賞味期限3日ぐらいかなー。
普通に書くと5行ぐらいでおわっちゃうけど、小説仕立てにすれば、また別の味も出てくるだろう。
==小説・「大逆転!石破政権、存続す」==
2025年、10月某日ーーー。
政界は、下馬評を覆す高市早苗の自民党総裁選勝利から、突然の公明党の連立離脱を経て、混迷の度を極めていた。
そんな時、首相官邸から「臨時記者会見」の連絡が、メディア各社に伝わった。ハテ?何がメインテーマになるのだろうか、といぶかしむ声も多かったが、だからこそ、何か大きな「大政局」が動くとの予感も駆け巡った。
あらゆるメールや電話が、関係者ごとに飛び交う。しかし、核心を捉えるようなスクープなどがどこかの社から出ることもなく、記者会見の時間となった。
石破首相が国旗に一礼後、会見場に着席する。
記者会見内容が「来るべき臨時国会について」だとは、直前にリリースされた。また開催日が正式には固まっていないはずだが…
石破首相は、ファンからは「丁寧」、アンチからは「回りくどい」と言われ、ネットジャーゴンでしばしば「ネットリ」と擬態語付きで語られる、あの口調で話し始めた。
ただ、最初の内容は、現在に至るまでの政界の大混乱をなぞるのみに終始した。
だから、どうするのだ、それを言ってくれ…すこし取材陣がいらいらし始めたところで、核心を口にした。
「このような混迷の中で、なにより重要なのは、国民生活であります。
それがいま、ないがしろになっているのではないか。
臨時国会では、何よりもそれ、国民生活、物価高対策を優先しなければならない。
それらを考えた結果、石破内閣として、補正予算などの成立に取り組むことにしました。
わたくしどもは少数与党でございますが、党派を超えた心ある国会議員の皆様のご理解をいただき、なんとか成立にこぎつけたい。
そう考えているところでございます。」
すこし、水を飲んだ。
しかし…?その意味するところは??
秒で考えを巡らせた取材陣は、質疑に入るや否や我先に挙手する…だが、最初は今月の幹事社、テレビ東京からだ。幹事社は一番バッターの旨味もあるが、一方で最大公約数的な質問をせざるを得ないハンデもある。
だが、今回は最大公約数の質問こそ、記者本人も聞きたい質問だった。
「先ほど補正予算を石破内閣として…とおっしゃられましたが、今回の臨時国会では、内閣総辞職がなされる予定なのでは?」
石破は、間を置きつつ、答えた。
「以前、私はそのような趣旨、内閣総辞職を行うということお話ししたと確かに思います。…ですが冒頭に申し上げた通り、今や政局が混迷を極めており、この混乱が続くと国民のためにはならない、と考えております。そのため、前言を翻すのかとのお叱りは覚悟の上で、臨時国会は国民生活の問題を優先するために、総辞職は行わない、こう新たに表明したいと思います」
おおお、という抑えた、しかし思わずこぼれ出たどよめきが会場を覆った。
「し、しかし、自民党総裁はすでに高市早苗さんに交代しているはずですが」
「はい、承知をしております。自民党という党内の党則に従ってわたくしが総裁を退き、高市さんが新総裁になられた、これは間違いないところでございます。……ただ、日本国憲法でいうところの内閣総辞職はしない。その上で国家国民のために、『石破内閣として』このあとも全力で仕事をしていきたい、そう考えておる次第です」
ここからは「ほほう」という感心、好意的な雰囲気の記者と「とんでもない」「暴挙だ」という怒った雰囲気の取材陣が入り混じる。
「しかしですねぇ、多数を占めた第一党、あるいは多数派の連立の中で選ばれた党の党首が、内閣総理大臣になる、それが憲政の常道でしょ?それを踏みにじる行為じゃありませんか?」
「権力の座に居座り続けるぞ、ってことですか」
石破は答える
「その原則から外れている、ということは承知の上で、極めて例外的なこの混乱の収束を考えた結果でございます。」
