まず「地雷グリコ」について
話題の本ですよね。
ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
自分は、新聞の書評に載ってたので知った。そこではこう引用されていた
どれもメジャーな遊びだが、ワンアイデア加えるだけで、こんなにも高度な頭脳戦が楽しめるゲームになるのかという感動がある。もちろんこれまでにも頭脳戦を描いた漫画や小説は数多く存在している。しかし、本作の特徴は、論理構造が非常に本格ミステリー小説っぽいところだ。
最初にヒントとなる描写がフェアに書かれ、それをもとに最後に一気に伏線を回収し、エレガントな答えを導き出す-
で、いま連ツイでこの本の紹介ポストが、Xに投稿されていた。
それを引用しよう。
青崎有吾『地雷グリコ』読了
— ケイネすけ (@Kaynethkay) February 17, 2024
独自のルールが定められた五つのゲームを巡って繰り広げられる緻密な頭脳戦。相手の思考をトレースし誘導し、ルールハックから盤外戦術まであらゆる手段を用いて勝利を掴む。ゲームごとの定石を見抜き、相手を出し抜き最後の一撃を与える瞬間の気持ちよさがたまらない。 pic.twitter.com/ewW4ETaBcG
とにかく勝ち方が爽快すぎる。相手の戦術に翻弄され、点を取られ、ここから逆転するのは流石に無理だろ……となった段階から最終ターンで全てをひっくり返して持っていく。振り返ってみると逆転勝利確定のポイントは決着のずいぶん前まで遡れて、全ての挙動が勝利への仕込みと言っても過言ではない。
— ケイネすけ (@Kaynethkay) 2024年2月17日ルールの時点でめちゃくちゃワクワクするのですごいよ。
— ケイネすけ (@Kaynethkay) 2024年2月17日
「地雷グリコ」はなんとなく定石も決め手も予想できたけれど、互いの思考を読み切る頭脳戦としてお手本みたいな第一話。対戦相手である椚先輩の格が高すぎるんだわ。これがジャンプの新連載で来たら喝采して喜んでしまう。最高。 pic.twitter.com/M3fIueLqkQ
「自由律ジャンケン」がいちばん異次元の読み合いしてたな。自分で効果を設定できる"独自手"、その活用法も予想外ながら、ルールの穴をついた屁理屈寸前の奇策が予想された結末を根底からひっくり返す様は本当にたまげた。何食ったらこんなもん思いつくんですか?
「だるまさんがかぞえた」はマジで笑った。通るか、そんなもん……!いやよく考えたら通るな……。発想のスケールで負けたというやつ。ゲームのルールを決めるときはちゃんと例外挙動を封じておかないとこうなる。
「フォールーム・ポーカー」、イカサマ上等のルールから頭おかしい盤外戦術まで今までのゲームの集大成のような一編。勝利のためにここまでやるラスボス怖すぎ案件かと思ったら主人公がもっと怖かった。全て澱みなく計画通りになってるってことか?怖いよ。この読み合いを頭から捻り出した作者も怖い。
最初から最後までマジで面白かった。連載漫画なんだよな、つくりが。一話で敵対した先輩が二話で超有能サポートになり、三話で強そうな生徒会長が出てきたと思ったら突然話のスケールがデカくなり数千万〜数億単位の金が動くギャンブル漫画と化す。敵幹部紹介シーンはさすがに笑った。少年漫画すぎる。
そういえば自分は、子供のころからたしかに「グリコ」に理不尽なものを感じていた。グーで勝つとグ・リ・コで三歩。なのにチョキとパーはどっちも チ・ヨ・コ・レ・イ・ト パ・イ・ナ・ツ・プ・ル の6歩。
こんな不公平は無い、なんでこんなルールなんだ!!と思ったものだ。
だけど逆に考えると、たとえばグーも「グ・ラ・ン・ブ・ル・ー」の六歩で統一してたら、タダのじゃんけんと同じだ(笑)。
グーで勝つと3歩だから不利、損。…だからみなグーは出したくない。だがそういうことでグーを出す人が減るならチョキは勝ちやすい、パーは負けやすい、ならその裏をかいて…と、いびつだから面白くなる…はずだが、俺の時代のお子様でそんなことを考えた人はいなかったぞ!!
