INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「今年で著作権が満了」作品、海外のものは話題にする価値あり/戦時加算って今どうなったんだ

【自分の認識してる概要を、箇条書き風にまとめる】

著作権は、満了した年の翌年…1月1日から、パブリックドメインとして自由に使用可能である。
 
・ただ日本では加盟した「TPP11協定」で著作権が死後50年→70年となった。その発効日が平成30(2018)年12月30日だった。
 
・ゆえに、そこから20年は、新年であっても新たにパブリックドメインになる作品はほとんどない(新法下で死後70年経過した著作者は全て旧制度下で消滅済なので。1968年没の人から、延長の恩恵を受ける。)
 
・ただ、外国作品はそもそも国ごとの保護期間が違い、さらに「戦時加算」とかがいろいろあって(適用も国ごとに異なる)、そもそも旧制度下でもややこしかった。
 
・だから外国で話題になった「今年で満了、来年からパブリックドメイン」を、毎年確認するのもなにがしかの価値がある。

…ということで、それを話題にした数少ない記事が、13日にGIGAZINEで発表されたようだ。
記事下にリンクがあるが、GINAZINEはほぼ毎年恒例でこういう記事を出している(海外情報を翻訳してる)ようだね
gigazine.net

「蒸気船ウィリー」とか、実のところ日本ではとっくに消滅してる、と一部では考えられていた。
実際、多くの動画サイトに投稿されていて、削除とかはされていない

蒸気船ウィリー

それを論じた本もある

ただ、上記の話があってややこしい感じもあり、元の権利者が「はい終わりましたよー」と大声で宣伝したりはしないため、本当に消滅してるのか?が断言されてないものもある。アメリカ本国で宣言されていれば、一つの参考になるだろう。

作品のパブリックドメイン化の偉大な産物である「あくまのプーさん」はU-NEXTで既にみられるとか。

戦時加算は、現在「権利行使しないという対応が期待され」るという、さらに曖昧でしょっぱいものになってる

問7 保護期間の戦時加算とはどのようなものですか。
(答)

サンフランシスコ平和条約に基づき,我が国がベルヌ条約等により著作権を保護する義務を負っていた連合国及び連合国の国民が戦前又は戦中に取得した著作権の保護期間については,通常の保護期間に,昭和16(1941)年12月8日(開戦時)から当該国とのサンフランシスコ平和条約発効の前日までの期間の日数(例えば,米国やオーストラリアについては3794日)(戦中に取得した著作権については取得時から起算)を加算することとなっています(連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律第4条)。

問8 現在戦時加算期間となっている著作物の保護期間はどのようになりますか。
(答)

問4に記載のとおり,TPP整備法の施行日である平成30(2018)年12月30日の前日において著作権等が消滅していない著作物等についてのみ保護期間が延長されるところ,同日(平成30(2018)年12月29日)において戦時加算期間となっている著作物は,戦時加算によって通常の保護期間に戦時加算期間が加算されていることにより,現在も著作権が消滅していない著作物に当たるため,保護期間は50年から70年に延長されます。

問9 戦時加算の対象となる著作物の保護期間は,70年に加えて戦時加算分が保護されるのですか。
(答)

法的には,保護期間70年に加えて戦時加算分が保護されることとなります。我が国は,戦時加算義務を定めるサンフランシスコ平和条約上の権利義務を法的に変更することは現実的には困難であることも考慮し,戦時加算問題の現実的な打開に向け,TPP交渉においては,我が国が戦時加算義務を負っている国(米国,カナダ,ニュージーランド,オーストラリア)の各政府との間で個別に文書で,

(1)戦時加算問題への対処のため,権利管理団体と権利者との対話を奨励すること

(2)必要に応じて,これらの対話の状況及び他の適切な措置を検討するため,政府間で協議を行うこと

を確認しています(TPPを離脱した米国との間では,平成30(2018)年4月に,改めて文書で確認しています)。また,日EUEPA交渉においても,関係国(英,仏,蘭,ベルギー,ギリシャ)との間で同様の文書による確認を行っています。この文書によって,権利管理団体の取組及びそれを政府間で後押しすることを通じて,対象国において戦時加算分については権利行使しないという対応が期待され,問題の現実的な打開に向けた一歩となっています。
www.bunka.go.jp

TPP交渉の時「70年に延長してやるから、戦時加算をチャラにしろ」という交渉が少しあった筈なのだが、なんてしょっぱい着地点だったんだ…。