もう旬を過ぎているかもしれんが、性犯罪を模したゲームに関連する話として
- 作者: 呉智英
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1996/07
- メディア: 文庫
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まず前提として、何が問題であったかについて紹介すると、
http://www003.upp.so-net.ne.jp/mugi/seminar.kojin10.html
1989年、三楽(現メルシャン)のバーボンウィスキー「ローリングK」のテレビCM中止と広告ポスターの撤去を同会が要請した。この広告・CMは、馬に乗った数人の男性カウボーイが、1人の女性を取り囲んで、地面においた板の上に横たわった女性に大量の泥をかけるというもので、ポスターは下記のものである。この広告が「レイプされた女性を連想させる」として抗議した
これに関連して、呉智英が書いたコラム。(「サルの正義」文庫版73-76P)
(前略)…洋酒会社の広告に強姦を思わせるシーンがあるからケシカラン、という批判はあってよおい。しかし、洋酒会社が強姦魔を広告に使うことは今に始まったことではない。
スコッチ・ウイスキーの老舗中の老舗にオールド・パーがある。社名の由来として同社の広告でも大きく紹介されているのがオールド・パーことトーマス・パーである。1483年に生まれ、152歳という驚異的長寿を全うして1635年に没した。しかも、老いてなお身体強健精力絶倫で、100歳を超えて結婚し、子まで生した。国王は彼に爵位を与え、没後はウエストミンスター寺院に葬られた。めでたずくめのようだが、本当にそうか。パーには、同社の広告では意図的にだろうか、伏せられている罪歴がある。パーには、なんと102歳の時に強姦罪で逮捕され、18年を監獄で暮らしたのだ。結婚したのは、こんな高齢で強姦をした精力絶倫を国王が祝福し、恩赦で釈放されたからである。強姦を祝福する王も王だが、それはさておく。今問題にしたいのは、稀代の強姦魔を広告に使う洋酒会社の差別的姿勢がなぜ許されているかだ。
日本の洋酒会社の広告は強姦を思わせただけで糾弾され、イギリスの洋酒会社は広告にも社名にも疑う余地の無い強姦魔を堂々と使っていても許される。こんなデタラメを、フェミニズムの運動家たちよ、君たちは見逃していて恥ずかしくないのか。
(後略)
文庫の元となる単行本は1993年刊行。その後、この商品への批判運動があったか無かったかまでは調べていない。
この本は呉智英の本の中でも、分かりやすいトピックを基とした短文で構成されていて、入門編としてもすぐれている。
ちなみに、オールド・パーのお味だが、飲んだことが無いのでわからない(笑)
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