「ただし、それは正統性の点で疑わしい、という声も、当然考えられるかと思います。そこで、我が内閣としては……内閣からそれを出すわけにはいきませんが、内閣外の心ある同志、また、ご理解を頂いた他党、他会派の方々も含めて、臨時国会冒頭で『内閣信任案』を審議していただくことを話し合い、合意しております。」
「この提出された内閣信任案が否決されれば、これは当然、辞職か解散を選ぶ。ただし、解散というのは、先ほどのような例外的状況を鑑みると越権のそしりを免れないと考えます。ここで、解散の可能性は封印し、内閣信任案が通らなければ総辞職。通れば、浅学菲才の身でありますが誠心誠意、内閣総理大臣として微力を尽くしたい、そう考えております」
石破の、その回答の表情から、政局の裏を読み解くのは難しかった。やけばちのようでもあり、自身があるようにも見える…
…にわかにスマートフォンを取り出す記者もいる。ネットにつなぐのではなく、電卓機能を使おうとしているようだ。老年の記者には、実際に古い、専門の電卓を取り出す人もいた。そちらの方がボタンが大きいだけ早い。
ぶつぶつとその老記者はつぶやく。
「まず、前総裁が、首相は辞めないと言い出したらだ……国会を開かないという手もあるが、開催は明言されてるから、総理の地位に直結する衆院で…ふつうはその居直りを許さない「与党」が不信任に回る……だが、今回立民、維新、国民民主…そこに維新が加わって信任…共産党とれいわ新選組はどうかな?いちおう不確定要素として除外しとくか……参政党は不信任よりの、これも一応保留……そして自民党から造反して、石破と行動を共にしようという人間は……20人?15人?それでも、今は凄く重要だ。船田元、野田聖子のような不満分子もいるはずだ。岸田派だって役員人事を見れば、腹に一物あるだろうし……いや、その前に、…公明党はどうなる?」
その時、老記者のスマホにLINEで別の記者からの取材結果が届く。
「まだ未確認ですが、森山裕前幹事長と、公明の斉藤鉄夫委員長が極秘に会談して、何らかの協定を結んだそうですよ」
そういえば、公明党の斎藤委員長は、石破茂と個人的にも仲が良く、斎藤は石破を尊敬していたはずだ。鉄道オタクつながりもあったんだっけか…
「こりゃ、まさに「鉄の同盟」だな。」~。
これで臨時国会の「信任投票」の大勢は決した。前代未聞もいいところだが、とりあえず石破内閣は続くだろう。総裁としての高市早苗は激怒して、石破グループなどの造反者を自民党から除名、非公認することになるかもしれない。それは可能だ。
だが、それで自民党の国会議員がさらに減ったら、それで高市はどうなる?
あとは解散権を握り続けた石破が、一番いいタイミングで解散を打つことができる。公明党という強力なパートナーを無くした自民党が、どう戦うのだろう。
石破グループが、実体はどうあれ、新鮮な表看板を架け替えて、そこでは公明党の選挙協力を得たら…ひょっとして立民も候補者を下ろし、石破グループと立民が一体化するのかもしれない。
「しかし、どうにも解せん」……別のベテラン記者が、首をひねる。
「おれは石破を昔から知っているが、政策の勉強はともかく、政局の時に喧嘩を仕掛ける度胸や勘に欠けるのが泣き所だったはずだ…話を聞いているとまるで別人…いや、人間でない別の生き物。計り知れない深淵を抱えた、謎の生物に生まれ変わったようにも見える」
石破は、質疑をこう締めくくった。
「私は、これまでで一つの使命を終え、新しい場所で、新しい使命をもういちど授かった。そんな思いがしております。それは、良識ある保守リベラリズムの復活だと考えております。自民党の中に、ミャクミャクと受け継がれた…」
その時、石破の後ろに、赤と青に光る不気味なオーラが見えた、と証言した人も後にいたが、その真偽は定かではない(とりあえずの了)
石破政権存続の陰に(シミュレーション)
過去の政治シミュレーション小説集
嘘…おれ、こんなに書いてたっけか?その時々の政治用語が、なんか懐かしい…。
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