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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「アホでマヌケなマイケル・ムーア」とはなにか?



インターネットやブログ内で何カ月にも渡って
大きな論議を呼んだ「華氏911」とその作者である
マイケル・ムーア
とくに「はてなダイアリー」内では、町山智浩氏の情熱的な映画の内容や、それが巻き起こした社会現象の紹介ですっかり大ブームに。

そして、あまりの論争の過熱は、米国の「批判本」までが翻訳されるという異例の事態を生んだ・・・。

「『ロジャー・アンド・ミー』は、時系列を意図的に入れ替えていた?」


「『ボウリング・フォー・コロンバイン』で編集されたヘストン演説を、全文と比べてみたら・・・」、


「ブッシュとジョージ・ソロス、その陰のつながり・・・えっ?」


「ムーアは『偽CM』をでっちあげた?」


「ムーアの故郷は『フリント』か?」

などなど。


この手の本
が、そんなに発行部数があるとも思えないし、全国的にいきわたることもあるまい。
つーことで、少し内容を紹介しようと思う。



批判派は必読だし、擁護派も、この本は再反論、説明の「想定問答集」として必須!!

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詳しい内容は、たぶん夜にでも。  ↓

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上の本が”告発”するマイケルムーアの罪とは・・・


うー、めったに予告なんかするもんじゃない。けっこう分量があるんだよお。しんどい。
詳しく、正確に知るには発売中なんだから自分で目を通せ、と断った上で・・・

時系列の変更?

(註:ロジャー&ミーの)真実を突き詰めてみようと考える者がいた・・・彼の鋭い質問は、たちまちムーアを追い詰めた。『自動車テーマパークが開園したのはいつ?』という質問に対し
ムーアは「1984年7/4だ」と答える。では、パークが閉園したのは?「1985年1/6」とムーア、じゃ、ハイアットホテル開業は?「1982」パビリオンのオープンは?「1985年12月」
・・・しかし、・・・大量解雇があったのは1986年の5月と12月だ。・・・衝撃的な告白だった。・・・中心となる主題が、勝手に作った時系列をもとにしているのだから。
・・・・ムーアは苦し紛れの正当化に走った。「1986年以降におきた出来事なんてだれも言っちゃいないだろ?(中略)とにかく同じ80年代に起きたってことさ」(44-45P『初犯--ロジャー&ミー』より)

ヘストン演説

長いから大幅に略!!P105-107
「「ボウリング・フォー・コロンバイン」の真実を求めて」より

ムーアはヘストンの演説のそれぞれ5か所から7つの文を引っ張ってきて、そればかりか全く別の演説からも一部分切り取って、これらひとつひとつをつなぎ合わせたのだ。・・・静止画像やビデオ画像などを挿入しながら、編集箇所はたくみに処理されているのである。・・・スピーチの途中なのにヘストンはなぜラベンダー色のシャツと紫色のネクタイから、白シャツと赤ネクタイに着替えたんだろう、と観客が疑問に思って・・・

【引用者申す】9/17にテレビ東京で放送した映画を見直すと、たしかに服がシーンで違う。
ライフルをかざすシーンは一瞬だし、あれは「イメージ映像」で、デンバーNRA総会の一部だとは言ってない、と反論できるかもしれないが・・・


デンバー集会は、NRAの無神経さの表れか?

彼らの弁明。P103

事実:・・・NRAはニューヨーク州法人であり、同州非営利法人法により、会員の年次総会が義務付けられている。・・・NY州制定法は、NRAによる集会の開催場所及び開催日の直前の変更を拒否している。開催場所・日時の変更は、10日前までに全ての正会員に通告されなければならない。コロンバインの悲劇は、NRA集会の11日前に起こった--つまり集会の予定を変えるには、事件当日のうちに全米中のNRA会員400万人に通知を郵送しなければならなかったことになる。・・・・NRAは年次役員選挙を除くすべての催し物をキャンセルした、ワークショップ、昼食会、展示、また祝賀行事もすべて取り消した・・・

