個人的な話だが、今年は映画の「見逃し三振」が多すぎる。「ユナイテッド93」、「有頂天ホテル」、「グエムル」、「グッドナイト アンド グッドラック」、「ゆれる」・・・おいおい、このブログで紹介してたのも多いじゃねえか。そうだ。
やってることが姉歯と変わらんな。
しかし考えて見ると、あらすじを聞いて想像力を膨らませ、別の話題につなげてエントリを作るというのは、これはひょっとしたら見て感想を書くより創造性があるのではないでしょうか(笑)。
で、今回もあらすじから創造を膨らませます。
以前、「グッバイ・レーニン!」や「ラヂオの時間」、こち亀の一部エピソードを勝手に「取りつくろいもの」というジャンルにしたことがあったが、今回、これを「中立地帯もの」、もしくは、もっと広げて「呉越同舟もの」というジャンルだと考えたい。
(「取りつくろいもの」に関する日記検索 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/searchdiary?word=%bc%e8%a4%ea%a4%c4%a4%af%a4%ed%a4%a4%a4%e2%a4%ce )
「中立地帯もの」「呉越同舟もの」を仮定義してみる
- ある状況で、敵・味方が一つの場所、あるいはひとつの目的を共同で行うことを余儀なくされる。
- 彼らは最初、性格や育った環境の違いで、相互不信や対立が発生したりする。
- しかし、お互いの人間味を知ったり、あるいはいやいや共同作業を重ねることで友情が芽生えていく
- そして、その時間は終わり、彼らは再び散っていく。
てな感じかな。もちろん細部はいろいろ違う。
南北分断の影響
んで、ぱっと思いつくのは、韓流映画の先駆けでもある
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はまぞう画面が「?」だと萎えるなあ。
最初、
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD217/story.html
“北”の警備隊の兵士チョン・ウジン(シン・ハギュン)が射殺された。容疑者は“南”の兵士イ・スヒョク(イ・ビョンホン)、怪我を負っているところを、軍事境界線上にかかる橋の上で発見された。この事件を受け、“北”は「南のテロ説」を、“南”は「北の拉致疑惑」を唱える・・・
という、ミステリー仕立てから始まって、実は国境で南北の兵士が仲良くなっていたという真相が暴かれる。(そこからいろいろあって「射殺」が起きる)チョコパイのシーンとか、もっとも激しい対立の場面こそが、実は友情の証であったという逆説的なラストシーンなど語るところは多いのだが、もう何年も前だから細部を覚えていないかも。
エンディング・テーマが美しい曲で、もし一曲韓国語の歌を歌えるとしたらこれを歌えるようになりたいものだ。
敵も味方も呑み込む「魔都」
むかし、自分はこういうものを仮題として「上海もの」「ジュネーブもの」と呼んだこともあった。
完全に最後、友人になる必要も無く、この「中立地帯」の中で、一時は協力し合い、一時は騙しあい、命を奪い合う・・・というシチュエーションもまた面白い。こういうときは、その「中立地帯」の設定にいろいろ凝った工夫を施し、前に書いた「限定されたルールの中での闘い」を見せる、という意味合いもある。前も言ったけど、少年ジャンプの近年の人気漫画「ジョジョ」「HUNTER×HUNTER」「DEATH NOTE」すべて、この「限定ルールの中の戦い」という点では親戚筋だよ。
まだ、このジャンルの宝は掘りつくされていないと思う(というか、「連作障害」が発生しにくく、再生産が容易なんだ)。
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もっと、そっち方面の行き詰る駆け引きと謀略、という部分にいろいろ発展させる余地はあったと思うが「そもそも、そーいうことを意図して描いたわけじゃない」と言われるかもしれんな。いや、それはその通りで、こっちの勝手な思い入れだ。
紫堂恭子作品
この中で、ひとつの完成を見せたのが、紫堂恭子の作品。
彼女の作品を呼んで「ああ、そういう『ジャンル』があるんだな」と自分の考えを固めたという点でも重要だ、個人的に。
これが一番典型といえるだろう。
- 作者: 紫堂恭子
