ヤングキングアワーズ最新号にて。ナポレオン覇道進撃が大団円を迎えた以上、同誌の歴史漫画・戦争漫画のクオリティは、この作品が一手に担う。ドリフターズは気が向けば手を貸してくれる(笑)
主人公は実在の旗本剣豪・伊庭八郎ね。
内容については、ここで紹介しておいた
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そんで
この設定、どこまでリアルなのか、本当に史実なのかしらないけど、徳川慶喜のひそかな大阪脱出のあと、その軍隊も撤退を決めた。
その時、新撰組鬼の副長・土方歳三と試衛館の小天狗・伊庭八郎が、江戸にもどる負傷者収容軍艦に同乗していたという展開。
そこで、部下をも欺いて少数で大阪を脱出、江戸へ帰還した徳川慶喜を、彼らがどう見ているかが描かれる。
その一号前。こちらは伊庭八郎と弟との会話。
さらにその前の号でもあったよ
うーむ、歴史年表では「徳川慶喜脱出」とひとこと、一行で記されるだけの話だけど、これが本当に幕府軍vs維新軍の軍事的観点で見た場合、いや政略的観点で見た場合もポイント・オブ・ノーリターンだったのだろう。
まだ江戸に兵力がある、迎え撃てばいい…といっても、総大将が逃げ出しては全軍の士気が崩壊する、という単純な話だ。
アンドラゴラス王退却を聞いたパルス軍のようにな。
あるいは、ヤングキングアワーズで昨年描かれたワーテルローの皇帝ナポレオンのように……逆にいうと日の出の勢いの時、単身エジプトを脱出してパリで権力脱出工作に従事してたことをまんまと知られずした若きナポレオンの才覚と強運の凄さを感じる。
一方で徳川慶喜に関しては、司馬遼太郎が「一人芝居のように自分ですっころぶ演技を舞台袖の幕に引っ込み、歴史から自主的に退場した」みたいな記述をしている。
その時、脱出姿を誰かに見られそうになった慶喜がとっさに「小姓の交代でござる」と誤魔化し、一緒に無理やり連れられた松平容堂が、その慶喜の知恵と、それをこんな姑息なことに使う「小賢しさ」に複雑な思いを抱く、というシーンがあったな。
ちなみに城を抜ける際、慶喜自ら「小姓の交代です」とウソをついたという。
また、徳川のシンボルである大金扇の馬印を大阪城に置き忘れてしまったとか…何とも情けない将軍の遁走であった
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要は純軍事的にかつ、負けるより「朝敵になる」ことを恐れたわけで、それはある意味、思想が純軍事に勝利した、ということでもあろうか。
すなわちそれは「神皇正統記」という仕掛け爆弾が、数百年経って炸裂した!!ということでもあろう。
#逃げ若本誌
— 装鉄城 (@rZVdzXGF3Op2U8G) September 23, 2024
北畠親房が東国で書き上げた一大日本通史である『神皇正統記』「ある童蒙のために書いた」という執筆動機が書かれており、この「童蒙」が誰か?が議論されていた。一般的には父帝を亡くしたばかりの後村上帝を指すと言われているが、逃げ若では時行くんのスパルタ教育用になりそうww pic.twitter.com/aOUlWi1xsG
逃げ若武将名鑑【北畠親房】
— 平野レミゼラブル@C104日曜東C20a (@28kawashima) September 23, 2024
北畠顕家の父で後醍醐天皇一番の側近。南朝の実質的な最高指揮官
謀略を得意とした寝業師。各地を駆けずり回り、同時に学識も広めていくなど顕家とは別ベクトルの「戦う貴族」であった
著作『神皇正統記』は後世の歴史観に大きな影響を及ぼす#逃げ若 #逃げ上手の若君 pic.twitter.com/6Z6BDC9I5d
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