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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

新生リビアでシャリーアが規範に

http://www.afpbb.com/article/politics/2837417/7985383

国民評議会のムスタファ・アブドルジャリル(Mustafa Abdel Jalil)議長は23日、東部ベンガジ(Benghazi)で行ったリビア解放を宣言した中で、シャリアが法律の基本になると言明した。「シャリアに反する法律は全て無効だ」と語った。また、違法となる法律の一例として、42年続いたカダフィ体制下でイスラム教では認められている一夫多妻を禁じる法律をあげた。(略)
 同じ演説でアブドルジャリル氏は、シャリアと並行してリビアイスラム金融を導入すると発表した。イスラム金融では、金利を得ることを反道徳的とみなして禁じている。

まあねえ。
神と預言者が定めたもうた聖なる律法シャリーアのいいところ?は、すべての法律が求められる「このXXXはこういう趣旨で、こういう効果をもたらすから施行しなければいけないのです」という説明が一切不要だということだ。「これはシャリーアである。以上、証明終了」でおK(笑)。日本の御成敗式目では、今はこうはいかない(笑)。
まあ実際、法律というのは皆がその権威を認めるとき効果が絶大になるから、暫定的なものとしての施行はありえると思うが…。

ただ部外者から見ると、やはり懸念というか心配な点もある。
むかし子どものころ、イスラムに興味をもって解説書を見ると、やはり日本流というかリベラル?というのか
「妻が四人というのは、当時戦争で未亡人が多かったので、彼女たちを保護扶養するために必要だったのです」
「酒を飲むと暑い中東では脱水症状になります。だから禁じたのです」
「豚は寄生虫が多いこと、草ではなく人間と同じものを食べるので競合すること、足が遅く遊牧に適さないことなどを理由に禁じ・・・」

なんて説明があり、小さいころはそれで「なるほど!」と納得した。というか実際にそうだろう。しかし、よく考えるとこれはある意味非常に冒涜的な話なわけです。「男は、妻を4人まで持てる」というのは、さかしらな異教徒・不信心者がいうような当時の状況がどうだこうだの話ではない。神がそうさだめもうた絶対不変の真理なのである(はず)、酒や豚肉だって20世紀には冷房が普及すること、衛生管理も向上することをアッラーはお見通しなのである。その上で禁止したのであって、たかが一時期の気候や衛生に理由があってたまるものか…という議論には基本的に抵抗できないでしょう。
これはキリスト教だって神道だって仏教だって基本そうですよ。
以前、こういうのを紹介した。
■18世紀、イギリス議会政治を見学したムスリムの感想
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110814/p5

かつて18世紀末にロンドンを訪れたイスラム教徒は、こういう感想を持ったという。

英国下院に関する現存する最初のムスリムの記述において、その筆者はムスリムとは違う境遇の人々をみて驚きを表明している。
すなわち、イギリス人は神の啓示した法をもっていないので、自分たちで法律を制定しなければならないというその場しのぎの哀れな措置をとるまでに堕落している、というのである。

いや、論理的帰結として、敬虔なムスリムが突き詰めればこういう感想を持つことは、ある意味自然なんだ。尊重すべきことなんだ。それが異文化尊重というものなんだ。
だからややこしいんだ。
 
革命なったチュニジア、エジプトでも、どうも選挙ではイスラム政党が勝利しそうだという。自由公正選挙である場合、そうなりえるだろう。