(あとから「法哲学」というカテゴリを設けました。)
成立の日にちょっと話題を呼んだ議論です。保岡興治といえば、奄美大島で徳州会のトラオくんと違反まみれの選挙戦をずっとやってきたってイメージが強いが、どれだけ喋れるものでしょうか。
見てみましょう。
一日、間があいたのは、逆にクールに読めていいかもしれない。
※前半は最低投票率の話ではないので省略
加藤千洋 そうですね、あのー、世論調査なんかをやると国民の多くは(最低投票率を)「設けるべきではないか」という回答をしていますよね現実は。
こういう国民投票を最後の段階で行うのは主権を持っている国民の声を聞くと言うある意味では最も厳粛な段階ですよ、プロセスですよね。
ですから低い投票率でOkになっちゃうと、それで十分に国民の声を吸い上げたことにつながるかのなあ?という疑問を、私も持つんですけれどね
まあ与党のほうは付帯決議で検討すると書いてますけど、与党は一貫してこれは必要ないと。
保岡興治 民主党のほうも衆院、参議院とも両院で提案されましたが 両方とも無いんですよ。
加藤 それで今日は保岡さんがお見えになっているんで保岡さんになぜいらないんですかと。我われから見るとなるべく改正をやりやすくするためにガードを低くしたいのかなと思えちゃうんですけど。
保岡 それは違います。
加藤 どうなんでしょうか。
保岡 たとえば40%の(最低)投票率にしますね。35%しか投票がなかったとします、これ無効です。
しかしそのうちの8割が賛成してた、35%が投票に行った。そうすると有権者の28%が賛成してることになるんです。・・・そうですよね、35かける8(割)ですから、0.8ですから。そして、一方ですね、あのー・・たとえば40%の投票率を満たしたと。しかし6割しか賛成がなかった。という場合は、有権者の24%の賛成が。
24%の賛成が成立して、28%の賛成がですね、否決される結果になったりですね、5%足りないばっかりに、あのー、最低投票率を割るわけですけど、5%の人がボイコットすれば28%の人が賛成があるのに否決されちゃうと、というようなボイコット運動に法的根拠を与える結果になっちゃうと。
加藤 いま数字のマジックでいろんなケースがあったんで 暗算できなくてよくわかんないんですけれども、厳密に公平性を考えて、そういう制度を設ける必要が無いというふうに仰りたいわけですか。
保岡 そうですね、有権者の数がですね、例えば50%に決めてですね、たとえば26%あれば有効だということになれば、約四分の一の有権者で決めることになるじゃないかということにもなるんで、5割に決めても4割に決めてもなかなか難しい問題が出てくる。
で、中には国民の関心の足がですね、どうしても向かないもの、ほかの人にもう任せていいというよなものが・・・ 例えば既に決まっているもの、運営も決まっているものの字句を訂正するとかいうことになると、そういう投票率になりがちなんです。そういう場合に重要な国民主権の行使をですね、、何人か行ってきちっと投票して、多くの人がそれにゆだねるようなポジションに立ったものもですね、効力を認めないっていうことになると主権行使の重大な障害・・・障害って言うか、主権行使に大きな制約をかけると。
これは憲法上、規定もないのにそういう大きな制約をかけちゃいけないっていうのが我々の基本的な立場です。世界の例もそうなっています。
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古館伊知郎 まあ解釈改憲というのをいろいろやっていた国だから、(規定が)無いからっていうのもまだにわかに納得できませんで・・・
保岡 それが一つの理由だっていうだけです。
古館 保岡さんは与党は 国会の中で審議中にたしかこの最低投票率というのは憲法改正を難しくすると、非常に障害になりうるんだって言ってたのは今の論なのかもしれませんが・・・
保岡 そうです、むしろ制約するっていってもいいでしょう。
古館 ただ私も加藤さんと同じで、横で聞いてて分からなかったんですよ。後でもっかい計算してみますが・・・
保岡 よく計算してみてください。
古館 よく計算しますよあとでね一生懸命。だけど僕なんかが単純に思うのは、投票・・・ ちょっと無効投票は忘れてですね、、単純化できないかもしれませんが、投票率が国民投票40%で、でそのうち過半数ですから40%のうちの20%超(註:発言ママ。「全体の20%」の言い間違いか)が賛成したら憲法が改正されちゃう、ということは有権者の四分の一の人の賛成で決まっちゃうほうがよっぽど怖いというのが、ある。だからその逆のことをおっしゃってたの、かもしれませんけれども。
保岡 いやだから逆に4割って仮に決めた場合に、8割の人がね、賛成したらば28%の人が賛成しているんですよ、有権者の。
加藤 それはそうですね。
保岡 ね、そうすると20%の人とかいうものよりかですね、あの重く見られちゃうわけですね(40%で投票成立、うちギリギリ過半数の)20%のほうが(不成立の)28%より。逆転現象が生じるんですよ。そりゃ極めて不公平な結論になるんですよ。
古館 そう聞くとね、ちょっとそれもまた再検討してみないとね
保岡 それからあの8割賛成が出てて、そのー35%の人がね、投票に行ったと、じゃ無効ですよね。でも8割賛成してるんですよ。ところが5%の人が40%切るためボイコットしたら、たった5%の人が、28%賛成している有権者の総意をボイ、あのー、無効に出来るんですよ。これは極めて、あのボイコット運動に不当な、あのー法的、あのー担保をして差し上げるようなもんでこれもよくないんですよ。
古館 国民主権である国民にとって、とっても重要な法案がそうなってはってことがかなり響いたんですね。さっき仰った。
それでスペインなんかを例に取るとやっぱり一度国民投票で重要な憲法改正部分を発議してね、改正して三分の二(の賛成)ってのが上下両院で、あの双方の院でやって、それで国民投票かけて、それで改正が決まったときにはもう一回議会を解散させたりして。
保岡 だからあのー
古館 それで再度・・・なんていう非常にこう大変なプロセスを踏むところもありますよね だからじっくりじっくりやってもらいたいなって。
保岡 まあいろいろ考え方はあると思うんですが、国々で政治状況ですね、歴史の背景も違いますから。、やっぱり立法政策って言うのはその国のよって立つところで決めなくちゃいけないんで、我々としては民主党、自公民ではほぼ一致した案を作ったとは自負心があります。
古館 それはやったでしょう、ねえ。アメリカってのはそんなにせかすんですか。
保岡 アメリカから言われてやっているわけじゃないんでこれは(笑)
※この後は最低投票率の話ではないんで省略。
ま、私も暗算は苦手なので、いきなり数字を出されると計算できないというのは分からなくもない(笑)。
最低投票率の議論としてはまだ部分的で、なら賛成が総有権者数の中で一定割合ならいいという英国式や、そもそも選挙を義務投票とするオーストラリア型の議論もしてもらえればもっと良かったが。
下でもTBしてもらっているが、そのリンク先にこうある。
http://blog.goo.ne.jp/shirakawayofune001/e/4763f48468ebbc337e7175ae93902f22
より多くの有権者が改憲案に賛成したことをもって改憲案の承認としたいのであれば、 最低投票率を設定したところで何の保証にもならない。最低得票率の方であろう、必要なのは・・・・(略)・・・・最低得票率を設定したときは、改憲反対派がどれだけボイコット運動を展開しようとも、改憲賛成派がある票数を獲得したところで、どれだけ投票率が低くても、改憲が承認・・・
あと、古館節というのは通常会話の3倍ぐらいアクセントを強調するので、字面だと伝わらないニュアンスも多いことはお断りしておく。