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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

文化人としての西原理恵子と、サイバラ的政治思想について(毎日新聞)

サイバラ先生が「毎日かあさん」のヒット以降、文化人としてどう扱われていくか。実に大きなテーマとして、気になっている状況です。勧進元毎日新聞が、文化人サイバラを確立する気満々で、8月25日には新聞の1面まるごとを使い、勝間和代林真理子と鼎談ですよ。どういう面子だ。
http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee271034.flv

てな予告編動画があるんだが、残念ながらテキストは毎日JP.ネットには掲載されなかった(追記参照)。


んで勝間・林ってかたがたには私は興味関心ゼロ(勝間っていつのまにか有名になっているらしいが、どーーーーーーでもいいわ)なので、サイバラのみ語りたい。

実は非常に難しいところにあって、かつてロックンロールでツッパリだぜ、的な「横浜銀蝿」が人気になっていくと「実は真面目」だとか「考え方がしっかりしている」というところがクローズアップされて(本当にそうかはともかく、そういう売り方がされた)、政治とかの話もふられて答えたり、選挙に行こう!とかクスリはダメ!とか、そういう正論キャンペーンにも担ぎ出されて、果ては革ジャンリーゼントのまま首相の園遊会に招待され、それが本来支持していた層からは失望や困惑、冷笑を浴びる・・・というようなことがあったような記憶がある。

サイバラに社会問題、政治問題をふるというのは同様のリスクというのがあるだろう、と思うのだが・・・これまでもサイバラの人脈にはそうそうたる作家や評論家、学者などインテリゲンチャもいる。そこでの対話の中に、実は隠れインテリのサイバラが、見えそで見えないような政治思想を示した例は以前からもあった。同時に素朴で凡庸な「庶民の声」的なもので(敢えて?)お茶を濁すという例も確実に存在する。
逆に、両方あることが面白い。

これはいかにも「なんかテキトーに政治にもの申してみました」な感じ。


マイクを適当にふられたら、”庶民”としてはこんなこと言っときゃ間違いない、みたいな。でも、サイバライズムの片鱗もちゃんと感じる。後述。

教育には一家言あり。


何かの文章だったなあ。「サイバラさんは教育と、○○の話はマジトークになる」と言ってた(○○はヤバい意味ではなく、当方が思い出せないのです)。なにしろ皆さんご存知ですが彼女は高校を強制退学となり、それを納得できないとして裁判闘争を戦った(結果は敗北。この闘争で協力してくれたのが今の社民党議員で当時は教育ジャーナリストの保坂展人)。今は子供の教育のこともよく漫画に描いているね。

二つの話題について

■公立校と私立校
まず、左上のほうだけど、実はここで「公務員の子は公立教育を受けさせろ」という話をしてるよね。
私は「公立学校と私立学校」の問題ってぜんぜん実感なくて、行きたいやつが適当に公立でも私立でもいきゃいいんじゃないの?ぐらいしか思ってないのだけど、切実な人は切実なんだよな、これ。
で、サイバラは公務員のことをこう書いてるし、たしか実の子は2人とも公立学校だったはずだけど、たしか「ユリイカ」では、私立学校に子供を通わせることを肯定していたんだ。
そのときサイバラとのキャラクターイメージとのギャップを感じて驚いて、「これエントリーにしようかな?そのために『ユリイカ』買おうかな?」と思ったぐらいなので覚えている。結局ユリイカは買い逃して原文が手元にないから、ある人は調べていただきたい。
確か内容がまたサイバラ流極論で
大阪で子供をヤクザにさせたくないと思ったら、私立校に入れるしかない状況だ
みたいな。私は大阪の状況に疎いので、「そうなんですか」と説明を丸呑みしましたけどね(笑)


西原理恵子は結局、「自覚せざる半リバタリアン」?

右下の話や、最初の「政治家がだれでも一緒ですよ。国民が真面目だから」というのは、すっげー大雑把に分類すると西原はリバタリアンなんだろうな、という気がする。
あんまりにひねりのない結論で申し訳ないが。(でも、たぶん教育では国家がもっとがんばれ、サービスが足りないぞ的な考え方なんだろう。素朴だからこそ、完全な論理的整合性は思想家のようには持っていない。もしくは「夜警+教育国家」的な、それはそれで面白い思想の萌芽があるのかも)


下の「ショバ代」話にも通じるのだが、西原がそのショバ代・・・じゃなかった税金をあれして、「税務署がきたぁぁ!」というのをそのまま漫画のネタにした伝説の一編があるのだが、そこの一節に、もうほれぼれするようなリバタリアニズムがある。
将来日本にリバタリアンの政党とかテロ組織ができたら、そのマニフェストもしくは犯行声明の表紙に使っていただきたいコマである。



できるかなV3 (角川文庫)

できるかなV3 (角川文庫)

文庫になっているのか。

外国人地方参政権について「ショバ代払ってる人はモノ言えて当然」と賛成。

たぶん、これが一番ネット上では議論を呼ぶだろうな、と思いつつUP。2分後にレスを頂いた(コメント欄参照)。
そのツッコミもごもっともで、SPA!と毎日新聞を両方読んでいた人はみなツッコんだと思う(笑)。


ただ、その話とは別に「ほう、サイバラは賛成なのか」っつうところから思った。
西原は別に外国人の人権を尊重し差別と戦ってるか、というとそうではぜんぜんなく、私の把握しているだけでもまだマイナー誌に連載していたころのギャグネタをずらずら並べていったら、即座に毎日新聞の連載を中止に追い込めそうなほど(笑)、民族のステロタイプ化や暴言、差別ギャグをいろいろ書いている。

ただし、それがギャグか本音かは別にして、こちらが無理やり本質を抽出すると「(お互いに)差別・偏見やDisり合いは普通にする。だけど『隣にいる』こと自体に抵抗はない」という感じのスタイルを外国人や異文化、あるいは貧困など一種の「階級差」に対しても、西原は持っている・・・・という気がする。
これは直感的な仮説で、いろいろ違っているかもしれませんが。


まあ、そんなところを軸にしつつ「文化人西原りえぞお」は育っていっている、という気がします。

追記

見落としか後からのUPか、記事のネットテキストありました

id:JTCY 『勝間・西原・林の鼎談は、これではありませんか?
http://mainichi.jp/select/seiji/09shuinsen/news/20090825ddm010010145000c.html』(2009/08/31 23:00)

ブクマが現在、分離中。ここから行ける
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/gryphon/20090829%23p2