http://www.asahi.com/shimbun/award/tezuka/
【大賞】『ヒストリエ』(講談社)岩明均さん
【短編賞】ラズウェル細木さん 『酒のほそ道』(日本文芸社)など一連の作品に対して
「手塚治虫文化賞」ほど、賞の権威の移ろいやすさを示す賞はないと思う。最初にできたとき、こりゃーこの賞が間違いなく最高権威になるな、という期待感はすごかった。それ以前の賞である文春漫画賞は、いわゆる新聞とかの一こま、四コマ漫画みたいなニュアンスのものが対象だ、と自分たちで決めたからね。というかカテエ審査員たちが自分でそう規定し、時代遅れであることをよしとしていた。
それを打破する、マンガ文化を構築するものして、この賞が立ちあがったのだ。
しかし、「このマンガがすごい!」だとか「本屋さんがえらぶマンガ大賞」だとか「文化庁メディア賞」だとかが出てくると、まぁやっぱり見劣りがするんだわな。それは胴元が新聞社だと、やっぱり良識や常識がブレーキになっているのかもしれない。なってないのかもしれない。
その詮索はおくとしても、賞が大インパクトを残す、というものじゃないことはたしかだ。
んでヒストリエの賞ですね。
はい順当です。おめでとうございます。・・・それ以外はなぁ。
でも「シュトヘル」は意外っちゃ意外
【新生賞】伊藤悠さん 『シュトヘル』(小学館)で西夏文字をめぐる戦いという意欲的な題材に挑み、壮大な世界を創り上げたことに対して
自分は実は、途中で読むのをやめてしまった。実は連載誌でけっこう面白い場面があり、じゃあ単行本から読んでみよう・・・と思ったら、ただの西夏の国や時代の話じゃなく、「現代日本の高校生の魂が生まれ変わる」みたいな、何度目だよ、やすっぽいなああああああな趣向があったんで、一気にひいたというか、さめたというか。
でもここでは、その転生の話は書いてないよな。エピソードの中でトーンダウンさせていったのか?なら嬉しい話だし、再度読んでみたくもある
http://www.asahi.com/shimbun/award/tezuka/12b.html
少年と女戦士 「文字」守る旅
13世紀の中央アジア。チンギス・ハーンとおぼしき「大ハン」率いるモンゴル族が版図を拡大している。大ハンがタングート族の国「西夏」の書物を焼き尽くすことに執念を燃やすなか、大ハンに恭順する部族の少年ユルールは西夏文字に魅了され、その文字盤を守ろうと身内に背く。共に行動するのは、少年の兄に仲間を殺された復讐に燃え、「シュトヘル」(悪霊)と恐れられる西夏の女戦士だ。シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 作者: 伊藤悠
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/03/30
- メディア: コミック
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異国情緒あふれる軍装の兵士たちによる壮絶な戦闘シーンをたたみかけるように描きながら、人間にとっての「文字」の意味を問いかける。文字を持たない草原の民のユルールに、「文字は、人を憶えておくために生まれた」と語らせて。
(後略)
さっき書いた「連載誌で読んで面白かった場面」・・・いや面白かったじゃないな。感動した場面が・・・なんどか引用したことがあるが、これ
自分は、文字だけでなく「知識、歴史、思いを記録し、伝えていく」 こと自体をひとつのジャンルとして好んでいる。
仮に「文化伝達もの」とジャンルを仮称しておく。
時間がないので、これについては明日付けのエントリで論じようと思う。
伊藤悠は原作者との軋轢にくるしんだ苦労人、とも聞く
原作があった前作「皇国の守護者」で絵の巧みさは知られていたが、今作は初めてのオリジナルの長期連載だ。「始める時はすごく怖かったけど、描きながら考えたことがエピソードになる楽しさを感じてます」
たしかに「新生」だ。
で、このブログでかなーりあとに「皇国の守護者(マンガだけ)読んだ。おもしろかった。続編は漫画化されないのか?」と書いたら、コメント欄でそのゴシップを教えてもらって・・・どこかにあるかな。
ああ、ここの「2008年漫画ベスト」のコメント欄だ。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081231/p4
- 作者: 伊藤悠,佐藤大輔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/03/18
- メディア: コミック
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うーん、文化伝達ものを論じるエントリも書きたいが、皇国の守護者漫画版の長文書評もあらためて書きたし・・・