INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

TBS・金平茂紀氏がイラン情勢(の米国報道)語る

http://www.the-journal.jp/contents/ny_kanehira/2009/06/post_13.html
が最近UPされた。
イランの選挙をめぐる問題を、アメリカメディアはかなり時間をさいて追っている、ということを伝えたもの。
参考となる情報がある。

街頭デモに参加して、治安部隊に狙撃されて死亡したイランの若き女性、Nedaが路上で死んでいく映像の生々しさを前にして、既成メディアのジャーナリストたちは言葉を失うばかりだった。(ちなみに、CNNなどは、その映像を警告つきで何度も放映していたが、映像はきわめてショッキングな内容なので、十分に熟慮した上でこの映像にアクセスするかどうかを自己判断していただきたい。Neda とYouTube というキーワードで検索可能。)

その他では、
以前、同氏はネットの報道や市民メディアには疑念をもっていたが、今回の事件報道に関してはその力を認めざるを得ない、とのこと。
以前わたしが
金平茂紀ダン・ラザーに殉死す(笑)・・・論座より
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050321#p2

を書いたときとは様がわり(※上リンクで私がツッコんだ文章は、今、同氏の新書「テレビニュースは終わらない」で読める)だが、あの当時はネットが「敵」を応援してたから彼にとっても「敵」、いまはオバマ勝利の風潮を後押ししたのもネットで、だいぶ好意的になったという、分かりやすい分析で通用するだろう(笑)。
イランの報道統制下のデモが伝わるのも、
ラザーゲートでダン・ラザーが失脚したのも、
http://erict.blog5.fc2.com/blog-entry-171.html
http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200511262320.html
のような故筑紫哲也番組への検証も、彼は同一ベクトルで見ることができるか否か。


まあそれはともかく、既にビデオが普及していた1989年の天安門事件と比べても、

今という時代は、何が起きたのかを人々が共有する手段が画期的に増大した。この変化は不可逆的であり、誰もそれを止めることはできない。

というのは、まったく正しい状況認識。通信や報道手段が増えたり、手軽になることが社会自体を変えていく・・・というのは、衛星放送受信アンテナの小型化を冷戦終結の予言に結びつけたレーガン演説に通じるものがある。(金平氏レーガンを並立させるのは、氏はうれしくないだろうが(笑))


ただ、最後の一文

じゃあ、日本はどうなんだ?
 
 イランから送られてきた市民ジャーナリストによる映像で、治安部隊が催涙ガスを使うので、多くの市民たちが涙を流しながら、何人かのデモ参加者たちがマスクをして必死に口元を押さえていた。テヘランでマスクをしているこれらの人々と、日本という国で(全く別の理由から)マスクをしているあれらの人々を併置したときの、この胃液が逆流するような感情を、僕らはどのような想像力をもってどのように表現すればよいのだろうか。

は、正直ぽかーん。
顔文字で書くと( ゜д゜)ポカーン。


面倒くさがって、あのシーズンにほとんどマスクをしなかった国内の一人としていうが、日本で新型のインフルエンザ感染リスクを、そして他人に感染させるリスクを少しでも減らすため、マスクをしたのは何ら間違いでもなんでもない。


テヘランのマスクと
日本のマスクを
併置したら、


個人的には「まったく理由も意味も別物なので、併置する必要性がぜんぜんないなあ」と感じちゃいましたが、この感覚、よろしくないでしょうか。

もっと端的に言うと「胃液が逆流するというより、(この記事を読んで)へそで茶が沸いた」です(笑)


というか、まじめに言うと最後のひと段落は「世界では若いものが立ち上がっているのに、日本のおろかな大衆が太平楽なのはケシカラン!」的なたいへん紋切り型の定型文で、せっかくテーマ自体は興味深いのにぶち壊しだなあと。
おまけに、それでWHOが警告する、広範囲に広まった新型感染症の予防祖措置を取っている一般の人々を貶めるのはいかがなものか


「イランでマスクしている人と日本でマスクをしている人を比べると胃液が逆流する思いだ」
なんてのは、政治家が言ったらふつうに失言扱いのような気がするが。