他人事というか、自分にはまったく直接のかかわりはない話なのだが、「港」や「空港」の国際的な競争力というテーマは以前から気になっている。
たぶん、港や空港に各国からたくさん来れば、寝てても自動的に、めぐりめぐって国全体に金ががばがば入ってくるけんのお、というイメージがあるんだよね。
それは極端にしても、いい港がありいい空港があり「ハブ」になれば、結果的に国の経済力になる･････という単純なイメージは、それ自体では間違いじゃないようだ。
そこで政府も「アジアゲートウェイ構想」を打ち出した、という。
そこで毎日新聞の名物企画「記者の目」で今回取り上げられた。
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kishanome/news/20070622ddm004070022000c.html
者の目：「欧州ゲートウェイ」、日本が学ぶこと＝玉置和宏（特別顧問）
◇戦略港、旧弊破り新機軸を−−港湾経営、「民」の手法も港はその国の経済力を正直に表す顔だという。先日のハイリゲンダムのサミット（主要国首脳会議）を取材していて先輩記者が一昔前に言っていたこの言葉を思い出した。この地ドイツが急速なグローバル化の波の中で世界第３の経済大国の地位を誇っている姿は「欧州のゲートウェイ」としての港湾をしっかり確保していることと無関係ではないと知ったからである。
欧州の港湾の取材をしてみて感じたのは、怒濤（どとう）のごとく経済成長が始まった中欧、東欧を後背地として「港湾大物流競争」が繰り広げられていることだ。すでに中国などアジアの新興国の後塵（こうじん）を拝している日本の港湾はどうすべきなのか。遅まきながらまかり出た「アジア・ゲートウェイ構想」と比較吟味してみよう。
（略）
港湾と一国の経済の関係は正比例している。港湾の取扱量（特にコンテナ）の減少がその国の経済の衰退につながる。経済が不調だからその国の港湾が振るわない場合もある。しかし大半は港湾インフラが貧弱だったりそのコストが高いなど港湾の使い勝手が悪かったりすると海外の別の港に逃げることになる。一例だが神戸港から釜山港に次々とコンテナ船が移っていったのはそれが大きな理由だった。内航海運の競争力を弱めた政治家のエゴによる海運政策の誤りのツケも大きく災いした。数字は合理的だが時に冷酷でもある。１９９０年のコンテナ扱い量は世界で神戸港が５位だったが、いま（０６年）は３０位までにも入らない。日本のトップは東京港で２１位とアジアの中でも極端に地盤が沈下した。ちなみにベスト３はシンガポール、香港、上海だがいずれ上海がトップに躍り出るはずだ。日本港との差は広がるばかりである。
（略）
最近発表された日本の「アジア・ゲートウェイ戦略」では国際競争力強化という掛け声ばかりが目につく。だが最も肝要なことは港湾の民営化など近代経営手法の導入、そして牢固（ろうこ）とした労働慣行や過去のしがらみとの決別だろう。例えば「港湾工場の徹底した自動化」などがそれに当たる。地域の利害と既得権益に埋もれて世界が見えない港湾経営に明日はない。ハード、ソフト両面での港湾の戦略的なイノベーションこそが急務ではないか。
ところは言うは易く、行なうは難し。
と、いうのは、聞くところによると･･･というか普通に考えるとわかるのですが、港というのは昔からとにかく人手が要る。それは荷物を積んだりおろしたりする作業だから、比較的単純な労働で、日々の銭が入ってくる。肉体的に屈強な男が集まる。
事故も日常茶飯事で、明日をも知れない刹那的な雰囲気も満ちている。
自然、少年ジャンプ的なつーとへんですが、おんどりゃあ、なんじゃあ、コラとはなんだコラ、このドサンピンがあっ！！てな感じになって。
そこから「侠」の組織が生まれ、また労働組合も大きな力を持つ････そのしがらみ、力はJRの労組にまさるとも劣らないものだという。
国際競争力を持つために、労働慣行やインフラ、システムを大幅に変えるとしたら、それはものすごい「構造改革」が必要になりますよ。やれんのか？やれんのか？？
ただ、上の話はもうホントに世界的にどこでもそうでしたね。
（村上もとかの「龍」で、けっこうリアルな当時の港湾労働の社会の描写があったね）
勝ち抜いた港、勝ちつつある港というのはそういうところを克服したということか･･･？
