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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

直木賞作家・門井慶喜氏の「家康、江戸を建てる」読みました。

最新の直木賞を門井慶喜さんが「銀河鉄道の父」 で受賞されました。

http://www.news24.jp/articles/2018/01/16/07383097.html
第158回芥川賞直木賞の選考会が行われ、16日午後、結果が発表された。

大衆文学作品に贈られる直木賞を受賞したのは門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」で、国民的作家・宮沢賢治の生涯を、父である宮沢政次郎の視点から描いた作品。3度目のノミネートで受賞となった。

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞

門井さんについては私、以前こんな記事のなかで作品を一本紹介しました。

SF(ファンタジー)に「異世界内政チート」があるように、時代小説も「建設もの」ブーム?(日経新聞より) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161104/p2

そう、 門井さんは自分にとっては前回の直木賞でノミネートされた「家康、江戸を建てる」のかたなんだよね。

家康、江戸を建てる

家康、江戸を建てる

今回受賞記念で改めてその前作の方を読んでみました(笑)

これは長編ではなく連作短編で、また家康とあるけれど家康自身は背景に退いております。
家康を狂言回しにしつつ、利根川の流れを変える大工事、江戸市民に清潔な水を供給する水道工事、経済の流通をスムーズにする統一通貨たる「小判」の 鋳造、江戸城にある巨大な石垣の建造、 そのための石の切り出しと運搬、 天守閣の建設と、その壁の「漆喰塗り」などで、それを担当するそれぞれの専門家を描いている(中には徳川秀忠もいるのだが)。

徳川家康にとって関東は一種のフロンティアであり、この経営に失敗すれば天下どころか豊臣家からのお取り潰しもあり得た。(新しい領土を与えられたものの、地侍からの心服を得られず逆に一揆などを起こされ、その責任を追及されて改易された大名の多いことよ)

と同時に、あの巨大な利根川東京湾に注ぎ込む流れから、現在の茨城千葉を流れる物に変えるという大プロジェクトや、井の頭公園の池湧き水を江戸の飲み水としてごくわずかの勾配を利用して行き渡らせる仕組みなどを微に入り細に入り描いたのはなかなか読み応えがある。
リンクした過去記事だとファンタジーの「内政チート」と、こういう「プロジェクト時代劇」とでも言うできものをほぼイコールで結んじゃったけど、時代劇の方は別に未来から来たわけでもないから好きな人もこの作品は「チート」という感じの人間はあまり出てこない(笑)。もちろん未来や異世界から来なくても時代劇では「代々伝わる秘伝」とか「超絶の天才、天賦の才能」といった代用品もあるけど、この作品はそうでもないですね。

まあそういうことも含めて楽しめましたよ。

ときに、徳川家康が北条滅亡後関東地方に拠点を移した…豊臣秀吉がそこに領土を与えたのはいかなる意味があるのか?は過去にこんなまとめを作っております。
秀吉に悪意があったわけではなく、 実際にそこが適材適所だったから…という安倍首相の答弁みたいな議論もあるようですな。
このまとめには「家康、江戸を建てる」でも最初に書かれた利根川工事の話も収録しています。

家康と関東移封〜ライバル封じ込めか、信頼できる部下を東国の要にしたのか?/そして「江戸改造」と利根川 - Togetter https://togetter.com/li/989665