チャールストン・ヘストンという男

ヘストンは、その公民権運動に加わった。彼は人種差別をするレストランに抗議した、またマーティン・ルーサー・キングと一緒になってキングの1963年ワシントン大行進で俳優団体を率い、この行進は1964年に公民権法の成立に大きく貢献した。

ヘストンは一個人として、ハリウッドの人種の壁を打ち破った人物だ。1960年代後半、16州・・・において、異人種間の結婚が違法とされていた・・・無効になった・・・この後も、ハリウッドは暗黙のルールが存在していた。異人種間の恋愛映画はご法度であったのだ・・・ヘストンは『オメガマン』出演によってこの人種の壁を打ち破った。映画の内容はそこそこだが、同作品ではヘストンがヒーロー役を、黒人女優ロザリンド・キャッシュがヒロイン役を演じた(ヘストンが自ら彼女を抜擢したのだ)


【引用者申す】個人的には、この本の中で一番興味を引かれ、
衝撃的だったくだりだ。「オメガマン」を撮ったり公民権
運動を支持したから偏見なき男だ、ということに単純には
ならず、本心から平等、人権を標榜しつつ自分でも気づかない
偏見を持っていた、ということもあるだろう(保守・リベラルを
問わず)。それでも、少なくとも彼の中ではキングの友人である
こととNRAのリーダーであることは矛盾しなかったのだ。

ちなみに、小生はヘストンというと、バブル時にNHKが大金を捨てるようにして作ったSF映画「クライシスなんたら」を思い出すと言う、ムーア以上に失礼な振る舞いをしているのだが(笑)


あと、「オメガマン」については、町山智浩氏が世界で唯一、
ムーアへの「ボウリング〜」インタビューで触れている。
いかなる文脈か?読み比べてみるべし

http://www.eiga.com/special/bowlingfor/03.shtml

ここで筆者がオタクな質問。「ヘストンのインタビューのとき、
『オメガマン』を引用してますね……」「オメガマン」(71)
は細菌兵器で人類が死滅し、生き残ったヘストンが他の生存者
(吸血鬼と化した黒人)をマシンガンで撃ちまくる。『オメガ
マン』は当時のブラックパワーへの恐怖が生み出した映画なの
だ。「あれは狙ったジョークですか?」


 「その通り!」ムーアは大喜び。「今まで数え切れないほど
のインタビューを受けたけど、『オメガマン』を使った理由に
気づいたのは君だけだ。ありがとう!」

同じ映画でも、本の編著者は人種偏見を打ち破った記念碑として
紹介し、ムーアらは「黒人への恐怖」を見ている。
未見の俺が論評することではないが、これが”両立”し得る
こともありえないことではない・・・・むむむ

訂正された、あるシーンについて

P124-126(説明すると極めて長文になるため1988年大統領選
「ホートン事件」「”回転ドア刑務所”CM」の内容を知って
いることを前提とします。分からない方は資料で調べてください)

ムーアは、ホートン事件を巡るこのテレビ広告を、共和党員による人種差別主義の証拠として描こうと考える。というのもホートンは黒人だったからだ。しかしムーアはここで問題に突き当たる。ブッシュ側は広告の中でホートンの人種について一切触れていないし、ホートンの写真すら使っていない。それどころかホートンの名前すら出していないのだ。

・・・ムーアは2つの別々の選挙広告を張り合わせている。回転ドアのシーンと、「広告はブッシュ・クエールによる提供」の部分は、本当のブッシュの広告から取ったものだ。しかしムーアはこれに、ブッシュ陣営とはかかわりのない国家安全政治活動委員会【引用者申す。この組織は?】の広告をつなぎ合わせている。ホートンの名前と写真はこの広告からだ。


・・・広告のくだりに来ると、苦し紛れの告白をせざるを得なかった。・・・(おそらく下に紹介したリンク先のこと)・・・この弁解は、テレビ広告字幕は彼自身の手によるものだと認めているようなものである。
自分が不正に編集操作をしていることを、彼は十分自覚している。

ムーアの反論

http://www.asyura2.com/0311/war43/msg/1592.html

http://michaelmoorejapan.com/の転載だと思うのだが、ここからでは見つからなかった)



関連(微妙に)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040926