ところで修斗関係者が過去を振り返る記事が各誌で目立つ
それは修斗が節目の年だから当然なのだが、その記事をあれこれ読んで情報を蓄積していると「なんで佐山聡が修斗の運営から離れたのか?」の謎が見えてくるような、来ないような。UWF崩壊の謎はだいぶ証言が体系化され、検討が進んでいるが謎の大きさでは勝るとも劣らないこの事件については未知の部分も多い。
こういう謎を解くひとつの手法として、こんなのがある。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20080224ddm015070143000c.html
今週の本棚:池内紀・評 『ヒトラーとは何者だったのか?』=阿部良男・著
◇池内紀(おさむ)・評(学研M文庫・1365円)
◇選び抜かれた引用のみごとな集成
アドルフ・ヒトラーは二十世紀が生み出した「妖怪」だった。おそろしく謎にみちた人物である。当然のことながらヒトラーをめぐり、また「第三帝国」と称したナチス・ドイツをめぐって無数の本が書かれてきた。
ここでは「厳選220冊から読み解く」とうたってある。一冊ごとに三頁(ページ)をあててエッセンスが紹介してある。ヒトラー早わかり。手っとりばやくナチス・ドイツを知るための「あんちょこ」−−。
いや、ちがう。そうではない。まるきりちがうのだ。この「厳選」には特別の意味がある。220冊は背後に十倍、二十倍もの膨大な書棚を控えてのこと。三頁の要約があざやかに元の本を代理している。本文七百頁は、選び抜かれた220冊分とひとしくズシリと重い。
著者の阿部良男氏は研究者でも歴史家でもない。神戸在住の一人の銀行員であって、定年まで実直に勤め、現在は閑職に身を置いている。軽い脳梗塞(こうそく)から回復したばかり。
銀行勤めのかたわら、自分の興味の赴くままにヒトラー関連の文献を集めてきた。定年まぎわに『ヒトラーを読む3000冊』を刊行。そののち『ヒトラー全記録 20645日の軌跡』(二〇〇一年)を著した。
とりわけ『全記録』は瞠目(どうもく)すべき本である。ヒトラーの誕生から死までを、クロニクル(年代記)のスタイルで歴史的事項の注釈を組み合わせながらたどっていった。研究者でも歴史家でもないからこそできた大仕事であって、いかなる学説にもイデオロギーにも惑わされることなく、公平無私な目で歴史が再現された。そこからナチス・ドイツが呪うべき合理性のもとに成立したことが、ありありと見えてくる。
その上での「厳選」なのだ。エッセンスのまとめ方、選びとられた引用がみごとである。
「ヒトラーは臆病(おくびょう)で総統などという柄じゃない」(ハリー・ケスラー『ワイマル日記』)
ケスラーは当代きっての知識人であって、その日記は両大戦間の貴重な証言である
(後半部略))
証言記事を膨大に集め、時系列に編纂する。
UWF分裂劇も、PRIDE買収・崩壊・復活劇もこういうふうにやっていくとさらに分かりやすいのだろうが、kamipro変態座談会などの関係者らがやってみないかな。実際にやると膨大な手間隙がかかるだろうが、言うのは只なのでアイデアだけぶちまけておく。