罰」であるかのような描写や、その暴行を受けた被害者が、加害者を愛するようになるかのような描写が特に問題であるとしている。
(中略)
今回の抗議について同団体事務局は「全体として作品は反戦やヒューマニズムを訴えている」ことを認めた上で「作品を抹殺するのではなく、読者の『ゾーニング(区分け)』が必要だとの立場」として、図書館での児童への貸し出しや閲覧には反対する方針だという。「他県の、ほかの作品に関する抗議活動と連動したり、影響などは受けていない」(同事務局)。また「他の手塚作品にも、女性の性的被害描写に関しての問題点は多い」としている。
(中略)
市教委は一時的な開架取りやめについて「抗議などを受けたまま、そのまま閲覧可能にしておくことにも問題があり、これまでも検討期間中の一時閉架は行ってきた。結論で開架続行となれば、すぐ元に戻す」と説明。同作品は「市立図書館の本館と分館に置かれている。複数の学校の図書室にはあると確認しているが、何校が所有しているかは把握していない」としている。教委幹部の一人は「作品は貸し出し回数でも上位となる人気作品で、正直困惑している。今後の措置は委員の議論を待ちたい」と話している。
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ふう、こういう文章をいま書いたわけだが(笑)。表題に(simulation)と入れて、はてブでも「事実ではないけどね」と当方言ってるんだし、文句は受け付けないわ(通信社も架空のもの。誤字っぽくしたけど(笑))。
さて、このシミュレーション、根も葉もないかっつうとそうじゃなくて…実は手塚治虫作品って、シミュレーションの文章にあるように「アドルフに告ぐ」だけじゃなく、恋愛描写という点では、やたらと一目ぼれが多いなど結構おざなりで…いや、一目ぼれぐらいならただの安直でOKなんだが…特に「暴力的な性交渉のあった加害者と被害者が、それをきっかけにして最終的には恋愛関係になる」という描き方が多いんだわー。
手塚ファンなら、即座に3つぐらい挙がるよね?
あれとかあれとかあれとか…全部、図書館に入ってるのを見たり、入ってもおかしくないような社会・教養的作品だ(個人的には全部「名作」と認定して差し支えない)。
この傾向が、ある手塚評論文で氏の作品の問題点として批判されるのを読んだのが、上のシミュレーション文のきっかけである…ただ、なにしろ手塚評論は山ほど出ていて山ほどこっちも読んでいるので、誰の文章か思い出せないのは申し訳ない。「手塚漫画、一目ぼれがやたら多いねー」というツッコミは夏目房之介氏の文章で読んだのだが。
さて、上のシミュレーション文章はもちろん「はだしのゲン」閉架騒動や、一部は「風立ちぬ」への海外などの批判に触発されて書いたものだ。これについては、あとでもうちょっと詳しく書いてみたいと思っています。今回、その文章を書こうか、このシミュレーションを書こうか考えたが、ま、ちょろっとネタに走った。
この記事の準備で知った「アドルフに告ぐ」の描写ミス・事実誤認など
こういう機会でも無いとウィキペディアの項目も読まないな。抜粋
・SD(一般SS)隊員は純粋アーリア系であることを家系の3代以上前まで遡って証明することが絶対条件の一つで、日系ハーフであるカウフマンが入隊することは原則不可能だった(親衛隊 (ナチス)#親衛隊員についてを参照)。そのことを意識してか、手塚は作中でカウフマンを「ヒトラーのお気に入りのため異例の抜擢をあずかった」と…
・カウフマンは北極回りのルートの潜水艦で日本に戻っているが、当時の技術水準では潜水艦が北極海の氷の下を突破して航海することは不可能である[4]。
・開戦前にホワイトハウスでフランクリン・D・ルーズベルトが直立しているが、実際のルーズベルトは小児マヒの後遺症で立つ事ができず車椅子を使用していた
・カミルが「エホバ」という単語を連呼するが、近現代のユダヤ教では神の名前を口にすることはタブーとされる(ヤハウェを参照)。・カウフマンがパレスチナ人女性と結婚しているが、非ムスリムの男性がムスリムの女性と結婚する場合は必ずイスラム教に改宗しなければならない。しかし、カウフマンがイスラム教に改宗していることを窺わせるような描写は無い。
・カミルがカウフマンの遺体に向かって「来世でまた会おう」と言う場面があるが、ユダヤ教では来世の考えは無い(ただし、日本育ちのカミルが仏教の思想に影響を受けたと考えることもできる)。