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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「オバマ失言」のスクープはニュースサイトの市民記者から(東京新聞)

何日だったかな?今から数日前の東京新聞
米国大統領選挙でこの前、ペンシルバニア予備選挙でヒラリー勝利の一因となったのが「ペンシルバニアの田舎町の人々が失業に苦しみ、社会に恨みを持ち、銃や宗教におぼれている」というオバマの失言。
これをスクープしたのは、ニュースサイト「ハフィントンポスト」が募集した市民記者だったと言う。
http://www.huffingtonpost.com/mayhill-fowler/obama-no-surprise-that-ha_b_96188.html

記者募集企画には1800人が登録しているので、大統領選挙のキャンペーンをフォローし、またそこから「失言」を引き出すのは数の力が一番だということは当たり前の理屈だ。

「支持者兼ジャーナリスト」

面白い点を二つ紹介しておくと、この失言をスクープしたメイヒル・ファウラーさんは61歳の主婦で、しかも熱心なオバマ支持者だったのである。当初はオバマ陣営に不利になる事態を恐れ、失言報道を数日ためらっていたが、「記者としては書くべきだ」と決断したという。

人間はあの忌まわしい「アイヒマン実験」(ミルグラム実験)というものがある。ただ、自身の支持候補の不利をも覚悟し乗り越えるのも、結局「職への義務感」なのだから双子の兄弟かも知れぬ。
アイヒマン実験(俗称)とは↓)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%92%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%AE%9F%E9%A8%93


非公開・オフレコを巡る古くて新しい問題

もうひとつ。
この失言は記者には非公開の集会でのものだが、メイヒルさんは関係者のツテを辿り”潜入”し、このスクープを得た。

つまり「ここは非公開です」と主催者、施設管理者が定めた約束を破ってこそ、この世界的スクープが得られたのだ。

もちろん、この言い方は映画「靖国」のことを視野に入れているし、映画作成とニュース報道の差異も当然分かった上で言っている(もしこの映画が「報道」と同様の範疇で保護を求めるなら、また違った問題が出てくる)。
ただ、参考としてな。

東京新聞は記事の囲い込み戦略をとっているのでネットでは読めない。関連単語で検索したら、市民記者のお仲間である「オーマイニュース」…おお懐かしい名前だ、久しく見てないな。ここに記事があったよ

■市民記者がきっかけだった「ビターゲート事件」
ペンシルバニア討論会は、「史上最低」
http://ohmynews.co.jp/news/20080420/23699

おっ、こちらはその取材形式に関する批判もくわしく載せていて、東京新聞より詳しく深い。

サンフランシスコ・クロニクルのジョー・ガロフォリ記者は自分のブログで指摘する。(参照:同記者のブログ)

 「報道陣禁止」であっても、「ブロガー禁止」と書いてあるわけではなく、誰もがカメラつき携帯電話や小型録音機を持つ時代に、情報の流出は止められない。しかし、「伝統的な報道記者であれば日々直面する倫理問題に、政治ブロガーたちは直面していない」

 「2300ドルの献金をし、1000ドル払ってパーティーに行くなど、資金と人手が限られ、他にもニュースをカバーしなければならない大手メディアには出来ない。候補者への献金は倫理違反。ファウラーは、献金者とジャーナリストの間の線を超えることに良心の呵責を感じなかった」

 「オバマ選対はファウラーをオバマに同情的なブロガー/活動家の献金者だと見ていただろう。もしファウラーが、報道陣禁止の場所にジャーナリストとして入るのであれば『取材証』を身につけるべきだったのではないか」

もちろんこれも、映画「靖国」への批判との共通点、差異がそれぞれ存在する。