漫画「ペリリュー」は本編で、主人公が帰国し、以前からの夢だった漫画家になることが描かれ、
その後「外伝」も一冊出版された。
漫画家になった主人公は結婚し、家庭を持つ。
その子供が成長した高度成長期に、日本漫画史でも実際に起きたことだが「戦記漫画ブーム」があった。
この新作も、一場面の画像だけ紹介したい
実際に戦場を経験した、あるいは命からがらの引き揚げを経験した大物漫画家も、この時期に戦記漫画を描いた。
作品によっては、ちゃんと本当の思いや思想を盛り込めたが、そうでない作品もあった、という回想も残っている。
〈戦記物は勝たないとつまらないらしく「レイテ海戦」なぞかくとトタンに売れなくなるのだ。(中略)ぼくが書きたいのは敗け戦の話だったんだがそれは許されないのだ。少年たちは花々しいガダルカナル戦あたりまでしか読んでくれないのだ。だから本があいついで売れるためには戦争に肯定的にならざるを得ない。自分が思ったことを書いて売れるなんて、マンガはソンナもんじゃない〉(原文ママ)
〈僕は今でも、その頃の事を夢でよくみる。(とても生きている間は忘れる事が出来ない。)
若い時代だったからよく記憶していて、"戦死"した"戦友"たちが毎日のように登場してくる。
食うものも食わずに、毎日殴られて死んだ若者たちだ。
まァ、"悲劇"という言葉があるが、僕は今ごろになって「悲劇以上の悲劇だった」と思っている。
そんな事で「戦記物」も思わず"力"が入ってしまうのだが、それほど売れたわけではない〉(『水木しげる貸本戦記漫画大全(1)戦場の誓い』パロマ舎)