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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

この春高校生になる子をSFファンにさせるため、プレゼントすべき漫画を選んでみた

3月ですね。
卒業と入学の準備をする季節でもあります。
23年ほど前ですかね、私は中学を卒業して高校に入るなかなか頭のいい子に、その子の趣味と興味、それに自分の趣味や興味をすり合わせて誘導するつもりで(笑)、書籍をチョイスして、プレゼントしたことがあり、そのレポートが結構みなさんの興味を呼んだことがありました(ブクマがたくさんついた)

凄く頭のいい新高校生に、お勧め本を紹介できて面白くてしょうがなかった(歴史、軍事、民俗学系を中心に) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160415/p3

その流れのひとつなんですが、自分は以前から
「『SF』への興味を、一人の少年少女に持たせるには、何を読ませればいいだろうか?」
ということを考えてきました。1円にもならないのに(笑)
なぜこんなふうに考えるのか…それはちょっと分からないけど、自分が小学校高学年ぐらいから「ジャンル」としてSFに 興味を持ち始め、「あー、俺は今、 SF というジャンルにはまっているなあ」と自覚しながら読んでいたことが大きいのかもしれない。

その時は少年向けにリライトされた小説が主だったんだけど、やはり入り口とするには 「SF 漫画」がいいと思っている。

そこで色々と試行錯誤した結果、 以下のチームが決定された。

選考基準にはこのようなものがある。

1・すでに完結しているシリーズであること。
2・大長編ではなく、せいぜいコミック10巻程度であること
3・設定やSF概念に過度の複雑さがなく、わかりやすいこと
4・性的表現や残酷描写にもある程度配慮すること
5・絶版の希少本でなく、入手しやすいこと

その結果選ばれたのが、これらのシリーズ。


「藤子 F 不二雄 SF 短編集」


まあ、お馴染みのフレーズで言えば SF の「一丁目一番地」ですわな。
ぶっちゃけいえば、まずこれを読んでいただいて面白かった!という人(9割だろうけど)が、 SF を読めばいいのであって、このシリーズを選んだけど面白くなかった、という人には無理に SF を与える必要はないのである。そこで お互いにご縁がなかったということで、その人と SF がそれ以降無縁であれば、それはそれでお互いのためであります。

この短編集にはジャンルとしてもタイムパラドックス、異星人の侵略、マッドサイエンティストの発明、パラレルワールド…全ての概念が詰まっているので、それらの設定や概念の説明としても最高である。もちろんこの 前段階としてドラえもんを読んでいてくれれば、それは最高の助走となって、この作品につながるのだが。

寄生獣

寄生獣

寄生獣

いきなり選考基準4に抵触しかねないやつだが(笑)、今やあの程度の残酷描写は高校に入ろうかという子には許容範囲でしょう(そうかな?)。
いきなり超人的な力を授かった(周囲には秘密!)男の子が日常生活の中で敵と戦うという、実のところスーパーヒーローものなんだけど、だからこそ SF の入り口として素晴らしいのだと思うのです。ヒーローものは少年少女みんなある程度の予備知識がある。
そこからうまくつなげて、 寄生獣のなかの「怪物が人間集団に紛れ込んだと仮定しての、描写のリアリティ」や、ミギーが語る人間と別の視点からの人間の意識や社会制度の特徴の指摘。小松左京的とも言えるそういうところを、新高校生 のSF 勧誘に使いたいわけです。

僕だけがいない街

タイムリープもの、時間を遡り人生やり直しもの、それがすごく過不足なく書かれている作品です。 「誰が犯人なんだ?」と言う謎解きも、これはね SF ミステリー初心者には結構入門編として読ませると思いますよ
時間をさかのぼるのかタイムリープ時間ループ…そういう概念って皆さんはいつ、何で覚えましたか。周りにそういう経験をした人が実際いたという人は結構レアなので(笑)、 たぶん何かのコンテンツに接して覚えたのでしょう。その作品が今の若者にとってはこれであるのが適当かと思うのです。

プラネテス

プラネテス(1) (モーニングコミックス)

