http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/28/news108.html
政府の拉致問題対策本部は3月28日、横田めぐみさんの拉致事件と、家族の活動を描いたアニメ「めぐみ」のストリーミング配信を、「政府インターネットテレビ」で始めた。アニメはコピーフリーのWMV形式でダウンロードすることができるほか、コピーフリーのDVDも制作し、全国の地方自治体などに無料で配布する。英語・中国語・韓国語版も用意した。
拉致事件を描いた漫画「めぐみ」(双葉社刊)を25分間のアニメにまとめた。めぐみさんが拉致される前の横田家の様子や、救出活動に奮闘する家族の様子を描いている。アニメを活用することで子どもや若者にも訴えかけるのが狙い。制作費は2000万円弱。
いいアイデアだな。考えたのは麻生太郎か?と一瞬思ってしまうが。
今回は珍しく、政府の政策に文句が無いし予算支出もOKという感じだ。
もちろん「政府のプロパガンダ」としての漫画やアニメ使用に、その方向性に関係なく嫌悪感を抱く人はいるだろう。しかし、それはやはり原理主義というべきで、広報=プロパガンダがひとつのパワーなら、その広報が「よきプロパガンダ」であることを民主的にコントロールするしかない。
そもそも、原作の漫画版「めぐみ」はそれ自体で評価に値する作品だ。
(いたずらに反対者を悪魔化することもなく、批判的に描かれた人も基本的に横田夫妻が「私が実際に見た聞いた、体験した」というものがベースだから仕方ない話。)
漫画版がひとつの商業作品としてコミック化された時、紹介文を書いた。
一部再録する。原文はhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050422#p2
■そこにありえたかもしれない未来・・・漫画「奪還」「めぐみ」
(前半略)
…一番、個人的に涙を流したシーンがある。
横田夫妻はめぐみさん拉致直後、公開捜査のために警察に写真を提供する。
皆さんも見たことがあるであろう、学生服の写真は、実はちょっと病気で寝込んで入学式を欠席しためぐみさんが、「桜のあるうちに」と両親に促され、校庭を訪れて最初に学生服で撮った写真だった。
だが、カメラは玄人はだしの横田さん撮影でも、めぐみさん自身は「病みあがりでヘんな顔になっちゃった」とこの写真にたいへん不満だったという。
普通の家庭ならまた、いい時に撮り直せばいいのだろうが、その機会は永久に巡ってこなかった・・・・(いや、永久などというのはよそう。少なくとも家族写真は、再び撮影するチャンスがあるはずだ。彼女を取り戻せば)。
そして、警察に写真を出すとき、お母さんは
「めぐみちゃんはその写真を嫌がってたのに、もっとかわいい写真があるのに」
と言い、お父さんは
「めぐみは消えたとき学生服だった、学生服の写真なら手がかりが増える」
と、この写真を出す。
形は違う。だが、愛情の大きさは同じだ。
「アニメを作りました。自由にダウンロードどうぞ」の宣伝効果は?
私が気になるのは中国語版や英語版、韓国語版ですね。
ひとつはやはり「日本のアニメーションなら面白いだろう」というステータスがあるわけで、そこでの食いつきがいいだろうと。
そしてそれは、ひとつの政治的メッセージ(超政治的な人道メッセージでもあるが)がこめられているとき、どう受け止められるか。
当たり前だが、海外ではそもそも予備知識が無い人が多いわけだ。
どう受容されるか。
あと、政府が「アニメ制作」「創ったコンテンツをコピー自由に」というのに宣伝効果を認めた、ということの、ことに後者は何気に画期的だと思います。
どちらも前例が無いではないのだが、それに』今回は題材的にニュース価値がある。
ちょっと不謹慎話だが、
もしこれに大きな効力があり、世界各国が、プラスさまざまな市民団体や政治集団が真似したら面白い(笑)。アニメーターの待遇向上になるかも(逆効果か?)
ときに今回ディスられた(という用法でいいのか?)「人類史上最大の舞台監督」であらせられる某国国防委員長がだまっちゃいない。
今頃号令をかけて反論アニメーションを製作中、であろう。