モーニング 2024年6号、第23話。かつての「慶福」というお名前から改名して将軍職。
ほんと、単話売りは紹介しやすくてありがたい
comic-days.com
この話は、実話というか記録にのこってる話であります
この老師匠の実名までわかってるのか。
書の達人として知られていた幕臣・戸川安清は70歳を過ぎた老人ながら、推されて家茂の習字の指南を務めていた。ある時、教えていた最中に、突然家茂が安清の頭の上から墨を摺るための水をかけ、手を打って笑い、「あとは明日にしよう」と言ってその場を出て行ってしまった。同席していた側近たちがいつもの家茂らしくない事をすると嘆いていると、当の安清が泣いていた。将軍の振る舞いを情けなく思ってのことかと尋ねると、実は老齢のため、ふとした弾みで失禁してしまっていた事を告げた。その頃の慣例として、将軍に教えている真っ最中に粗相をしたとなると厳罰は免れないので、それを察した家茂はわざと水をかけて隠し、「明日も出仕するように」と発言することで不問に処することを表明したのである。泣いたのは、その細やかな配慮に感激してのことだと答えたという(安清の親戚である戸川残花が『幕末小史』の中に記している)。
ja.wikipedia.org
まあ、この見立てが正しいかどうかわからないけど、当時、次の将軍は紀州の慶福か、水戸の徳川慶喜か…という争いはいろんな政治的思惑もありつつ、才気煥発、経験と知恵という点では慶喜は圧倒的に評価されていた。それは年齢差もある。まだ家茂は少年だ。だが家茂は、当人の器量とか才能とかと別の、部下への思いやりとか、配慮、優しさという面では少年時代からとんでもなく優れていて、部下たちが本当に感激し圧倒的忠臣になっていくのだ。
忠義のあまり「最高のお嫁さんを」でまたひと騒動(歴史が変わる)
それは才能を認められつつも、本音がわからずに「二心様」と言われていた慶喜とはまた違い……(本当に、責任の重くて窮屈な将軍になんてなりたくない、という可能性も高い。これまたラノベ的な…)
こういう描き方は「風雲児たち」でも「MUJIN」でもされていた。
君主の徳のカタマリみたいな描写をされがちな第14代将軍・徳川家茂。画像は漫画の登場人物が家茂に惚れた瞬間。
— silver_romantic (@silver_romantic) April 1, 2019
(1枚目) 岡田屋鉄蔵『MUJIN -無尽-』より伊庭八郎
(2枚目) みなもと太郎『風雲児たち』より勝海舟
(3枚目) よしながふみ『大奥』より和宮 pic.twitter.com/zDV5czTTvj
アルスラーンとヒルメス、という見立てを以前したような気もする(笑)
つまり、圧倒的に、ラノベ的なんだよ(用語が乱暴)いや少年少女漫画的とも言っていい。
じっさい、高スペックのライバルをけちらして、どこがどうというチート資質は無いがふわっと「いい人」なんで最終的な勝者になる、ってジャンルあるやろ?
あれ、そんなにたくさんはおもいつかないが…たしかにあるよね、そのパターン。だから実のところ、最初はその両陣営の「忠義」の暴走が陰惨な政治劇を生んだ安政の大獄は置いても、14代将軍に徳川家茂が就任したあと、なんだかんだとありつつ徳川慶喜がのちに「側近」となったという幕府の一時期は、実をいうとかなり理想的な組み合わせだったかもしれん。
ふたりが実は仲良しで、ライバルのふりをして周囲を欺いて大仕事をやる、というのもまた別種のラノベ的かもだな。
徳川家茂は配下の旗本、そして江戸庶民や孝明天皇までから慕われる。
孝明帝はむしろ家茂がんばれ!長州ゆるすまじ!だしね(笑)
ただ、その期間はあまりに短かった。若くして長州征伐の最中、大坂城で病魔に倒れた。
それゆえ、有事の指導者としての器はどれほどのものか、本格的に測られる前に歴史から退場する。
そういえば、皇族和宮と家茂の結婚は、和宮にとっては既に婚約者がいたものを破談させての政略結婚ということだが、その後はその家茂の穏やかさもあり円満良好な夫婦だったという。
和宮とは政略結婚ではあったが、2人の関係は良好であったという。家茂は和宮以外の女性を傍に置こうとしなかったため、側室は1人もいなかった。家茂は和宮を心から愛していたこともあって、少しでも時間ができれば和宮と雑談を交わし、かんざしや金魚などを贈った。和宮も家茂が好きな茶菓子をよく差し入れたりと細やかな気配りを欠かさなかった。その夫婦関係の良さは、和宮の側近が仲睦まじい2人のことを日記に記していたほどであった。
で、この「政略結婚etcでいやいやながら結婚したはずだけど、相手がとってもイケメンでチートで私のこと大好きで結果的に幸せ!」が、いまそれこそラノベや少女漫画で大人気ジャンルだよね?kindleで無料お勧めが来るんでわかるんだよ!!ウザいほど!!(笑)
いま、「政略結婚」で検索しただけで出すぎだよ!!
ということで、徳川家茂はラノベ的なポテンシャルがあるかもしれない!!がこの論文(なのかこんなのが!)の結論でございます。