プラネテス(1) (モーニングコミックス)

プラネテス全4巻 完結セット (モーニングKC)

プラネテス全4巻 完結セット (モーニングKC)

宇宙 SF から一本。技術や世界観が、 かなり今の社会から地続きと言えるのに、それでも衛星デブリ回収や惑星間飛行などの設定はまだまだ未来観漂ってる。と同時に、ドラマの中核にあるのは、ちょっと青臭い人生論だったりする…この辺はまさに、中学を卒業して高校生になった少年少女を脳内でシミュレーションすると、あってるんじゃないかと思います。


ヤマタイカ

ヤマタイカ (1)

ヤマタイカ (1)

神話や宗教を SF 的に再構成する作品も一本入れたかったのですよ。
そうなれば満を持して、この作品…と言いたかったんだけど、一つはちょっとここで出てくる古代史考察は専門的に過ぎるかな?難しすぎないかな?という疑念はないではない。どうですかね皆さん。ただそこがわからなくても、ヤマトの民の「念」による戦艦大和の再浮上 、米軍の軍艦との海戦、奈良東大寺の大仏が呪法によって「不動明王」に変化し、主人公たちに襲いかかるシーンなどのビジュアル性で見せてくれるはず。

レベルE

これもちょっと言い回しが難しいんじゃないか?と思ったのだけど、改めて再検討したら、まあ所々わかりずらい概念は確かに出てるけど、そこはほっておいてもストーリーテリング自体は十分少年少女を惹きつけるに値するものです。むしろこれも藤子 SF と同様、「これが面白くないとしたら、今後 SF全般に興味がないだろう」的なアンテナになりそうです。

「コミック星新一


コミック☆星新一午後の恐竜

コミック☆星新一午後の恐竜

コミック☆星新一空への門

コミック☆星新一空への門

コミック星新一☆親しげな悪魔

コミック星新一☆親しげな悪魔

コミック星新一宇宙からの客

コミック星新一宇宙からの客

星新一の作品から傑作を選んで、色んな漫画家に競作させる…て、そりゃ面白くなるに決まってる、としか言いようがないわな。今でも入手できるかがよくわからんがたぶん
電子書籍にはなってるだろう


久井諒子 SF短編集

というタイトルのシリーズはなくて
「ひきだしにテラリウム」
「竜のかわいい7つの子」
「竜の学校は山の上」
などの一連のショートショート短編集です。


ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

竜の学校は山の上 九井諒子作品集

竜の学校は山の上 九井諒子作品集

今時こういう、効率性が悪いアイデアの蕩尽、みたいなことやってるのも珍しいんですけどね。後にダンジョン飯でブレイクした作者ですがこっちの方が本領発揮しているとも言えるかもしれません。
作風は星新一テイスト、というのはざっくりすぎて手抜きの論評かもしれんが、やはりそれなりに的を射ていると思う。

機械仕掛けの愛

機械仕掛けの愛 1 (ビッグ コミックス)

機械仕掛けの愛 1 (ビッグ コミックス)

これはまだ連載が続いているから、厳密には規定に入らないんだが、そこは主催者判断でゴールポストを動かし、連作短編集だから良いことにする(笑)

火の鳥未来編」「鳥人大系」



手塚治虫から何を選ぶか。4,5巻程度で終わる適度な長さの作品もあるし、無名の SF 短編でもそれこそ藤子不二雄に負けないぐらい無数にある。さあどうしよう・・・と言いつつ、あまり迷わずにこの2作品にした。
鳥人大系は少々エログロっぽい雰囲気もなくはないが、これも高校生には許容範囲って言っていいでしょう。


「クレープを二度食えば」


クレープを二度食えば(リュウコミックス)

クレープを二度食えば(リュウコミックス)

SF的な世界をパロにせよまじめにせよ、自覚的に描いている世代としてのとり・みき氏の短編、とくにタイムトラベルものに秀逸なものがあり、藤子SFと比較しても遜色ないところだが、「入手ができるか?」できるかだけが懸念材料。新装されたのが7年前だから大丈夫かな…



関連して、こんな決意表明も。
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