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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

毎日新聞「発信箱」

http://www.mainichi-msn.co.jp/column/hassinbako/archive/
その毎日新聞の2面下、「発信箱」が今一番面白い。いかにも毎日らしいコラムの論調の統一性の無さ(笑)。だが、それがいいのだ。あまりこういうのはよろしくはないが、宣伝を兼ねて感心した今日のコラムを紹介。

http://www.mainichi-msn.co.jp/column/hassinbako/news/20050203k0000m070174000c.html

発信箱:
国民が怖かった 中国総局・上村幸治
 あの有名な中国の趙紫陽元総書記が死んだ時、共産党機関紙「人民日報」は4ページ目にニュースを3行だけ掲載した。だから意地悪な私は、中国の知人に「人民日報はいつ、つぶれるのか」と聞いた。「ニュースを判断できる記者や編集者がいなくなったら新聞社は終わりだよ」と言った。

 もっとも中国中央テレビは、趙紫陽さんの葬儀が終わるまで、死去を伝えなかった。われわれの業界では、これを「特落ち」と呼ぶ。特落ち記者は、上司からの「お前なんか死んでしまえ」といった罵声(ばせい)を耐え忍ぶのが、業界のしきたりである。

 ……嫌みを書くのはやめよう。人民日報もテレビも、実は共産党の方針に従っただけなのだ。

 そんな方針が出たのは、きっと国民の感情を刺激したくなかったのだろう。趙紫陽さんの死を大きく報じたら、葬儀をきっかけに混乱が起きると考えたに違いない。葬儀の時、大量の警官を動員したのは、何より国民が怖かったのである。

 中国はいま、高度経済成長の真っただ中で、新しいビルがどんどん建ち、街全体がネオンでまぶしい。しかし、一方で貧富の差が広がり、幹部の腐敗も際限がない。

 そのため農村で10万人規模の暴動が起きているが、それが都市部に波及する危険もあるという。中国は本当は、かなり苦しい状況に陥っているのかもしれない。

 中国のテレビは、趙紫陽さんの死去を報じないことで、この国の内情を世に知らしめた。党からどんな「圧力」を受けたかを教えてくれたら、もっと素晴らしいと思う。

毎日新聞 2005年2月3日 0時16分

上村氏は以前から厳しい筆調が多く、中国への批判自体は珍しくないが、「お前なんか死んでしまえ」といった罵声(ばせい)を耐え忍ぶのが、業界のしきたり」という戯画的な文章が面白い。