この前のイベントから、浅羽通明氏が「アオイホノオ」に関連しての談。(かなり適当な要約なのでそこはよろしく。後日動画はUPされるかも)
アオイホノオの感想リクエストは、イベントに際しての事前募集で小生がしたもの。
【発言要約】
自分もこの時代の雰囲気の当事者のひとりで、いろいろ分かるところもある。同世代に「あの時何をしていた?」と聞くとSF研だとか漫研だとか、戦時中の「自分は海軍でした」「そうかわたしは陸軍で」みたいな感じで話が通じる(笑)。アオイホノオ (12) (少年サンデーコミックススペシャル)
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/11
- メディア: コミック
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はじめの部分は「いかにも島本和彦節かな?」という感じでそんなに引き込まれなかったが、途中から面白くなってきたのが主人公のホノオは、才能がそれほどでも無い凡人なのに「漫画で世に出てやる!!」という一種の野心にあふれている。
しかし、その対極的に描かれる庵野秀明らは、才能はホノオの何倍もあふれているのに「アニメで世に出てやる」という野心がさほど感じられない…という対比の視点で描かれている点だ。これは面白い工夫で、さらに実感できる思い出がある。
自分は一度、岡田斗司夫氏と昼から深夜まで、喫茶店、ラーメン店、深夜喫茶と場所をかえ、12時間近くぶっ通しで語り合ったことがある。もうそれで今後は別に話さなくてもいいぐらい話しまくった(笑)。
その時、岡田氏は「自分は日本一のSFファンになりたかったんだ」と言ってたのが印象に強く残っている。よく考えりゃヘンでしょ?日本一のSF作家、日本一のアニメ製作者、日本一のSF評論家…それは賞とか売れ行きとかで分かるだろ。
でも日本一のSFファンってなんなんだ(笑)。…だけど、そういう志向、願望というのは確かにあっただろうし、そのへんのことを、「アオイホノオ」の対比的な描写で考えさせられた。
だが。
当時、80年代のその雰囲気やサブカルチャーの勃興を背景にしながら、「まだ何者でもない若者の、自負と劣等感、が生む人間模様」を描く作品としては、先行して……大槻ケンヂの大傑作「グミ・チョコレート・パイン」がある。
大橋賢三は高校二年生。学校にも家庭にも打ち解けられず、猛烈な自慰行為とマニアックな映画やロックの世界にひたる、さえない毎日を送っている。ある日賢三は、親友のカワボン、タクオ、山之上らと「オレたちは何かができるはずだ」と、周囲のものたちを見返すためにロックバンドの結成を決意するが…。あふれる性欲と、とめどないコンプレックスと、そして純愛のあいだで揺れる“愛と青春の旅立ち”。大槻ケンヂが熱く挑む自伝的大河小説、第一弾。
- 作者: 大槻ケンヂ,江口寿史
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グミ・チョコレート・パイン 文庫版 コミック 1-3巻セット (講談社漫画文庫)
- 作者: 佐佐木勝彦
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これは90年代の小説全体でいっても、最高傑作のひとつと言えるものでしょう。
ある目的の場所にどうしても急いでいかなきゃいけないが、途中でトラブルが次々と…なんてベタな展開も、実にうまく書いている。私にとっては「文豪のオーケン」と言ったら、ノーベル賞作家でなくこっちのほうだ(笑)
「アオイホノオ」は、果たしてそれを超えられるか。「グミ〜」のほうは、多少時代を80年代に限定しないようにある程度ぼかした工夫なんかもしており、その対比もおもしろい。
とのこと。
講義動画などがUPされるとしたら
https://twitter.com/info98985465
で告知があるでしょう。