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(作者の公式ページより)
聖地フローンズ島からやって来た、謎の聖者トウハ・ガイ。彼だけが知るという、癒しの葉の秘密を巡って、4カ国から若者達が聖者の元へ派遣された。表向きは、「聖者の護衛」。しかし、それぞれの国の利益や思惑が交錯する中、いがみ合ってばかりの毎日。とくに、国同士が戦争状態にあるドミナトールのユーリグと、アビゴールのセレスは、事あるごとに喧嘩がたえない。
そんな中、聖者を狙う一団が現れたり、「エレメンタル」という正体不明の化け物が上陸を始めて、世界は混乱し始める…。
けっこう、面白そうなイントロダクションでしょ。
対立国同士だが、共通してある種の宗教的権威に服しており、その関係者を中心にすれば共同・協力せざるを得ない・・・・というのは中世のキリスト教とか、イスラム教とかを類推させて、もともとリアリティを問われないファンタジーではあるが、その中においてリアリティがあると感じる。
言い方を変えれば、彼女の作品はつまり、「センス・オブ・ワンダー」をびしびしと感じるのですよ。ひょっとして、今は両手で数えたら余ってしまう「SF漫画家」の称号がふさわしいのかもしれない。それが名誉かどうかは知らんが。
この作品はクライマックスで、既に無二の友人となった二人が、祖国の状況から戦地であいまみえ、しかも彼らの文明圏の習慣に従った、決闘の代表者に双方がなってしまう。
(イカレ星とスカンタコ星の開戦で同級生同士が戦いを始め、
二人が滞在するホテル「つづれや」まで巻き込まれる「21エモン」
「クラスメートはいいものだ」って誰か覚えてる?)
正確に再現したいのだが、手元に無いので記憶に寄って紹介する。
両軍が見守る中、親友同士の決闘に望むドミナトールのユーリグと、アビゴールのセレス。
どっちがどっちか忘れてしまったが、片方の戦士が 戦いの直前、周囲の兵士たちに対し、誰はばかることなくこう宣言する。
「まず皆に言っておく!!
これから闘う○○は、私の無二の親友だ!!
うんたらかんたら」
そして、こう宣言した後、二人は何のためらいも無く剣を交えるのだ。練習でも試合でもない。どちらかが死ぬまで続けなければいけない戦いに。(すまんなあ、元のシーンを正確に再現できれば、もっと感動的なのだが)
最近、いろんなキャラクターの魅力を抽象的に分解し、分類するというのがはやっているじゃないですか。
なんとか属性、とか。サルまん以来かな。
あれは、ひとつの効果的な「批評」だと思うが、今度、自分が感動する「シーン」というのを抽象化し、分類していくというのをここでもやってみたい。これは占いや心理分析以上に、その人の性格が分かると思うから(笑)。
ちょうと今、それに近いエントリが
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20061101
にUPされている。
主人公がその仲間をかばうわけですね。
「お前には、守ってやらなきゃいけない人がいるだろ!オレのことはいいから、早く逃げるんだ!」とか言って。
ところが、逃げたはずの仲間が戻ってきて主人公のことを助けようとするわけですよ。
「馬鹿野郎!どうして戻ってきた!」
「すまん。だが、オレの愛する女を、仲間を見捨てて逃げた男の女房にするわけにはいかないんだ!」
みたいなこと言ってね。
そんで結局、仲間は主人公を助けて死ぬわけです
ああ、また話がそれちゃったよ。
とまれ、この「癒しの葉」はまた面白い仕掛けがあって、宗教的権威を守る国がそれぞれ素朴屈強な軍事国家、そこと鋭く対立する覇権志向国家、カネがすべての商業国家・・・など、ちょっと個性を強調した性格づけがされていて、それが「最初の対立」を半分は戯画的、半分はそれだけくっきりした陰影で描くことができるんだよね。
また、皆が護衛する対象の宗教的権威が「一休禅師(成人)」タイプといいますか亀仙人といいますか、普通に接しているだけでは俗物というか軽薄なアホにしか見えない、というあのキャラ。
だが、それがまた深みを与えているのだよこの作品においては。
うん、こうやってあらためて文章を書くとやっぱりいい作品だったな。
ただ正直、絵は少女漫画すぎると思うが、これもそれが苦手だというのはこっちの勝手な好みだ(笑)。ただ、同じような傾向の方も、ストーリーだけでおつりが来るから読んだほうがいい。
