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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【ネタバレ】5日に藤子・F・不二雄ドラマ「マイ・シェルター」が地上波放送されるけど、そこに厄介な問題がある、と思う。

【速報】このドラマ、シーズン3も企画進行中?




まず、放送日程のおさらい。

12月5日(木)午後10:45

マイシェルター

ドラえもん作者藤子・F・不二雄の傑作SF短編をドラマ化!シーズン2地上波初放送!(月)~(木)夜10:45。1話15分完結×8話。第4夜「マイシェルター」

男(浜野謙太)は妻(安達祐実)と子供ふたりの家族思いのサラリーマン。ある晩、居酒屋で隣席の客(田辺誠一)が話しかけてきた。男がマイホームのための土地を買ったと告げると、核戦争の恐怖をまくしたてられ、核シェルターを強く勧められる。帰宅すると妻はマイホームのために内職をしていた。子供たちはぐっすり眠っており、いつもと変わらない平和な家族。しかし、男はだんだん核戦争の恐怖にさいなまれるようになり…。
www.nhk.jp


そして!
それに合わせてかどうなのか、2024年12月5日現在、原作漫画がネット公開されている。

dorachan.tameshiyo.me

これで論じやすいんだが…その論は、話の筋を語ることにもなる。【ネタバレ】が嫌な人は上の公開中の原作漫画を読むか、5日放送のドラマを見た後、その後の記事をご覧ください。

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ではネタバレ込みで論じます…といっても過去にこれ、書いているので、そこを再掲載します。

にしても。
正義感に満ちた人、崇高な理想に燃えた人、世の悪を絶対にゆるせぬ人…ではなく「最大公約数的常識家」を信頼する、というこの言明は、最初に読んだときにも強烈な印象を残したところだった。
「最大公約数的常識家」の人間性は、根本のところで信用できるはずだという信頼感は、「マイ・シェルター」という作品に結実していると思うのです。


※ストーリーはこちらをどうぞ http://plaza.rakuten.co.jp/neoreeves/diary/201009110000/





m-dojo.hatenadiary.com


この話、別の方…シンホリ弁護士との対話でも持ち出しているけど、そっちのほうが分かりやすいかな。


上に書いた通り。

・核シェルターを「自分や自分の家族だけ助かり、多くの知人友人を見捨てるなんて良心に欠ける行為だから、核シェルターを拒否する!」は、確かにそうでないより、良心的な振る舞い、考え方です。
 
・しかしその根本には「どうせ核戦争が起きたら、世界が滅びる。核シェルターなんてちょっと延命するだけで絶望的。なら、やらない」という発想があるのではないか?
※1980年代には、全面核戦争が起きたら、その被害だけでなく「核の冬」という寒冷期がやってきておしまいだ、というシミュレーションが語られた。このマンガなども…

 
・しかし、現行の核脅威、もちろんロシアなどの恐怖もあるが、「どうしようもない失敗国家がヤケクソで核攻撃で1,2発のミサイルを飛ばしたら、それが落ちた地区は被害が出るかもしれない…」というのもかなりリアルな「核の脅威」である。
 
・これに対しては「第一撃はシェルターでなんとかやり過ごせば、なんとか皆さん生き残れます。/そのあと、日本国家や世界が完全に破壊されて生き残れない、ということはまずなさそうです」と言われたら、説得力はそれなりにありそう。


・そうすると、2番目の「どうせ…」論は、もう成立しないのではないか?と。


そんな思想的課題が、この「マイ・シェルター」にはあると思うのです。

藤子・F・不二雄 マイシェルター


なお、まったく余談なんだけど、この作品は「こち亀」で核シェルターを取りあげた爆笑回(自分は絶対これを、同作品のベスト10に挙げる)と1,2年しか違わない。そんな時代の風潮。

こち亀核シェルター回
こち亀核シェルター回

おまけ 地震の時も「自分や家族のぶんだけ備えをして、自分達だけ助かる。それは道徳的には?」という問いは生まれるかも

togetter.com