これ、数学的に研究とかできるんでしょうか?
いや、上記「地雷グリコ」がそんな展開なのか知らないけど!!!
ただ、既存の遊びルールは、それほど精密緻密なプラスマイナスのゲームバランスがあるではない。
それを、いまや「ゲーム」の構造の研究が進んだその知で、作り変える……というコンセプト自体に、いろんなチャンスがあるんじゃないかな????
カメントツ「あのときのこどもさん」最新話が、まさにこの話だった。「自分たちでカードゲームのルールまで作っちゃおうぜ!!」
えーと、いま手元に画像資料がないが…「ゲッサン」連載で、遅れてサンデーうぇぶりで掲載されるこの作品。
「地雷グリコ」に絡めて紹介したいエピソードは多分この次か、この次の次の回で、3月には公開されると思うんだが…
全然ゲームとは関係ないこの回もすごくおもしろいが…
www.sunday-webry.com
トニカク、少し後にネット公開されるであろう「あのときのこどもさん」最新回では、
カードゲームを自分で作っちゃおう!という回で、その作中では、まさにじゃんけんとカードをベースにした独自ルールが、仲間内で考案されるという展開だった。
そのルールが面白くて、カードに「グー」「チョキ」「パー」が描いてある既存のカードゲームは、それでじゃんけんをするだけでおもしろくない。
そこをひねって、「『グー』と書いてあるカードをまず試合前に出して、その後、実際にじゃんけんをする。それはカードに関係なくチョキでもパーでも出していいのだが、ほんとにグーで勝った場合はボーナス点がつく」みたいな話じゃなかったかな?
グーでしばって、裏をかくもよし、裏の裏をかいて(つまりそのまんまで)高得点を狙うもよし……
「地雷グリコ」を記念した「既存の遊びを、こうルール改定したら面白い!!」という大々的なコンテストやったら?
すでにそういうことを考えている天才は各地にいて、
実はその子がいる小学校ではすでに完全に定着してる、とかもあると思うんだよ。
実はあの遊び、ルールをこう変えればこんなにスリリングになる!!というアイデアを持ちつつ在野に居る、野の遺賢がたくさん存在しているのではないか?
M-1じゃないが、すごい賞金をつけて大募集していいんじゃないか。
そして、本当に面白いゲームなら、そのまま野外での子供遊びだけでなく、ネットゲームやパッケージゲームにして、ゼニにすることもできるのだから。
(ただし、「ゲームのルール」に著作権は無く、いくらでもマネできる。だから、どう具体的に権利を抑えてマネタイズするかが課題。…「地雷グリコ」が小説なのは、そういうことじゃないかしらん?)
「放課後さいころ倶楽部」でも「だるまさんがころんだのルール改正」話があったな
自分で自分の過去記事思い出した!グッジョブ俺
m-dojo.hatenadiary.com
中道裕大氏@shimaneko555 の「放課後さいころ倶楽部」最新回は、極めて挑戦的なテーマを描いている。なんとボードゲーム帝国ドイツの少女が「『だるまさんが転んだ』をもっと論理的かつ刺激的ルールに変更しよう」と提唱するのだ(続く) pic.twitter.com/cCaYK5E6ou
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) March 15, 2015
彼女の「『だるまさんが転んだ』が内包する矛盾」の指摘はまさに電撃作戦の如し(何それ)。この回は犯人こそ捜さないが、推理小説並みの論理の刃を読者に突きつける。
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2015年3月15日
では、ルールはどう変更されたか?それは本編を。@shimaneko555 pic.twitter.com/Pj3EXAHEfR
5巻収録で、アニメにもなってるとか(9話)
【告知】放課後さいころ倶楽部第5巻、本日発売です!学園祭、ソリティア、お好み焼き、だるまさんがころんだ、就活、とバラエティに富んだ内容となっております。書店でお見かけの際はよろしくお願いいたします(^ω^) pic.twitter.com/4rYL0iQ6fv
— 中道裕大@『ボルカルス作画&シェアハウス・ナイル原作』 (@shimaneko555) 2015年5月11日