いま、復刊なった「漫画アクション」(双葉社)は実録・事実を基にしたフィクションをを中心としたラインナップという独自の試みをしているが、その中でも看板漫画となっているのが、以前は北朝鮮拉致家族である蓮池薫・蓮池透兄弟を描いた「奪還」。
奪還―北朝鮮拉致ドキュメンタリー (1) (ACTION COMICS)
- 作者: 蓮池透,本そういち
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/12/06
- メディア: コミック
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その連載終了後は横田夫妻の「めぐみ」である。2作品とも、単なる漫画として見てもかなり面白いので、国民大集会もあることだし後で詳しく書きたいけど、最新号の「めぐみ」は、「横田めぐみさん失踪」の実名記事がでた時期を描いている。
名前を出すことが娘の安全にとっていいのか悪いのかを葛藤する夫妻の姿は涙を誘うが、その中で心配のあまり匿名扱いを求める電話を「AERA」の長谷川煕記者にかけるシーンがある。
今、北朝鮮報道で朝日新聞というと批判の対象ではあるが(俺もちょっと加わっていないではない)、その大半は理由があるとはいえ、この口火をAERAも切ったということは忘れてはいけない。というか、AERAはそれ以前からも、北朝鮮に関してはかなり独自のスタンスで報道し続けていた。
亡命者が北の惨状を告発しても「亡命者は悪く言うに決まってるから信用できない」(これは、一般論としては間違いではない)という反論が出ることを受けて、「それなら、20人に聞いて、その証言が大きく一致すれば間違いないだろ?」という形で「証言集」を出したこともある。
「週刊朝日」も文革時代、かなり中国については批判的に書き、本紙からの軋轢も受けていた。ああいうグループが一枚岩であるわけもないのだ。
ただ、そのかつての週刊朝日は稲垣武という(その後保守派論客となった)「人」の影響によって誌面を作ったように、AERAもそこにいる「人」によって北朝鮮報道に関する面目を保った部分が大きい。
それが、この「長谷川煕」記者なのだ。
北朝鮮問題の中でももっとも闇が濃かった「朝銀信組」問題を、小生はネットで話題になる破綻の前から結構注目していたつもりだが、重要な記事はほとんど野村旗守氏か、この長谷川煕氏が書いていたと記憶している。
北朝鮮(報道)ヒストリーというと現代コリアやサンケイ新聞にどうしてもスポットライトが当たりがちだが、AERAと長谷川煕氏も一章を割かれるべきプレーヤーだろう。
http://www.linelabo.com/bk/2000/bk0011a.htmによると
『AERA』Vol.13、No.48(2000年11月13日付)に、
「歪曲される杉原千畝像――個人の人道行為を国家の手柄にすり替え」
というのも書いている。
この人、最近の肩書きが「ジャーナリスト」になっている。
多分定年退職だとは思うが、朝日の中に残すことはできなかったのかな。難しいんだろうな。
あと、残念ながら、今検索しても「これは!」というサイトもないし、著書も少ないようだ。(もうひとつの専門領域らしい食品問題に関しては著書がある)
あとで詳しく、この人のことを調べたい。