(つづく)
ちなみに個人的に面白い話があって、なぜあまりに絵が少女漫画すぎる彼女の存在を知ったかというとだ。
あるとき「国境線を挟んだ二つの軍の軍事的緊張、息詰まる駆け引きと戦略、そして後方で展開する大外交と政略を、雄大なスケールで描いた作品がある」と何かで読んでいた。
そして、ブックオフの棚にこの本があって、題名だけを見て「あ、これだ」と内容を見ずに買ったんだ。
辺境警備―決定版 (5) (Asuka comics DX)
- 作者: 紫堂恭子
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ところが、後半は確かにいろいろ複雑な物語や人間模様も描かれるが、基本的には、平和な辺境で左遷の司令官と田舎育ちの現地兵士がまったりするというお話だった(笑)。トンマッコルに近い・・・かなあ?
ただ、それでも楽しめたから他の作品も読んでいったわけだけどね。
しかし、いまだに「勘違いした、元の作品はなんだったんだ?」ってのはわからずじまい(笑)。
紫堂恭子 公式ホームページ
http://homepage.mac.com/rumakarl/
「太平洋の地獄」
極限状況で、対立してる場合じゃない、ってなものもある。
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http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=13814
太平洋戦争末期、ひとりだけ生き延びた日本軍海軍兵がいるカロリン群島の孤島へ米海軍の少佐が漂着する。互いに敵対し、事あるごとに争っていた二人だが、苛酷な状況下において協力する事だけが生存への道だと悟る……。たった二人だけで繰り広げられる異色の戦争ドラマ
刑事・犯罪ものは「呉越同舟もの」の元祖・本道か?
犯人の側は永遠の名作
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護送というのも「呉越同舟」の一パターンとするなら
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そして刑事ものは「合理的な切れ者エリート」と「経験豊かなたたき上げの鬼軍曹」
を組ませたり、アメリカ映画ならFBIと地元警察が対立すれば一丁上がり。先輩、後輩の上下関係があったりもするわな。
警察捜査は二人一組が基本だから、構造的にもこういう作品が生まれる。いまや「ベタドラマ」になっちゃってるともいえるが。
この走りは日本映画、黒澤明の
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だと聞いた記憶があるが、ちょっと違うだろうな。あれは「拳銃を盗まれた刑事」という類型の話かな。
ところで最後に「トンマッコル」に戻るが
某氏トンマッコル村を評して曰く。
「逆度井仲県」。
的確すぎる!だが、誰にも意味が伝わらなすぎる(笑)!
度井仲村
出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
移動: ナビゲーション, 検索
度井仲村(どいなかむら)は、度井仲県にある村である。
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E5%BA%A6%E4%BA%95%E4%BB%B2%E6%9D%91
http://www3.plala.or.jp/asinom/hikkei/koti31-35.html
木曜スペシャルで発見されたといういわくつきの県、度井仲県。
「どこにあるんですか…その度井仲県ってのは?」「千葉と埼玉の間にある県だ 今年発見され今年から県として認可された新しい県だ」「秘境みたいなところですな…」([東京留学!?]p63-2)
2番目のリンク先
『こち亀』野郎! ─『こち亀』追跡200キロ─
http://www3.plala.or.jp/asinom/hikkei/koti.html
のリストと内容紹介を今、読み直してみたけど、このエピソードが収録されている35巻を含め、
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