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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

細野不二彦「電波の城」と落合尚之「罪と罰」をまとめて紹介。テーマは「報道の裏をかく」

昨日、時間の都合でかけなかった「今の『電波の城』」が息もつかせぬ展開だ」という話を書きます。
その前に、同作品の新展開の流れを自分の過去の文章からまとめて紹介しますね。再読すると我ながら(というか細野氏の手腕だけど)面白いわー。

電波の城」(細野不二彦ビッグコミックスピリッツ)ニュースキャスターの怪物性がおもしろい

筑紫哲也森本毅郎などをデフォルメしたような、主人公と競演するキャスターは「中身はまったく無く下品なのに、テレビの前では知的にダンディに振る舞える俗物」…というだけの造形と思いきや、作者は「テレビはハプニングを前にした人物たちのドキュメンタリー。それを撮るために、こっそり登場人物に”仕掛ける”」という、変わった解釈による人物像と、”武器”…というか身内を攻撃する”動機”を彼に与えた。
これは完全に漫画を読む側の当方の予想を上回った。主人公の過去も断片的に知ってるらしいし、これは面白くなりそう。
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細野不二彦電波の城」って尖閣諸島問題をネタにするんじゃないだろうか?

先週、あの俗物ながらも「俗物としての怪物性」を持つニュースキャスターが「石垣島」とか「世間がアッとおどろく」みたいな言い方で匂わせていたので、想像するに小型飛行機かヘリをチャーターして尖閣諸島に上陸するってストーリーなんじゃないかと。(略)
なんでいま書いたかというと、twitterみのもんたの話題がTLに出ていたので、「俗物キャスター」の話を思い出したからだ(笑)。
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電波の城」やはり尖閣諸島問題出てきたね。

まずこの前、「次のテーマは尖閣諸島問題とちゃうやろか?」と疑問形で書いた細野不二彦電波の城」、やっぱりそうでしたね。で、キャスターたちは海上保安庁に拘束されてしまう。メインキャスター不在で番組を進めることになった主人公たちだが、拘束されたというキャスターは「テレビはハプニングを映すドキュメンタリー!」が持論で、これも半ば意図的ではないかという疑惑が…そして、ゲストの野球監督も実は生放送の場面で、とあるガチンコを仕掛けるという可能性も示唆されて…
と、相変わらず職人芸で次週にひっぱりますなー。

と、こういう展開になっていきます。
そして今週号!!
メインキャスターが尖閣諸島に上陸しようとして拘束、という事態に、他局がここぞとばかり攻撃、皮肉を浴びせる中、努めて平静に番組を進めようとする主人公(いま、番組のサブキャスターを務めている)たち。
ゲストの優勝監督インタビュー(落合監督がモデルという感じ)も予定通り行われているが、拘束中のメインキャスターは主人公に「監督は、番組に一緒に出演するウチの局の取材記者にお怒りだ。なにかぶちまけるらしいよ」とほのめかす。彼は「テレビ番組はハプニングこそ命!」が持論で、わざとハプニングを仕込むのが大好きなのだ。
案の定、監督は「いまは優勝したからおれを持ち上げているけど、春の世界大会に選手を出さないって言ったときには総叩きだったよな?」とネチネチと皮肉をいう。
それだけならまだよかったのだが…
「記者さんあんた、うちのキャッチャー抱き込んで盗聴してたろ?」
「俺の子供に高価なオモチャ買い与えて、俺の日程をリークさせてたな?」と証拠のオモチャも持参して暴露!!
(これは日本テレビがかつて、石川遼君と一緒にラウンドするゴルファーにマイクを隠し持つよう依頼したのがモデルでしょうか?)
とりあえず場を収めようとする主人公だが、監督は「メインキャスターから、徹底的にやってくれ!って言われてるんだよ」と自信満々。
やはり彼が仕込んだハプニングだったのだ!
同席した取材記者は顔面蒼白…
さて、この大ハプニングをどう主人公は乗り切るか??
 
という展開です。
どーです、おもしろいでしょ??次の主人公(作者)の一手も、少なくとも自分はまったく想像が付かない。
しかし、それにしては「電波の城」のはてなキーワードを見る限り盛り上がってなくて残念。もっと話題になっていいと思う。

ほんとにあったら面白い。生中継を利用し相手を「刺しに行く」被インタビュー者

舞台が生中継であることをいいことに、もともと馴れ合い・予定調和に進む前提だったインタビューで突然爆弾(それもインタビュー相手を攻撃するようなもの)を炸裂させる。
ありそうにも思えるが、そうはない。というか自分は見た事が無い。(険悪なインタビューもあるが、それは最初から予想される場合が殆ど)。こういうことが現実にあったらどうなるだろうね。
 

本格的「細野不二彦論」の必要性

昨日のコメント欄より。

id:otokinoki 2011/02/22 08:55
電波の城は面白いですよね〜。「オウム」ネタはちょっと古いかなと初期は思っていましたが、TV利権の背後に、政治やヤクザ、個々のタレントの虚栄心とか描き始めたもんだから、本当にすごい作品になりつつある感じ。
(略)
初期作の「どっきりドクター」等をみるに、SF好きで小賢しい感じの青年だったんだろうけど、ゆうきまさみとはまったく違う方向で、オトナを描き始めてるよなー。

相変わらず、子供っぽさを引きずっている、ゆうきまさみ的な方向にいかなかったのはとっても不思議。年齢差もあるんだろうけど。

まったく同感ではあるが、id:otokinokiさんはそのへんをもっと詳しくブログで描いて頂きたい。ブログ界隈を見渡しても氏以上に、細野不二彦論を描くに適した人はなかなかいねーもん。
 
 

落合尚之罪と罰」が次号で最終回。その一つ前で「ネット生中継」が重要パーツに。「権力の妨害を避けて情報を広める」方法として。

アクションで異彩を放っていた、ドストエフスキーの古典を翻案した漫画「罪と罰」が次号で最終回を迎える。
この作品や、イブニングのアルセーヌ・ルパン漫画や股旅物漫画(小林まこと)を含めて「古典作品の翻案・漫画化」についてひとくさり論じたいところだが、それは後日に。
 
この作品では、翻案した際のアイデアとして「組織的な少女売買春(援助交際)」が登場し、それに権力者も関わっていたため、とある冤罪被害者が発生、主人公は罪を免れてきた…という設定。
だもので、真実を公表したくてもできないというシチュエーションだ。
しかし最終回一つ前のお話で、これを打ち破るツールとして「ネット生放送番組」が登場する。

・真相を暴くに足る証拠はある。証言者もいる。
・だが、最初に「あの殺人事件の真相」などと告知すると権力や暴力が潰しにかかる。
・そこで「何かが起こる!」といったあいまいな表現で告知する。
・最初にそれで興味を持って視聴する人は少数だが、見ていくうちに重要性が伝わる。
・「みなさん、どんどん広めてください!」と番組中で煽る。加速度的に視聴者は増える。
・翌日はまがりなりにも公のメディアでも記事になる。さらに広まる。

実際の「sengoku38」の海保映像流出の経緯を見ても、相当にリアリティは感じた。こういう形でこれから暴露や告発がなされることも、実際に遠くない将来にはあると思う。